肝腫大・脾腫
「肝臓は、腫大で、脾臓は脾腫というのは語呂ですかね?」海丸くんの疑問である.
「そう言われてみればそうかな・・肝腫大というとなんとなく、スッキリするが、肝腫というとなんかしっくりこない.脾臓は、脾腫といったほうがなんとなくスッキリするが、脾腫大は今ひとつしっくりこない.」ドクトルもそう思う.
さらにドクトルがいうには、
「肝臓と、脾臓が一緒に腫れる病気があるときには、肝脾腫である」
肝臓は、英語でいうと、liver. hepaと言うのは、ラテン語ですかね?ギリシャ語?
(ルシフェルと、海丸くんは、「さあ?」おいおいあんたらギリシャ出身じゃなかったっけ)
脾臓は、英語でspleen,ラテン語ではlienというらしい.
肝臓腫大は、hepatomegaly
脾臓腫大は、splenomegaly
だから、まあ、語呂で選んでいる感じがあるかもしれない.
脾臓腫大のことをlienomegalyといってるのを聞いたことがないし、そんな書き方をされている文章も見たことがない.
肝臓腫大を、livemegalyと書いた文章も見たことがない.
英語に統一するなら、enlargement of liverになるのだろうか?
解剖の教科書にはなんと書いてあるだろうか?学生の頃の教科書は、金原出版の分担解剖学である.
肝臓は、Hepar
脾臓は、Lien
と書かれている.ここで面白いのは、というか、考えてみればそうなのだが、肝臓の近くに脾臓のことを書かれているのかと思って、消化器解剖が載っている第3巻をいたら、索引にも載っていない.脾陥凹しか載っていない.肝臓の後は膵臓、その後にのっているのだろうかと思ったがやはり載っていない.
もしや、と思い、脈管学の載っている、第2巻を見たら、載っていた.脾臓は、脈管系の組織なのだ.確かにそうか、免疫とか補体とか、造血とか、古くなった赤血球を壊すのとか、脾臓の仕事だからな・・・・
しかし、ここまで露骨に、脾臓の所属を規定されているとは思わなかった.
「っていうか、ドクトル、おめえ、学生の時から今のいままで、そのことに気がついてなかったんかい?」とルシフェルの容赦のない追求である.
「確かに・・・」海丸くんもこの時ばかりはルシフェルの意見に賛成である.
「すみません・・・消化器系には行く予定がなかったので・・・」
「でもおめえ、血液内科には興味があったかも、っていってなかったっけ?血球貪食症候群一生懸命見たっていってたよな」
「確かにそうなのですが.まさかその時、解剖学的な肝臓と、脾臓の扱いが、消化器系と、造血・脈管系なんで厳しく分けられているなんで考えもしなかったもので.」
まあ、しょうがないか
本題に移る.
肝臓と脾臓の腫大する病気は一部共通しているし、一部別である.というか内科の教科書を見ると、かなり別である.
肝臓腫大をきたす病気
急性肝炎
ウイルス性、薬剤性、自己免疫性
肝硬変
白血病、悪性リンパ腫のような血液疾患の肝臓浸潤
脂肪肝
原発肝臓腫瘍
肝細胞癌
胆管癌
転移性肝臓腫瘍
多発性肝嚢胞
先天性肝繊維症
鬱血
鬱血性心不全
Budd-Chiari症候群
アミロイドーシス
グリコーゲン蓄積
糖原病
肝外閉塞性黄疸
鉄蓄積
ヘモクロマトーシス
ヘモジデローシス
銅蓄積
Wilson病
肉芽腫
結核
サルコイドーシス
とある.
脾臓腫大する病気.
鬱血
肝硬変(門脈圧亢進)
心不全
内臓静脈血栓症
悪性腫瘍
特に慢性骨髄性白血病、骨髄繊維症、悪性リンパ腫等
感染症
ウイルス性(肝炎、伝染性単核球症、サイトメガロウイルス)
細菌性(サルモネラ、ブルセラ、結核)
寄生虫(マラリア、住血吸虫症、トキソプラズマ、リューシュマニア)
感染性心内膜炎
真菌症
炎症性疾患
サルコイドーシス
血清病
SLE
関節リウマチ
脾機能亢進症
急性・慢性溶血
鎌状赤血球症
顆粒球コロニー刺激因子使用後
浸潤性
Gaucher病
Niemann-Pick病
アミロイドーシス
糖原病
Langerhans 組織球症
血球貪食症候群
Rosai -Dorfman病
となっている.個別の病気にはおいおい勉強してみるとしましょう.
肝硬変は肝臓は萎縮する、しかし脾臓は腫れる.
白血病とか骨髄繊維症で肝臓と脾臓が腫れるのは、骨髄がダメになって造血が、肝臓
脾臓代わりに行われる「(骨)髄外造血」が起こるからだということは、どっかで習った気がする.




