オイラーの贈り物
「あれ、この本、数学の授業で、やった内容を本にした、ってどっかに書いてあった気がしたのですが、前書きにも、後書きにもそんなこと書いてないですね、私の勘違いだったかな・・・・」
ドクトルは、もう一度、前書きと後書きを読み直してみたのだが、大学の授業ということについては書かれていない.
どっかの書評?
昔から、ドクトル、本屋でたまたま見つけた本が、なんと松岡正剛という編集者で、「千夜千冊」というネットでいろんな本を紹介するサイトがあって、それに自分の見つけた本が、よく取り上げられているのを知って、気を良くしていた.
ジュリアン・ジェインス 「神々の沈黙」
ジークムント・フロイト「モーセと一神教」
八木雄二著の「天使はなぜ堕落するのか」という本はなかったらしい.
それでは、と「オイラーの贈物」があるかどうかということを調べてみた.
なんと、吉田武著 「虚数の情緒」という本と一緒に解説されていた.
ちょっと引用させてもらおう.
ちなみに虚数の情緒という本、これは分厚過ぎて文庫本にできなかったという本である.科学一般の解説書、だった気がする.ドクトルも本屋に積み上げられているのを見つけて買って、最初の方だけちょろっと読んで、あとは「本棚に飾って」おいた.この本は娘にやって、今は娘の本棚の飾りになっていると思う.
「あいつ、まだちゃんと持ってるんだろな・・・・」ドクトルが珍しく娘さんのことを話す.
千夜千冊 第1005夜
吉田武著 「虚数の情緒」 東海大学出版会 2000
「子供に算数を教える.やってみたことはないのだが、ぼくのような門外漢がやってみるとすれば、この仕事には「やんちゃ」を感じさせるものがあって、何か誘われるものがある.たとえば、古代アテネのまぶしい日差しや「読み・書き・そろばん」に励む寺子屋の子供たちの弾む声が蘇ってくるような、そんな印象だ・・・・」
古代ギリシャの数学教育について述べたあと、吉田武先生が、数学教育の一環として、「オイラーの贈物」を書いた経緯のようなものについて述べていた.そのまま引用させてもらう.
著者は『オイラーの贈物』(海鳴社→ちくま学芸文庫→東海教育研究所)で評判をとった。海鳴社版は一九九三年である.京都大学の西村孟名誉教授から文系教養科目として数学を講義してほしいと頼まれ、一年にわたってオイラーの公式だけを教えようと決意した.そのおり試みた講義録の成果が『オイラーの贈物』で、徹底してオイラーが用いた複素数(とりわけ虚数の効力そのもの)の意味を理解させることに専心している・・・・
とある.
「じゃ私がうろ覚えしていたのは、この松岡さんのサイトを見て、それを覚えていたのでしょうかね・・・なんか違う気もするんですがね」
その内容である.目次より.
自然数、無理数の説明から始まって、「パスカルの三角形」からの、二項定理の説明.
方程式、関数
微分積分
そこからのいきなり、「テーラー展開」、テーラー多項式
(実はこれが、オイラーの公式の証明に一番大事な要点だ!)とドクトルは密かに思っているが、まだ、海丸君には教えていない.
指数関数・対数関数
三角関数
オイラーの公式の応用
ベクトルと行列
フーリエ級数
付録として色々な練習問題や、数表が載っている.
索引まで全部含めて、500ページ以上の本である.
「まだ途中ですけど、なんか、数学の世界、ワクワクしながら、読んでますよ・・・」と海丸君は、その目を輝かしながら、話している.
「ドクトル、くれぐれも、内容のネタバレ、しないでくださいよ!」
と、海丸くんに言われてしまった.
「あ、はいはい、それはそうだ・・・・」うっかり内容について解説しそうになったドクトルは、何も言わないで、海丸くんの勉強を見守った.




