国譲り② 「我が祖国、葦原中国とは」
事代主と、建御名方は、「妹の事情聴取」が、どれほど苛烈なものになるか、
ビクビクしながら、父の書斎のドアをそおっと開けた.
あたり一面に、父の「オーラ」が立ち込めているようである.
ケンシロウがまとい、ラオウが驚いた、「闘気」ではない.
そもそも父の大国主命は、ナヨナヨ、軟弱を、正妻の須勢理毘売命に愛されて結婚して、舅の須佐男ともお近づきになれた、という人である.
そして幼少の頃には、兄弟から、ほぼ迫害と言っていい、いじめを受けている.
大国主命、彼の人となりを簡単に復習してみる.これは「古事記」にも明記されている、彼の特徴である.
難点(と明記されているわけではないが)
自己主張の弱さ.お兄さんたちの言いなりで荷物持ちをさせられる、召使い扱いにも文句を言わない.
喧嘩は弱い
弱虫
いじめられっ子
虚弱、ナヨナヨ
良い点
顔と頭はいい、
そして親切、優しい
そして、女性にモテる
間違ってもケンシロウや、ラオウのような闘気としての「オーラ」は、これぽっちもない、と言って良い.
しかし、ふんわりと柔らかい、そして皆を包み込むような、何かがある、そんな父の「オーラ」が今では皆が、別館「図書室」という父の書斎には充満している.
「あ、親父だ・・・・」事代主がいうと
「確かに、親父の雰囲気だ・・・・」建御名方も同意する.
この場所が、皆の勉強と、議論の場所になっていることを後から教えられた、大国主の息子たちは、
「親父の部屋なら、そうかもな・・・」
「俺たちも子供の頃、親父の書斎で宿題したもんな・・・」
「そう、ここは、私がいつもお父さんと話をする場所・・・・・」
「あ!」いつの間にか、隣に立っている、妹を見て、兄たちはちょっと身構えたが、懐かしさがまさったか、
「はるな、いつも親父が本読んでるの、じっとみてたもんな、でもはるなおめえ、あまり勉強しなかったよな」
そう、はるなが勉強でできたのは、家庭科だけである.
国語.現代国語は、ほどほど、古文はちょっと得意.漢文ほどほど
算数、数学ダメ
英語 それなり
理科 料理に関すること、生物とか化学はほどほど.物理、地学だめ
社会 歴史は好きだったかもしれない.でも成績は普通
体育 普通
美術、音楽、書道 可もなく不可もない
家庭科は、先生に神童ではないかと褒められた.他の学科の先生には不思議がられた.
まあ、こんな感じである.
「今、そんな、私の勉強のこと言わなくていいでしょ!」
ちょっとはるなはムキになった.兄たちは、昔のはるなのことを、思い出して、
まあそれほど怒られないのではないかと思い始めていた.不思議な心理ではある.
「親父、はるなには勉強しろって言わなかったからな・・・」
「俺たちにも言わなかったけどね・・・」
事代主は、勉強ができた.特に外国語と現代国語、古文漢文、社会科の成績はめざましかった.理科と、数学はほどほどだったらしい.
建御名方は、実は、体育以外は、あまりはるなのことをどうこう言えるような成績ではなかったようである.
体育はすごかった.あのガタイなのに、身のこなしが軽い.湖の上を、走って渡るほどである.岩を持ち上げて、高天原の力じまんの武甕槌と相撲で張り合おうとするほどであったから.
「まあ、親父の子供で、勉強がほどほどにできたのは、にいちゃんくらいか・・・」
兄弟同士、子供の頃の成績のことを話し始めたので、ルシフェルが本題について話した.
「いやさ、今日はな、おめえたち兄弟に、国譲りとはなんだったのか、ってことについて、説明してもらいたくてよ.それを話してもらったら、なんで家を長く開けないとダメだったか、とか、おめえたちの親父が、雲隠れしないとダメだったって謎が、自ずとわかるだろうからよ.」
「はあ・・・・」事代主と、建御名方は、よくわからないルシフェルの頼みにちょっと戸惑った.しかし、妹のはるなにいろいろ、ごちゃごちゃと詮索されるよりは、まだマシだと思い、「国譲り」について、話をすることにした.
まずは、父である、大国主命が、「国づくり」をしたこと、から.




