表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
253/299

国譲り① 一夜明けて、次の朝・・・

一夜、とは、前の日、七福神カンファランスが別館で行われたその夜のこと.


学会そのものは、盛会のうちに終わった.


しかし、そこである事件が起こったことが問題であった.

学会の理事であり、演者、七福神の1人、恵比寿・事代主命が、事情があって、仮面をかぶって、発表していた.


仮面が取れて、スタッフの人たちに、顔が見えてしまった.当然、はるなも、スタッフの統括的な役割で、会場のアナウンスをしたりしていたのだが、なんと事代主が、長らく家を開けていた、兄、楠本事代であった、ということが判明した.


ルシフェル他、事情を知っていながら隠していた、面々以外はまさに


「えーー!!」という大事件だった.


事代主の弟、建御名方も、近くにいたのを見つかってしまい、はるなに事情聴取をされたということである.


事代主神

建御名方神


この2人、大国主命の子供.父にかわって、高天原との交渉を引き受け、

「国譲り」を、

彼らの国、葦原中国あしはらのなかつくにに非常に有利進めた、国家の英雄といっても良い兄弟である.


はるなのお兄さんたち、のお父さん、大国主命・・・

はるなのお父さんは、お兄ちゃんたちと同じ人・・・・

ということは、はるなのお父さん、は、なんと大国主命だったという、ことが判明してしまったのだ.


「あの神様は、何回も死んでるけど、その都度生き返って、そのうちに、地下の国に逃げ込んだりしているから・・・・」


「じゃ、きっとどこかで生きてるね・・・」


「え、そんなの知らない、お父さん生きているのなら、会いたい、会わせて・・・」

からのはるなの大号泣になったという事件があった、その夜である.


長らく開けていた家で、妹の作った夕ご飯を食べ、

建御名方は兄の事代主と布団を並べて、寝た.


よく眠れたようだ.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


建御名方神は、外が明るくなってから、


「は!」と目を覚ました.

隣で寝ていたはずの、兄はすでにいない.


「しまった!高天原の奴ら、兄者を!」とすぐに身構えてしまうのだ.


そのたびに、建御名方は、「あ、そうか、国譲り、もう終わってたんだ・・・」と思い直すのであった.


「おや、なんかいい匂い・・・懐かしい・・・」


昨夜、妹にあてがわれた、父のパジャマを着たまま、建御名方は、台所の方にふらふらと歩いて行った.


家の作りは自分が住んでいた時と、基本的に変わっていない.


廊下を歩いていると、子供が3人、廊下をモップがけしたり、拭き掃除をしている.

愛ちゃん、健ちゃん、アンテロスの3人である.


「ヨイショ、よいしょ・・・」

愛ちゃんが建御名方を見つけて、


「たけみのオジシャン、おはよう!」


「あ、ああ、おはよう・・・お嬢ちゃんが、あいちゃん・・・だっけ」


「そう、私があいちゃん、お兄ちゃんはけんちゃんで、アンテロスは、キューピーの弟だよ.ねえー」


健ちゃんとアンテロスはちょっと照れ臭そうにして、たけみのおじちゃんに、頭を下げて挨拶した.


この頃はアンテロスくんも勉強会に参加したり、日々のデューティーともいうべき朝のお掃除とか、洗濯をお手伝いするのだ.


廊下に海丸くんが、音を立てずに走ってきた.


「あ、建御名方のおじさん、おはようございます.みんな、起きるの、おじさん最後だから、掃除機使っていいし、洗濯機も回していいよ、みんなで手分けしてやろう!干すのは、後からドクトルか静香にお願いしてね.」


子供達は、「おお!」と持ち場に散って行った.

廊下の向こうから、キューピーが走ってきた.「洗濯機は回してきた」と海丸くんにいう.

「あ、ありがとう、じゃあ、あとは、各部屋の掃除だ.」

子供達は忙しそうに各部屋の掃除をして回る.


ここ、台所だったかな・・・・

建御名方は、ドアを静かに開けて中を覗く.間取りは変わっていない.新しい家電なんかが入っているかもしれない.


「懐かしいな・・・」


はるなは漬物を切っている.

炊き上がったご飯を、しゃもじでほぐしているのは、ヘスティアおばさん

静香は、鮭の切り身とか、だし巻き卵をさらに盛り付けている.


アフロディーテと、愛ちゃん・けんちゃんのママがテーブルに配膳をしている.


アフロディーテを、相手に、兄の事代主が、楽しそうに色々とおしゃべりをしている.かつては、国の命運をかけた、国難にほぼ1人で対処した、腕利きの外交官だけあって、国籍の違う人ともすぐ打ち解けた話ができるのは、この人の持ち味なんだろう.


「私も貧乏したから、わかるんですけど、事業が成功するって、なんかワクワクしますね・・・」今では、愛染結婚相談所のやり手の女社長も、別館での決まった分担仕事をこなしながら、会社の切り盛りをしているのだ.


「商売繁盛のお手伝い、あまり私できてないかもしれませんね・・・」

恵比寿様の重要な一面である.


「そんなことないですよ.私たちはしっかり儲けさせもらっていますよ・・」


「あ、建御にいちゃん、おはよ、ああ、そこにいると邪魔だから、ちょっと外行ってきて・・・そんで、デメテルの母さんと、ポセイドンのオトシャン、シヴァさんもいると思うから、みんなのこと呼んできて、そろそろご飯よ、って」


妹は、思い出したように追加の命令をしてくる.


「あ、後、ルシフェルと、ドクトルは、きっと図書室で、訳のわからない本読んでるから、一緒に呼んできて、図書室、ってほら、お父さんの書斎よ・・・・」


「お、おう・・・」

妹に言われるままに、建御名方は、サンダルを履いて庭の方に歩いて行った.


なんと、庭には、広大な田んぼがある.

「え、なんだ、こんな、広い田んぼ見たことねえ、高天原の奴ら、こんなとこに・・・」


モンペに麦わら帽子、軍手のデメテルの母さんが、田んぼの畦で草むしりをしていた.

彼女の方で先に気がついて、声をかけてきた、「おや、たけみちゃん、お目覚めかい・・・」


「あ、デメテル母さん、精が出ますね・・・流石に、豊穣の女神だけあって、この田んぼ、すごいですね・・・・」


「いや、いや、みんなが手伝ってくれたからねえ・・・」

「あの、はるなが、朝ご飯できたから、って」

「おや、もうそんな時間かね、じゃ行こうか・・・」


建御名方は、サンダルの音を立てながら歩く.


「さっき、ポセイドンと、シヴァが、庭で稽古してたみたいだから、そっち寄って行こうか・・・・」


縁側に面した広い庭には、ポセイドンと、シヴァが稽古をしていた.

シヴァ神は、大黒様として、七福神カンファランスの主要なメンバーであり、オリンポスの兄弟・姉妹とは、懇意の中である.もちろんゼウスを介してである.


「おお、ポセイドンよ、おめえ、なかなか腕を上げたな・・」

「いやー、シヴァの兄貴もなかなかのもんで、あっしらにはとてもとても太刀打ちできるもんではありませんぜ」


ポセイドンは、漁から戻って、朝の市場の寄って、残った魚を、別館の冷凍庫に保管して、たまたま庭で、シヴァ大先輩に、あって、お手合わせをしましょう、ということになったらしい.


縁側では、弁天様・サラスバティー、旦那のブラフマー、親友のヴィシュヌ、と大黒様の奥様のパールバティーさんが、2人の練習を眺めていた.


「あの、皆さん、朝ごはんの支度ができたみたいで・・・」

縁側の前でスリッパを脱いで、皆で一緒に食堂の方に行った.


ルシフェルとドクトルが、何やら医学のことを話ししながら、食堂の方に向かう.


別館の食事は、食べたい時に食べれるのだが、神々が色々旧交を温め合ういい機会なので、まとまって食べることが多いようである.


建御名方は、事代主のとなりに座って、用意されたご飯を食べた.


そこに、はるながきて、

「お兄ちゃんたち、ご飯が済んだら、話があります.お父さんの書斎まで・・・」


そういうとはるなはまた台所に戻っていった.


兄たちは、お互い、顔を合わせて、箸を止めて、しばらく沈黙していた.


しばらくして、は、と我にかえって、ご飯を全部食べ終えた.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ