時の本棚
時と子供の話・・・・
「天と地を、時が切り離したって、なんか宇宙の中で、星が生まれたみたいな、
ギリシャの昔の人が考えた、ビック・バンですか?宇宙の開闢かいびゃくみたいな・・・・」静香が彼女らしい意見を言う.
「ほお、なかなか、面白い意見だな、そう言われてみたら、そうかもしれねえ」
ルシフェルがいうが、だとしたら、なんか気がつくのが遅い気もするが.しかし、まあこのおおらかさが、オリンポスの最高神の、持ち味なのかもしれない.
クロノス、つまり、時と豊穣の神、とても知恵のある人?
ヘシオドスさんは、
「悪知恵のたけたクロノス、というところを見ると、悪賢い人だったのですか?」ママがおばば様の方を向いてきてみる.
「まあ、あんまそんな感じの人ではないね、私のことも大事にしてくれたしね、しかし、うちの親の予言(お前も子供に権力を奪われる!)にずっと心の中が、支配されたっていうか、心を閉ざされたっていうか・・・それで子供たちが生まれたこと、素直に喜べなかったのかもしれないね、国語の授業みたいなこじつけで申し訳ないけどね・・・・」おばば様、まさに当事者のコメントである.
「なるほど・・・・」とママはノートに書き留める.
「そお、子供のことも、旦那様のことも、女には、大事なものです.どっちかを取りなさい、いえいえ、それはできません・・・みたいな.おばば様も葛藤されたのでしょう・・・・」
レト様は消え入りそうな優しい話し方で意見を言われる.
アルテミスと、アポロンは「ぽー」とする.ルシフェルと、ポセイドンも、なんか、ニヘラニヘラして、レト様の話を聞いている.ドクトルと、海丸君と健ちゃんも、「ポー」と火照ったような顔になる.
「はいはい、あんたたち、レトさんの話でそんなにぽーっとしない!はいはい、ちゃんと目を覚まして」テミスのおばさんが、職権発動で、皆を現実に引き戻す.
「ごめんね、レトちゃん、あんたの話は、なんか皆、どういうのか、こお、ぽーっとなっちゃうから、もう少し厳しめに話をするとかってできないものでしょうかね・・・抑揚をつけるとか、感情をあらわにするとかで・・・」おお、意見を拝聴するのは、初めての、このかたも詩作とか、歴史とか、記憶とか、学問的な顧問とか特別講師の、ムネモシュネおばさんだ.ゼウス兄弟や、レト様にはおばさんに当たる.
「あんな、レトにはレトのいいところがあんだから、なんでも、詩とか文章、わざとらしく強弱つけたり、感情込めていうのが能じゃないでしょ、レトみたいに感情を殺した話をしながら、なおかつ、皆がぼーっとするというのまさに、レトの話し方だと思わないかい?」おばば様はレト様贔屓である.
「まあ、そうかもしれませんが・・・」ムネモシュネおばさんもおばば様の意見には反論できない.
レト様は大人しく、ボソボソ話すのだが、その衝撃はかなり大きい.彼女から、議論があらぬ方角に向かうのはよくあることである.
ママが、議論を修正する.
「時を超えるすべ、ってつまりどういうことでしょうか?勉強?修行、それとも、時の帝国を打倒するためのテロ組織?」
「テロ組織ってのは、そりゃ、あんまりだろ、仮にも親父のことだしな」ルシフェルはいう.
「僕は、やはり、時を超える方法というのは、勉強じゃないかと思うのです.色々しれば、昔のことがわかるし、さらに自分が発見した法則とか、発明とか、ずっと後世の人にも知ってもらうと、生きていた証みたいになるだろうし・・・」
お、海丸君またいいこと言ったね・・・
「時を超えるそのすべ、というのは、雪割草たちは、勉強しなさい、という意味で言ったのかな?愛ちゃんと健ちゃんはどお思う?」
「うーん・・・まだわかんないや」
「あいちゃんにもわかんなーい・・・」
というと二人は、キッズルームの方に絵本を読みに出て行ってしまった.
「あなたたち、誰か、忘れてはいませんぬか?」
図書室のドアが開き現れたのは・・・・・
「あ!」ドクトルは叫んだ.
彼がなんか誰か忘れているかな・・・と言ったのは、そう
「ヘラ様!」
「みなさん、お久しぶり,ご機嫌いかが・・・」
「まあ、あんたはいつも通り、女王様の体質消えないね・・・」おばば様はいうが
「まあ、それは、おかげさまでということでございましょう、母上様」
「久しぶりにあいちゃんに会いに来たのですが、なかなか楽しそうな会ではございませんこと、何で私に声をかけてくださらないの?」
「いや、おめえ、そうは言っても、なあ、レトもいるし・・・・」
ルシフェルは、正妻と側室の同席を前にして絶体絶命のピーンチ!!
レトは立ち上がって、ヘラに近づく.
皆が見ているところで、レトとヘラはハグをした!
「えええ!!!」一同びっくりしていると
「みなさん、何をそれほど驚いておられるの?」とレトが穏やかに聞く.
「そお、レトも私も、今では、大の仲良し、みなさんご存知なかったの・・・」とヘラ様もいう.
そお、二人の奥方は、「強敵」同士である.
「え、そんなことあり得るのかい?」ルシフェルが聞くと
「あなたも一体いつの時代の感覚ですの?アイオリス、アカイア、ドーリア、イオニアの各ギリシャの部族が争ったのは、数千年も昔の話です.今ではギリシャ民族は、精神的には離散しているかもしれませぬが、神々を中心に、統合されていると言っても良いでしょう.レトと、私の争いなど、とうの昔に終結しております」
・・・・・・
「それでね、私の意見を申し上げてもよろしいこと、クロノスが子供達を幽閉したこと、これは民族とか、政権の争いという要素が、ないとはいえますまい.なぜなら、養女である私まで幽閉されたのですから.だから、政権交代、民族の信仰いろんな話を混ぜ合わせて、長い時間をかけて伝わった話をしたのが雪割草だということでしょうね」ヘラ様は続けていうのは、
「それに、親と子供、夫婦の間には、絶えず、争いがあり、葛藤があり、そしてそれでも断ち切れない、絆というものがあります.その葛藤は、おばば様だけが感じるものではありません.結婚生活とはそういうものでしょう・・・」
皆に反論の余地はない.全員黙って頷くだけである.
「なるほど・・・・」なんか説得力がある、と感心しながら、ママはノートに書き留めた.
このノートはそろそろ終わりそう.次の会までに新しいのを買っておかないと・・・
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大学ノートの表紙には、
『子供とママの「神統記」』
と記されている.
別館書斎の本棚にノートが収められている、そのスペースには、
「時の本棚」と書かれている.
ノートの記載の係りは、
ママから愛ちゃんにそしてその子供、孫に引き継がれることになる.
大きな本棚が、分厚い大学ノートでいっぱいになったということである.
今度こっそり見せてもらいに行ってはどうだろうか?
そこに書かれているのは・・・・・・・・
「誰も知らない、神々の秘密」かもしれないから.




