石はなぜ落ちるか?炎はなぜ上に伸びるか?
「ただいまー」とキューピーが一人で学校から帰ってきた.
アフロディーテ=愛染の母ちゃんと、はるなは居間でお茶を飲んでいる.健ちゃんと、愛ちゃんとママは、図書室で絵本を読んだりしている.
キューピーはなんとなく、元気がない.
「お前、どうしたんだい、元気ないね・・・」母親は、子供の異変はめざとく見つける.なんせ、恋愛とか、母親であることのプロであり、神である女性なので・・・
「海丸くんもドクトルも、静香も、みんな、オリンポスのヘパの親方の研究所に勉強に行ってるでしょ、理科の授業で、宿題が出たの、僕、海丸くんとか、ドクトルいないと、こういう問題全くダメなんだ・・・・」
「どれどれ、母さんに見せてご覧、こう見えても母さん、理科は得意なんだよ・・・」
はるな、と愛染の母ちゃんは、課題のプリントを覗き込む.
「なになに・・・・」
石はなぜ下に落ちて
炎は上に登るのか
「なーんだ、簡単な問題じゃないか!」と母は、すぐに答える
「お前、それはね・・・・」
と、愛染の母ちゃんはとくとくと語り始めた.
「石みたいにさ、重い物質は、本来あるべき場所が、下にあるんさ、だから、石は支えがないと下に、したにと本来ある場所を目指す.つまり落下すると言うことさ・・・」
「え、母ちゃん、ほんと?」キューピーは母の言うことが俄に信じられない感じがしたが、そんなこと気にしないで、
「ああ、本当さ.」母ちゃんは続けていう.
「そんでな、炎が上に上に上がるのはね、火が本来ある場所は、上の方なのさ、だから、炎は上に向かって燃え上がる、どおだい!母ちゃんもなかなか物知りだろ・・」
「ええ、でも母ちゃん、それって、誰が言ってることなの?」
「そりゃ、物事の本質って言えば、アリストテレス大先生が、自然学って本の中で言ってることさ、私たちの故郷のギリシャが生んだ、天才大先生様さ!」
母は故郷を愛し、知恵をも愛している.故郷が産んだ大先生を尊敬している.
ちなみに哲学の philosophyというのは、知恵を愛するという意味である.
さすがギリシャ出身の方は、普通のおばさんでも、「哲学」を語る.
キューピー母子が、いろいろ話をしているところに、絵本を読み終えた、あいちゃんと健ちゃんがおやつを食べにきた.
「愛ちゃん、健ちゃん、どんなお勉強してたの?」はるなが聞く.
「う?初めは、ガリレオ、その次に読んでもらったのは、ニュートンの話.」
母親のいうことだけだと、心許ないので、キューピーは、健ちゃんにもちょっと質問をぶつけてみた.
「健ちゃんは、石がなんで下に落ちて、炎がなんで上に上がるか、って知ってる?」
「あ、石が下に落ちるのはね、引力があるからだよ.ほら、ピサの斜塔ってあるでしょ.あそこからガリレオが石を落とす実験をしたり、ニュートンがリンゴが落ちるのを、みて、あれ、これはなんで落ちるのかなって考えたらしいよ」
そう、子供の理解する、重力の話、これで十分だろう.
「じゃあ、なんで炎は上に上がるの?」
健ちゃんは
「しらなーい!そんなこと、絵本に書いてないよ、いこ、愛ちゃん」
「うん」
とお菓子を食べると、子供たちは、さっさとまた、図書室の方に行ってしまった.
キューピーのレポートである.
「石が下に落ちるのは、古代ギリシャのアリストテレスの考え、それを彼は自然学という書物の中で、記すところによれば、物質には本来あるべき場所がある、石は重いので本来ある場所は下である、支えを失った、石は自然と本来あるべき場所である、下を目指すゆえ、落下する.炎が、上に向かうのも同じ理由であると.しかしアリストテレスよりも遥か後世の、ガリレオ・ガリレイや、ニュートンは、実験により、物質が落下する様子を細かに観察し、石が落下するのは、地球と石の間の重力で、お互いが引っ張り合うからだ、と考えた.物体の運動、特に落下運動は、これらの法則に基づいていると考えている.炎が、なぜ上に向かうかということについては、ガリレオにも、ニュートンにも詳しい記載がないので、不明であるが、風向き等が関与しているものと思われる・・・」
さすがに「融合の神」である.人のいうこと、いいところを繋ぎ合わせて、実に素晴らしいレポートを書くものである.
別館とはまさに多士済々の場所である.




