side02 高天の惨劇
予約投稿を忘れていました。
ただでさえついてきてくれているのが数人しかいないのに申し訳ありません。第2章は結構忘れずに頑張れていたんですけどね……
では、53話をお楽しみください
零蘭颯二―――
それが僕に与えられた名前だ。
彼は、自信ありげに言うが、必要ないものを与えられたとしてもあまりうれしくはない。
それに、僕は彼の名前を―――
「俺も名前をお前と同じものにしよう。―――01番……零陵一。それがこれからの俺の名だ」
「なぜ偽名を使うんだい?君に関しては名前があるのだろう?」
「嘘も使い続ければ本物になる。昨日までの俺は世界調律により死亡する」
「調律―――サバトを行い時間稼ぐつもりか……」
世界調律の言葉を聞き、僕はそれの意図を理解する。だが、僕にそんな力はない。
いくつものリアクトと呼ばれる怪物の力を作り出してきたが、僕に世界を書き換える力はない。
無論、それは彼もだ。
彼自身も壊す力はあれど、それ以上はない。
しかし、彼は言った。算段があるのだろう。自分が愚かではない。馬鹿ではないと自称するのなら、だ。
「奴らの存在を奪い、世界を二つにする。それが調律―――今の世界を保つには、俺たちがより強い存在になる必要がある。世界の修復をした後、俺たちが奴らと渡り合えるように」
「だが、そんな保証はどこにも―――」
「できる。お前なら、俺なら」
そう言う彼の瞳には炎が見える―――確信の炎が。
僕は信じるべきか。
僕の居場所に固執するか。彼とともに道を歩み、道へと向かっていくか。
どうすればいいんだ。彼には確証があるみたいだが、僕にはそれがない。変化のために、賭けはできない。
それに選ばれているのは彼。僕じゃないんだ。
僕が捨て駒になる可能性も―――
「いいか、よく聞けよ」
悩み、決めあぐねている僕に彼は言い聞かせるように声を出す。
「俺も長く外にいたわけじゃない。だけど、その短い間だけでも、外の世界のほうがずっといい」
違う。彼の目はくすんでいる。
本気ではそう思っていない。おそらく僕の興味を引くためだろう。
彼の瞳に映っているのは一つだけ。
復讐の炎だけだ。
だが、今より居場所というのは興味がある。なにがいいのかはわからないが、話には乗るべきだろう。
「わかった。僕もサバトに協力しよう。なにをすればいい?」
「とにかくここを切り抜ける。力の使い方はわかるな?」
「力……?僕の力は創造で―――戦うには基本的に向いていないよ」
「ふむ―――ならお前に本当の力の名前を教えてやる」
「本当の力―――そんなものは……」
「お前の―――いや、俺たちの力の名は『■■■』だ」
そうして僕たちは変身し、来るサバトへと時間を過ごしていった。
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朝になって目を覚ますと、時刻は6時を指していた。
今となっては普通だが、こんな風にゆっくりと睡眠をとれるのは中々に贅沢なことだ。
なんせ、あの施設にいた時は眠ることはおろか、休むことすらままならなかった。まず、僕たちのことを人間とも思っていなかったのが大きいだろう。
まあ、そんなことはどうでもいい。
今は、奴らは存在していない。
サバトによって稼いだ時間だが、刻一刻とタイムリミットが近づいている。
正直、力の本格派見えたが、どこがゴールなのか僕にはわからない。でも、彼は言った。来るべき時が来れば、なるようになる、と。
戦えばいいのだろうか?
しかし、リアクトになれる人間もそう多くない。
おそらく、戦う以外の何かがあるんだろう。まずはそれを見つけないといけないな。
今日は何もない平日だ。
色々やる前に登校の準備をしないと。
早々と栄養補給だけ済ませて、制服に着替える。
時間をかけることも特になく、ものの5分程度で出かける準備も済んでしまった。
早いに越したことはないので、僕は自分の住処をでて、花音の暮らす家へと向かっていく。
火急の用もなく、ゆっくりと歩いていたのだが、その場所に到着したのはほんの15分後。
今の時刻は6時半ほど
一度彼女の家のインターホンを鳴らしてみたのだが、特に反応はない。
人の気配は中からするが、返事が返ってくる様子もない。
仕方ない。
僕は彼女の家の鍵穴に指を添わせて、形状を探る。その情報から、鍵を生成する。
ガチャ
そのままそれを回して開錠し、家の中へと入っていく。
中は静まり返っていて、薄暗かったが、上の方から足音が聞こえてくる。
それと同じように、声も聞こえてきた。
「うい……誰だ、こんな朝っぱらから」
とても眠そうに階段を降りてきたのは花音の母だった。
彼女が階段を下りきり、僕と目が合った。
「……邪魔している」
「うおおおお!?―――ああ、零蘭君か。え、どうやって入ったの?」
「はぁ……鍵を作って」
「え、いつの間に?」
「いや、さっき」
「……??」
彼女の頭が疑問符で支配されたが、僕は構わずに店へはいった。
今はまだ開店の時間ではないので誰もいない。
少し時間が経過すると、店の奥―――彼女たちの居住しているあたりのところからどたどたと足音が聞こえてくる。
足音のほうからやってきたのは紀里谷花音だった。
慌てて起きたのか前髪が上にはねているが、そんなことも気にせずに彼女は僕に話しかけてくる。
「は、早いよ―――まだ私寝てたんだよ?」
「うむ……時間についての言及がなかったから、早い方がいいと判断したのだが……」
「う、うーん……でも、どうやって入ったの?私、家の鍵渡した覚えないんだけど」
「作った」
「へー、つく―――え?」
「だから作った。僕の力は創造を掌る。先ほどは鍵穴に触れて、形状を把握し、鍵を形成した」
「えっと、とりあえずそのカギは持っといていいけどほかではやらないでね」
「やる気もないが、なにかまずかったかい?」
「駄目だよ。泥棒かと思っちゃうじゃん」
「泥棒……ふむ、確かに一般人には遠方から人を判断するすべはないか。わかった、以後は慎もう」
「やめないんだ……」
「緊急時の場合はやむを得ないだろう。まあ、その場合はドアを破ったほうが早いかもしれないが」
そこからしばらくは談笑にいそしみ、登校の時間を待つ。
それを見かねたのか、彼女の母親がリビングへと僕を通し、テレビのある空間で過ごす。
そんな中、とあるニュースが僕たちのもとへと飛び込んできた。
『速報です―――高天市における切断遺体についての情報が入りました。早朝に発見された遺体の所持していたと思われるものから、身元は同市の中学校で教師をしている「向日ヶ原勇」さんとみられ、警察は殺人事件としてなくなった上半身を含めて捜査を進めています』
禍々しい事件だ。しかも、高天市は僕たちの今いる地だ。
近い―――ともするなら、彼女の……
と、思いつく前に花音は言葉を漏らした。
「向日ヶ原先生……?」
忘れておいて―――と思うかもしれませんが、評価感想よろしくお願いします。リアクションボタンを押してくださるだけでもうれしいです。




