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名実182

大変申し訳ないんですが、時系列無視して「文◯」「センス◯」ネタぶっこませていただきました(苦笑)。ちょっと小説の設定の中でどうしても「日数」稼がないといけないもんですから、ちょっとネタ程度の意味で。多少この後の展開に意味は出てきますので、無駄撃ちではないですが……。

「さすがに2人とも、そこは見失ってないですね。まあそういうことです」

この発言をした時の竹下は、含み笑いを浮かべていたように思えた。

「御託はいいから、さっさと話せよ」

西田は自分でウイスキーを雑に注ぎながら、言葉を荒げて急かした。

「わかりました。じゃあ……。こうなってくると、病院側を積極的に動かす手段を講じないといけない、そうは考えませんか?」

「動かすってのはどういう意味だ?」

西田が尋ねる。

「うーん……」

竹下にしては珍しく、自分から話を振っておきながら、即座に答えられなかった。


「何だよ、口からでまかせか?」

西田は酔いも手伝ったが、少々煽り口調になった。

「そういうわけじゃないんですが……。警察自体が取れる方法としては、ちょっと無茶ですから……。それにこれをやったから、確実に病院側を動かせるという保証もないんで」

「竹下さんが自分で言い出しておいて、それだけ歯切れが悪いってのも珍しい」

吉村はむしろ心配そうに様子を窺った。


「病院側のアキレス腱を掴めれば、政治側が責任をぶん投げている以上、大島を守り切る体制を維持出来ないんじゃないかとね……」

「なんだその相変わらず曖昧な話は。はっきりしろはっきり! さっきの神奈川女子医大? だかの話が絡んでくるんだろ!?」

ようやく喋った内容ですら、かなり抽象的だったので、西田は不満を隠せず更に煽りを入れた。それを聞いた竹下は苦笑いしながら、ウイスキーを飲み干すと、

「まあそうなんですが……。わかりました! やり方としてはですね、京葉病院側に、おそらく偽の診断書を撤回というか、新たにまともな診断書を出させるかのどちらかしかないでしょうね、結局は」

と言い出した。


「まあ、それが逮捕の障壁を無くす手っ取り早い方法ではあるが、そんなことは、こっちにも理解わかり過ぎるほどわかってる! だけどな、それは所詮医者の専門分野だからな。それこそ警察としては、医者が無理だと言うならどうしようもない、さっき竹下が言ったように。だからそれをどうやって実現するかを教えてくれや! 医療ミスとの絡みもようわからん」


絡み酒のような感じになっていたのを西田もよくわかっていたが、しばらくぶりの元部下との会話ということもあり、許されるという前提を以って勢いだけで済ませていた。


「具体的に言うと、2つあると思います。まず1つは、手術ミスから情報隠蔽まで、東日本が記事に出来なかったことを、別の媒体で暴くってことだと思います。病院側から政治家使って圧力掛けたとなると、ただでさえ大島匿ってる状況に加えて新たな批判材料が加わりますから、病院としても苦しくなる。そのために、具体的には週刊誌を利用する手があるかと。最近特ダネ連発して、タブーなき報道を自認してる『週刊センセーショナル・スクープ』でもやらせるという方法が考えられますね」

「ははあ、『センスク』ですか!」

吉村がニヤニヤしながら週刊誌の通称を口にした。


「週刊センセーショナルスクープ」は90年代前半まで、大物作家が創設した「週刊文学論考」、通称「文論」として知られていたが、名前が堅いということで、センセーショナルスクープに96年から改名していた。「文論」時代から割と保守的な紙面内容が目立っていたが、ここ最近編集長が変わったせいか、やけにあらゆる方向に噛みつき出し、政財界、芸能界、スポーツ界を巻き込んで大スクープを連発していたのである。


「お前、そことコネあるの?」

西田がやや目が座ったまま視線を向けた。

「いや、全くありません」

清々しい程に全否定されたので、西田も吉村も酔っていたこともあったが、大袈裟に仰け反った後、

「それじゃ意味ないじゃない!」

と机を叩いた。

「自分でやるとは言ってないですよ!」

大袈裟なリアクションに内心苛立ったか、苦笑いしながらも机をバンと叩き返した竹下だったが、

「要は、高垣さんに依頼するってことですよ!」

と、続けてピシャリと言い切った。

「ははあん。なるほど、高垣さんか! ただ、高垣さんもフリージャーナリストとは言え、センスクとコネあるかどうかは別問題だろ?」

西田は納得したもののすぐに不安を訴えた。


「95年に、西田さんに指示されて高垣さんに初めて接触する前、黒須と一緒に高垣さんの著書を見て、『予習』しておいたんですが、その時読んだ本が、当時のセンスクの前身の『文論』で連載していた記事をまとめて本にした奴だった記憶があって……。さっきネットで確認したらやっぱりそうでした。勿論かなり古い本でしたから、今のセンスク編集部との関係ははっきりしないこともあって、更に調べてみると、99年に書いた著書が、改めてセンスク連載だったようで、多分行けるんじゃないかと。まあ編集部の入れ替えが、その後あったとかないとかって話もネットで見ましたから、そこがどうなってるかは微妙ですけどね」

「そこまで調べてるなら、確かに行けるかも……。高垣さんが協力してくれるならですけど」

吉村もビーフジャーキーを口の中で「揉みほぐし」ながら、満足そうに言った。


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