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第9話 魔王、王都襲撃!

夜の王都に不穏なざわめきが走った。

鐘の音が三度、短く打ち鳴らされる。緊急の合図だ。


リオが跳ね起きて剣を掴む。


「な、なんだ!?敵襲か!?」


私は窓を開けて息を呑んだ。遠くの街並みに、赤い光が滲んでいる。


「来た……魔王軍」


兵士が駆け込んできた。


「勇者様!女神様!至急、城門へ!」


リオが青ざめる。


「おいおい、また俺かよ!」

「勇者は忙しいの!」


私は彼の背中を押す。

城門へ着いたとき、すでに火の手が上がっていた。

灰色の魔獣が群れをなし、炎を纏った巨人が人々を蹂躙している。

兵士たちは必死に防衛線を張るが、押されていた。


「勇者様!」

「どうかお力を!」


一斉に向けられる視線に、リオは頭を抱える。


「やめろおお!俺はただの村人だって!」

「今は勇者!」

「代理だろ!」

「代理でも勇者!」


魔獣が迫る。リオは剣を構え、半泣きで吠えた。


「……ちくしょう!やるしかねえ!」


剣が振るわれ、私の支援で一瞬だけ速度が増す。

刃が魔獣の首を裂き、血飛沫が石畳を濡らした。


兵士たちが歓声を上げる。


「勇者様が討ち取ったぞ!」

「勇者様万歳!」


リオは顔を引きつらせながらも踏み込んだ。


「くそ……やめろそのコール!」

「似合ってる!」

「似合ってねえ!」


そのとき、空が裂けた。

黒雲が渦を巻き、王都全体を覆う。

耳の奥に、あの赤い文字が再び突き刺さる。


【未登録の干渉 増大】


低い声が響いた。


「勇者……女神……面白い」


兵士たちが顔を上げて震える。


「声が……空から……」


リオが剣を構えながら叫ぶ。


「おい女神!これって!」

「魔王本人!完全に見てる!」

「見てるだけかよ!」

「見てるだけじゃ済まない!」


雲から降り立った影――六本の腕を持つ巨躯が現れた。

魔王ではなく、その分身。だがその威圧だけで兵が膝を折る。


「勇者よ。名ばかりの勇者よ。その剣で私を止められるか」


リオが青ざめる。


「止められるわけねえだろ!」


私は慌てて前に出た。


「大丈夫!聖具がある!」

「まだ不完全だって言ってたよな!」

「気分は完全!」

「気分で勝てるかああ!」


聖具の剣が光を放ち、リオの手に吸い込まれるように収まった。

青白い光が彼の全身を包み、魔王の分身と対峙する。


「……勝手に装備された!?」

「似合ってる!勇者っぽい!」

「俺の意思はどこいった!」


分身が腕を振り下ろし、石畳が砕ける。

リオは必死に剣で受け止め、私が支援を重ねる。


「立て!勇者!」

「もう立ってる!」

「もっと勇者っぽく!」

「勇者っぽくって何だよ!」


光と闇がぶつかり合い、王都の夜が白く染まった。

だが剣の光はまだ弱い。不完全なままでは分身を押し返すのがやっとだ。

リオは歯を食いしばり、叫ぶ。


「女神!このままじゃ押し切られる!」

「わかってる!でもあと少し……あと少しで聖具が完全に目覚める!」


分身の口が笑った。


「面白い。ならばその時まで殺さず弄んでやろう」


赤い雲がさらに渦巻き、王都全体を覆う。

兵士たちが次々に倒れていく中、リオと私だけが前に立ち続けた。


(次で決める。次で絶対に……!)


私は聖具に手を添え、光を呼び込む。

リオの瞳が決意に燃えた。


――最終決戦が始まる。

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