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第10話 者代理と女神、奇跡の一撃

王都の夜を覆う赤黒い雲が、重く押し寄せていた。

六本腕の魔王の分身が立ちふさがり、兵士たちは次々と膝を折る。

立っているのは、リオと私だけ。


「……やべえな」リオが剣を握りしめる。

「大丈夫、聖具が目を覚ます。あと少し」

「“あと少し”が命取りなんだよ!」


分身の腕が振り下ろされ、地面が爆ぜる。衝撃でリオが吹き飛ぶ。私は慌てて光を放ち、着地を和らげた。


「ぐっ……助かった……」

「まだ立てる!」

「立たせてんのはお前だ!」


剣が青白く輝き始める。だが光は不安定で、まるで迷っているようだった。

分身の笑い声が街に響く。

「その程度か。偽りの勇者よ。女神よ。滑稽だ」


リオは歯を食いしばる。


「……俺は勇者じゃねえ!村人だ!」

「今それ言う!?」

「でも、誰も信じてくれねえんだ!村人だって叫んでも!」


分身の拳が迫る。リオは必死に剣を構えた。


「だったら――今だけは、勇者でいい!」


青白い光が剣を包み、轟音と共に分身の腕を弾いた。

剣の鞘が砕け、まばゆい刃が露わになる。

紋章が浮かび、空気そのものを震わせた。


「……覚醒した!」

「おい女神!これ暴れてるぞ!」

「大丈夫、リオなら扱える!」

「根拠は!?」

「ノリ!」

「やっぱり根拠ねえじゃねえか!」


それでも光はリオに応えるように収まり、分身と対峙する。


「終わらせるぞ、勇者」分身が吠える。

「終わらせるのはこっちだ!」リオが返す。


私は彼の背中に手を当て、奇跡を重ねた。


【支援型奇跡:加速・痛覚鈍化・刃の共鳴】


耳の奥で赤い文字が連打される。


【未登録の干渉 強制記録】


(いいよ……全部見てろ! 私たちの勝ちを!)


リオが走る。

分身の腕が襲いかかる。

剣が光をまとい、真っ直ぐ突き抜けた。


轟音。

光が雲を割り、赤黒い闇を切り裂く。


分身が悲鳴を上げ、崩れ去った。

王都に静寂が戻る。兵士たちが顔を上げ、震える声を漏らす。


「勇者様が……魔王を退けた……!」

「女神様と共に!」


リオは剣を地面に突き刺し、荒い息を吐きながら言った。


「……ちくしょう……生きてる……」


私は笑顔で親指を立てた。


「おめでとう、勇者!」

「俺は村人だ!」

「今は勇者!」

「……もう好きに呼べ……」


兵士たちの歓声が夜空に響く。


「勇者様万歳!」

「女神様万歳!」


リオは頭を抱えながらも、聖具を手に立っていた。

その夜、王都は救われた。

だが、耳の奥にはまだ赤い文字が残っている。


【監視継続】

【未登録の干渉 継続】


魔王は退いた。けれど倒したわけではない。

戦いは終わっていない。


私はリオの横顔を見た。

彼は疲れ果てていたが、剣を手放さなかった。


「勇者ってのは……本当にしんどいな」

「でしょ?でも楽しいよ」

「お前、絶対感覚ずれてる」


それでも、私たちは立っている。

勇者は居ない。けれど、勇者はここにいる。


――代理勇者と雑用女神の物語は、まだ始まったばかりだ。

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