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PQC
読んでいただきありがとうございます。
「すると量子の話しをするぐらいだから、それ相当のスパイ情報のネタがなければ、それだけの価値がないわよね。暗号とか」
八木洋一は最近になってPQCを知ったとは言っているが、具体的な話しにはツッコミは入れられない。何しろ偏差値上位の国立大学出身ではなく、低偏差値の地方出身なので、その辺の予備知識がないのだ。
「自分には調べものがあるとは言えません。それで勝てるかどうかも確証が得られない」
ここで八木洋一は日本の最高学府の東大が、PQCにおいてドイツのかつてのエニグマみたく、勝てるような要素がないならば、ワンちゃんあるかもとは思うのであるが、いささか、外国だよりではあるようだ。
「エニグマって、あの暗号機の?」
使者はたずねると、八木はそうですと答えるのである。