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世界一可愛い君と家族生活(仮)をしてみた件。  作者: 瑠璃
第1章 世界一可愛い美少女
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世界一可愛い君と白銀の妖精

「ひさ、しぶり。フユくん」

「アキ……」


 久しぶり。そんな言葉が出そうで出なかった。

 なぜだろう。アキとは気まずくなるようなことは過去にはなかったのに。


「涼くん、どうしたんで……す……か……」


 俺が疑問に思っていると、突如として陽和が家内の奥から姿を現し、陽和の言葉が尻すぼみになる。

 恐らく、俺が遅いから心配になって来たのだろう。

 ただ、状況にはタイミングというものがある。

 案の定、陽和はアキを見た瞬間、まるで石になったかのように固まった。


「フユ、くん。この人、は?」

「ん?ああ、お隣に住んでる櫻井陽和だ」


 俺が陽和を紹介すると、陽和はハッとして体をピシッと伸ばした。あ、石化解けた。


「その、ご紹介あずかりました。涼くんの隣人で櫻井陽和と申します」


 よろしくお願いしますと背中を90度に曲げる陽和。そこまで緊張しなくても……。


「陽和、こいつは萩原秋穂。一応、幼馴染に該当するかな。俺は秋穂だからアキって呼んでる」

「萩原、秋穂、です。よろし、く」


 アキはそう言うと、優しく微笑み、陽和に握手を求めんとばかりに手を伸ばす。

 陽和はその手を取り、お互い笑顔で……。


「ところ、で、フユくんとは、どういう、関係?」


 握られた手がギリギリと音を立て始める。あれ、さっきの仲のよさそうな雰囲気は?


「いえ、別に?あなたの思っているような関係ではありませんよ。まだ」

「まだ、っていうこと、は、私の、想像して、いるよう、な関係、に、なる、つもり?」

「あら、それ以外の何に聞こえるんですか?」

「っ!」

「っ!」


 あっれえ……、なんか二人の間に稲妻が見えるんだけど……。


「あ、アキちゃんだー!久しぶりー!」


 二人がバチバチとやり合っていると、奥から緋色が顔を出してアキの顔を見るなり、アキの胸に抱き着いた。


「緋色ちゃん、久し、ぶり」

「しばらく見ない間に可愛くなったんじゃない?喋るのも上手になってるし」

「ありが、とう」


 アキが微笑むと、緋色は「えへへ、どういたしましてー」と人好きにさせるような笑顔を見せる。

 相変わらず仲がいいなあ。


「涼くん、萩原さんが喋るのが上手になったって、どういうことですか」


 久々に見る光景を微笑ましく見ていると、陽和がそんな疑問を俺に投げかけた。


「ああ、アキはちっちゃい時に喉の病気を患ってな。その影響で中学までは俺以外の人にはあまり声を出さなかったんだ」

「なぜ、涼くんだけ……」

「さあ、それは本人に聞くしかないけど」

「どうせ、無粋な理由なんでしょう」


 そう言って口を尖らせる陽和に俺は手を伸ばして、デコピンをお見舞いした。


「いつっ」

「そういったことは言わないの」

「うぅ……」


 陽和は呻くだけで反論はしてこなかった。恐らくは理解したということだろう。


「まあ、立ち話も何だし、アキ、上がってくれ」

「うん、お邪魔、します」

「ほら陽和も」


 家の前で立ち尽くしている陽和にそう言うと、「分かりましたよ……」と拗ね気味な声で返しながら家の中に入っていった。

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「それでアキ、そろそろ用事があるなら言ってくれ」


 あの妙な対峙から数分後、俺はアキに対してそんなことを口にしていた。

 そう、中学時代は割と俺にくっついていたアキだが、意外と用がない限りは俺に近づかない時も多かった。なのでここに居るということは俺に用事があるということだろう。


「その、ね、私、隣に引っ越してきて……」

「ぐはっ!」

「陽和⁉どうした⁉」


 アキが隣に引っ越してきたと言ったとたんに膝をついたぞ、この子!!


「私のお隣ポジションが……!」

「あ、そうゆう……」


 確かに陽和はそういったポジションを確立させていたような気もするが、そのポジションが一気に崩れ去ってショックを受けているのだろう。


「そういえばアキちゃんはお兄ちゃんたちよりも偏差値の高い高校に通ってたよね。確か……」

「筑波大学附属高等学校……」

「わお、東京で特に偏差値が高い高校じゃん。けどここは筑波大学附属高等学校と結構離れてるよ。登下校はどうするの?」


 緋色の疑問はもっともだ。ここは筑波大学附属高等学校とはかなり離れている。電車でも軽く一時間は越すだろう。

 陽和も同じことを思ったらしく、緋色の疑問に対して首を縦に振っている。

 すると、アキは「それ、は」と口を開いた。


「筑高を、出て、フユくん、の学校、に、転校する」

「「「………………は?」」」


 素っ頓狂な声が三人同時に出たのは仕方ないことだろう。だって、この子の言っていることが理解できなかったんだからな。


「……アキ、今なんつった」

「フユくんの、通って、る、高校に、転校、する」

「ほ、本気……?」

「う、ん!」


 アキはそう言って今まで見たことがないぐらいの笑顔を見せた。

 いやいや、ちょっと待とうか。


「あー、アキ?何も転校は……」

「もう、決めた、から」


 あー、モード入ってる……。

 アキはモードに入ると、人の話を聞こうとはしなくなるので、マジでここが難点。


「編入試験は……」

「だい、じょぶ」


 ですよねー。こいつ、俺より、下手をすれば陽和よりも頭がいいので編入試験など論外にほぼ等しいだろう。


「フユくんと、同じ高校、楽しみ」


 アキがそう言って笑うと、俺もしょうがないなと笑って見せた。

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