表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メッセージ  作者: K
PR
17/30

17 チャネラーなんだ

渉は、青ざめた顔で、爽を睨みつけている。

その気持ちの裏側にあるのが、一体、何なのか。

恭平や巧には意味の見えない爽の言葉が今の渉に強烈なショックを与えたことはわかる。

恭平は、爽が、渉の抱え込んでいるものに、切り込んでいることを確信した。

これは…。

すばやく巧を見ると、巧は、慣れているのか、口元が笑っている。

爽にまかせろと顔に書いてある。

恭平は、渉を見て、爽を見た。

巧が爽を信頼するのは、兄弟として当然だ。

恐らく、爽が、必要なことをしているのだと、巧は確信している。

けれども、教師として、判断しなければならないのは、自分だ。

こんなことを、生徒に投げかけていいものか、恭平は迷った。

その恭平に、爽は、目を向けた。

大丈夫だから…。

爽の目が伝えていた。

その目を見た恭平は、覚悟を決めた。

「榛名、彼は、チャネラーなんだ。」

「チャネラー?」

渉が、胡散臭そうに、眉をひそめる。

「何ですか? それは…。」

さっきまでの、高校生らしい顔は消え、大人びた、警戒心の強い顔が浮上していた。

「イタコを知ってるか? 情報源は、爽君本人もわからないそうだが、そういう霊媒のようなものだ。」

「霊媒?」

馬鹿にしたように、渉は嘲った。

「先生、俺をハメたんですか? こんな茶番につきあわすために?」

言葉遣いも雑になっている。

渉自身に、余裕がなくなっているせいだ。

それは、渉が持つ何かの核心に近いことを、爽がついたせいだと、恭平は感じた。

「それは違う。爽君とは、4月に一度会ったきりで、連絡もとっていない。巧に会った2回とも、全くの偶然だ。」

「正確には3回目だけどな。」

口をはさむ巧を無視して、恭平は、立ち上がったままの渉の肩を軽くつかんだ。

「俺も、こんなことは、テレビの中だけの話だと思っていた。正直、爽君のチャネラーとしての能力を、俺は信頼しているわけじゃない。でも、彼の人間性は、信頼できると俺は思う。彼の言葉なら、聞くに値すると、俺は思うんだ。」

「…。」

「信じなくてもいい。話だけ、聞いてみないか?」

渉が、恭平をにらみつける。

けれども、恭平はひるまない。

「面白がっているわけじゃない。今すぐにここを出てもいい。だが、もし、出たとしても、このことは、ずっと心にひっかかってしまうはずだ。今のお前の反応を見たら、誰でも、そう思う。」

爽は、黙って、渉の返事を待っている。

「話だけ聞いて、それを嘘だと処理するのは、お前の自由だ。もし、お前が絶対に、納得できないことを言われたなら、俺が、こいつらを処理しよう。」

「どういう意味だよ。」

巧が笑う。

何故か、さっきの巧の「こういうのは、たいてい必然なんだ」と言った言葉がひっかかっていた。

巧に会ったのは、本当に偶然だった。

渉の骨折の際、薬局の、何人かいた薬剤師の中で、巧にあたったことも、今日、シフトの関係で、中途半端な時間に帰る巧と出会ったことも。そして、巧のバイクで、渉がこの『ありす』に来たことも。そして、たまたま、そこに爽がいたことも。

全ては偶然だった。

偶然のように見えた。

けれども、それが、必然だったとしたら?

「聞いてみた方がいいと、俺は思う。」

巧が、ふふんと笑っている。

爽は、じっと待っていた。

渉は、仕方なく椅子に腰をおろした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ