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約束・その三

官能小説を書きかけてしまった……。(修正済み)

『昔は、血を得るという行為は命を伴うもので、吸血人は蚊やヒルのように体が小さくない。何処にも身を隠せず、潜むこともできない彼らは、そこで一度血を得る際、相手を手中に収めるという手段に行きつきました。そう、ドンキなどで売っている強力な媚薬に絶対と言っていいほど入っているもの………』

 約束をしてしまったから色々知るべきだろうと思い自室で調べていると、あまり知りたくない情報にたどり着いてしまった。ピンクなサムネの引力は強すぎる。

 つまり、わたしは紗代に……ほ、骨抜きにされてしまうのだろうか。そう頭に思い浮かんでしまい、頬に熱が集まってきてしまう。

 べべ別に紗代はそういうつもりは───いや、わたし自身をプレゼントとして所望していた。

「そそそんな、あの紗代がそんなこと知っているわけない。たぶん」

 明日のお泊り会、どうなってしまうのだろう。


────────────


「そう?ごめん」

 首を傾げ謝る紗代。力強くつかまれた腕から逃がさないと言われているようで、身体が発火するように熱くなってしまう。

 中二の頃、女子に告白された時から、同性同士の事柄にはあまり拒否反応は無い。なんなら、紗代となら──いやまて、これは流されている気がする。

 カチ、カチと時計の針の動きが鳴り響くよその家のリビング。見慣れているはずなのに、これまでにない緊張で心臓が飛び出そうなほどに動いている。

 わたしの腕に紗代の顔が近づく。始まる、そんな抽象的なことを思うとともに自然と手に握りこぶしを作る。そんな時、紗代の顔が上がった。

「どうやって口で血出すの?」

「し、知らないの?」

「うん、知らない」

 そんな無知な紗代に無理に力んでいた力がどっと抜ける。それと同時に大きなため息が不意に出てしまう。

「はあ」

「だって!パパ(くそじじい)は知らなくて良いって、言ってたから…………」

 ため息に言い訳を並べる紗代の声はどんどんと弱くなっていき、最終的には聞き取れなくなっていった。

 じゃあ辞められる。そう考えた時、紗代の言葉に考えを改めた。

「死ぬほど嫌だけど、ジジイに教わって──」

「わたしが教える」

 気付いた時には膝立ちをしていた。

「あんたに、分かるの?」

「まあ、動画見たから」

 仕方がない。そんなことをされたら、紗代の親にわたしたちが、へ、変な関係だと誤解されかねない。

 座り直し、つかまれたままの腕の緑の線(血管)を指で示す。

「この血管、見える?」

「あー、うん」

 腕に近づく紗代の顔が「みえた」と上がる。

「これに歯を立てるらしい。ああ初めは注射の時みたいにして血管を浮き立たせたほうがいいらしい」

 腕に噛みつこうとする紗代に早口で付け足す。

 それに倣い、わたしの手首あたりを紗代がブツブツと呟きながら掴む。

「えーと、腕を手で、って、紗代の腕、ほそっ。大丈夫か~これ」

「それで八重歯で、そうそれ」

 「これ?」と削りたての鉛筆の先のような形をした歯を指差す紗代に頷く。

 こんなやり取りをしていると小学の頃を思い出す。あの時はわたしがちゃんと授業に出ていたから成績も頭も良かった。だから、紗代の宿題を教えていた。

 今のように『このやり方で合ってる?』と聞いてくる紗代に、頷いてッ!!

「痛ッ!!」

 過去に思いをはせていると、ブっとい針が無理やりに刺さりこんでくるような痛みに襲われた。

「大丈夫?」

 わたしの声に引っ張られるように上げられた紗代の顔は、心配するような顔色は一切なく。何かに驚いたように瞳がキラキラと輝いていた。

「大丈夫、だけど」

 だけど!!わたしにも悪い所があったと思うけどさぁ、やるよ、とか何か合図くらいしろよ!!

「それにしてもムッチャ美味しい!こんなの初めて!歯についた血を舐めただけなのに美味しかった!」

「そう、良かったねっ」

 すうすうとした痛みに歯をかみしめ返事をしていると、痛みが徐々に遠のいていくことに気付く。

 これだろうか?麻酔みたいに考えていたけど、局所的に感覚を鈍らせるものとは違い、ひりひりとした痛いような感覚。それと部屋の温度と紗代の体温、それらとのわたしの体温の差が敏感に感じ取れる。

「もう少し貰うね」

 紗代のルンルンとしたご機嫌な声に頷きを入れようとしたその時。

「あっ──」

 不意を突かれた、ざらついた甘い痺れを誘う感触に声が漏れた。

「え?」

 わたしの目を見つめる紗代の困惑気味な表情に顔をそっぽと向ける。

「もう終わりにし──」

「いやまだ!」

 紗代がわたしの終了を誘う言葉を押しのけるように温もりのある舌がわたしの肌を舐め上げた。

「んっ、ふっ」

 そして、尖った歯が先ほど開けられた穴に差し込まれた。それと同時に肌に触れた、ふふんと得意げな鼻息だけで、わたしの神経をごっそりと持ってかれてしまう感覚があった。


 読んでくださりありがとうございます。

 面白いと思ってくださったなら次も読んでもらえたらなと思います。

 誤字脱字や分かりにくいとことがありましたらら、コメントで教えてれたらうれしいです。誉め言葉なら十倍うれしいです。

 次は

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