第1話 死亡と転生。そして新たな生活。
「はあ、、、一体どうなってるんだよ!」
俺は今走っている。
豊かな春を満喫していたら、突如よくわからん黒服に追いかけられたのだ。
なぜかはわからないが、今は追いかけられているのだ。
走りながらで悪いが、まずは俺の自己紹介。
俺は御年27歳の商社勤務のサラリーマン。
名を源五郎という。
自分でいうのもあれだが、結構珍しい名前だろうと思う。
子供のころはこの名前のせいでさんざんいじられたからな。
昔親に名前の由来を聞く課題があった。
そん時は、ろくな理由がなくて大変だった気がするな。
あれ、どんな理由だっけ?まあいいや。
もちろん、全国の源五郎さんをバカにしているわけではないぞ。
ただ、俺がこの名前をあまり好いてないだけだ。
そういえば、なんでこんなことをしゃべっているんだ?
走馬灯というのは、昔のことを思い出したりするみたいだが、なんか今の状況、それに似てないか?
なんか、体に寒気がしてきた。
次第に手足の感覚も弱くなっている気がする。
俺の腹にはいつの間にか風穴があいている。
黒服は立ち去ってゆく。
俺が子供のころは正義感が強くて、アンパンヒーローのアニメをよく見ていた。
今の状況は、顔が濡れて力が出ないのではなく、体に穴が開いて力がでない状態である。
多分死ぬな、これ。
本能的にわかる。
なんか、あっけない感じだ。せっかくここまで努力してきたのに。
なんで殺されたかもわからないなんてな。悲しい話だ。
もし神様とか、天で見てる人がいるなら、死因くらいは聞かせてほしい。
ああ、助けに来てくれるヒーローとかいないのかな。
やっぱ空想の中だけなのだろうか。
俺の意識は途絶えた。
おれは意識が戻った。
といってもなんかふわふわしている気がする。
手足の感覚はあるし、息もしている。
でも体が軽いな。
というか、意識があるってどういうことだ?
俺、撃たれて死んだじゃん。
なんか、体が小さくなったような??
ふと前をみると、目の前には2人の男女。
どっちも俺のことを涙を流しながら見ていた。
取りあえず手を伸ばしてみる。
すると俺の手が、おねえさんの芳醇なる二房のうちの一房に触れる。
男の方は、それを笑顔で見ている。
(どういうことだ?)
(自分の女の胸にほかの男が触れてるってのに、なんでそんな平然としているのだろうか。)
俺の中に一つの確信が生まれる。
(この人たちって俺の親、、、ってことか?)
なぜかはわからないが、俺はもう一度世界に生まれ落ちることができたみたいだ。
そしてどうやら俺の予感は的中したみたいで、この人たちは俺の親御様だそうだ。
あ、あと俺は赤ん坊だから、母親が母乳を飲ませてくれる。
(ミルクを飲むのなんていつぶりかなあ)
そう思いながら幸福の味をひしひしと味わった。
ここにきて1週間、最近思ったことがある。
あまりにも文明レベルが低いのだ。
といっても、中世くらいはあるので、生きる上で問題はないのだが。
さらに気がかりなのは、俺が聞いたこともない言語だということ。
俺は生前、マルチリンガルだった。
英語、日本語、中国語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ドイツ語、あと少しだけクルド語もわかる。
でも、それらのどれでもないのだ。
文法、単語ともになにも理解できない。
なんか、また一つ俺の中で疑念ができた気がする。
取りあえず、これは少しずつ覚えていこう。
ここにきて2ヶ月。
言語も、日常会話程度はわかるようになってきた。
まだ赤ん坊なので、会話ができるわけではないが。
言葉がわかるおかげで、いろいろ知れた情報がある。
まずは親の名前。
この金髪美女は俺の母のエリザベール。
カッチョイイ名前だが、どうやら近くの国の上級貴族の家系らしい。
そして男前な俺の父、エドアルド。こいつもまた、貴族の家系らしい。
つまり、俺はけっこう裕福な家庭に生まれたみたいなのだ。
「おーいアルフォンス!」
あ、それと俺の名前はアルフォンス。
アルフォンス・フォン・ディナスティス。
ディナスティス家は父方の姓であるらしい。
あとは、この辺の地域は魔物が少なくて安全なこと、くらいだろうか。
言葉もわからないまま二ヶ月で集めたにしては上出来ではないだろうか。
あとはあれだな、文字を知りたい。
ここにも紙はあるみたいだからな。
きっと本の一冊や二冊、探せばあるだろう。
あ、さっきこの辺の地域には魔物がいると言ったが、まあ、言葉のニュアンスの違いだろう。多分俺の誤翻訳だ。
ここにきて三カ月がたつ。
俺は両親と町へ向かった。
この辺はどうやら、結構栄えているみたいである。
まあ、貴族の夫妻が住むのだからそりゃそうではあるが。
「なあアルフォンス、近くの広場で開催されている魔法大会、見るかい?」
。。。ん?魔法?何を言っているのだろうか。
俺の中の予感は的中した。この文明レベルの時点で感じていたが、どうやらここ、いや、この世界は、異世界である。
まあ、この俺も生前はたくさんの経験を積んできた。
メールアドレスでサーバーにログインし、自身のパーティーで長年勇者もしていた
そんな異世界ソムリエ(自称)な俺でも、この瞬間を超える驚きにであったことはおそ
らくないだろう。
広場に行くと、そこには火、水を初め、ありとあらゆるものが、自然の法則を凌駕し、
人の思うがままに操られていた。
「すごい。」
思わず言葉がでてしまった
赤ん坊がこんなに早く話すのは多分不自然なのだが、聞いていただろうか。
俺はエドアルドとエリザベールの顔を見た。
「ねえ、あなた、アルフォンスがこっち見てるわよ!」
「ああ、かわいいね」
幸いなことに、二人は俺の言葉を聞いてはいなかったらしい。
何とかなった。
今までの苦労が無に帰す可能性すらあったからな。ばれなくてよかった。
こんな年で言葉を発していたら、やばい奴だと思われて怖がられるかもしれんからな。
子供ってどのくらいになったら話始めるものなのだろうか。
おれは保育園に預けられていた時には話していたから、2歳くらいだろうか。
とりあえず、2歳くらいに喋れば自然なのかな。
その日は、そのあと家に帰った。




