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緑の恋――あるカナブンの話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第一話「光っている」


夏が来た。


木の汁が出た。


甘かった。



木にいた。


幹にいた。


口をつけていた。


甘い汁を飲んでいた。



別のものが来た。


同じ木に来た。


同じ緑色をしていた。


光っていた。



自分も光っている。


しかしそのものは、もう少し光っていた。


日が当たると、少し違う色になった。



見た。


そのものも、こちらを見た。



どいてほしかったのかもしれない。


汁の場所を取りに来たのかもしれない。



しかし、どかなかった。


そのものも、どかなかった。



並んだ。


同じ幹の上に、並んだ。


汁を飲んだ。


二つで、並んで、飲んだ。



甘かった。


前より甘かった気がした。



(第一話 了)


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