アンバランスな王者の、誇り高き日常
投稿者:みつる 2026年5月22日
作ったぜ。
海からの帰り道、おれは琴音を後ろに乗せてママチャリを漕いでいた。カゴの中にはセロリ、背中には琴音の体温。筋肉痛で千切れそうな脚にかかる重量は、これまでのどんなバーベルよりも重く、そして心地よかった。
家に帰れば、またいつもの日常が待っている。
おれは相変わらず琴音に養われているヒモだ。プロテインは相変わらずこっそり拝借しているし、鏡を見れば、相変わらず上半身と下半身のバランスは笑えるほどにチグハグだ。
だが、今の自分は、少しだけ以前とは違う。
おれはもう、バリの波を羨む「偽物のサーファー」じゃない。自分の弱さを認め、大切な人の重みをその脚で支え、猫の粗相を笑って片付けられる「真のアンバランス・マスター」だ。
台所に立ち、特売の野菜を刻む。トントントンという小気味よいリズムが、おれにとっての最高のBGMだ。
「おい、みつる。いつまで格好つけてんの。早く皿出しなさいよ」
「わかってるぜ、琴音。今、最高の盛り付けを作ってるところだ」
最後に、このブログを読んでくれたあんたたちに言いたいことがある。
脚が震えても、嘘がバレても、猫に胸の上でウンコをされても、逃げずにそこに立っていれば、いつか必ず自分だけの波がやってくる。
おれはこれからも、この家という名の海で、世界一幸せなヒモとして波を待ち続けるぜ。
……あ、セロリ。またおれのプロテインの袋を噛みちぎりやがったな!
まぁいい。おれとお前の仲だ。半分こして、明日も一緒にスクワットしようぜ。
じゃあな。おれの物語は、ここからが本当のテイクオフだ。
【コメント欄】
匿名サーファーA: 完走おめでとう。お前のその「細い脚」、最後まで見届けさせてもらったぜ。いつか海で会おう。
琴音(?): 最終回っぽくまとめてるけど、明日はゴミ出しの日だからね。寝坊したら、本当にバリまで強制送還するから。……お疲れ様、みつる。




