11 、拒否権がないお誘い
結局お父様にはお茶会のことを報告はしなかった。帰ってきて頭が冷えてから、周りにあれだけ人がいたら噂がたつだろうし、王城内のことなのでお父様やドレージュ公爵の耳にも入るだろう。
私が報告しなくても誰かしら報告してるはず。私が報告したところでお父様が動くかもわからないし。
子供のしたことだし、たしかにアスターを馬鹿にしたことは許せないが、何かしらお咎めがあるだろうと思い、そのままにした。甘いのかとは思うけど。
一応、ないがしろにしたわけではなくいことは、アスターにも話しておいた。
アスターは「さすがお姉様!お優しい!!お姉様のいう通りだと思うので、私もそれでいいと思います!それよりも庇ってくださってありがとうございます!!」と元気に言っていた。
とりあえず、王子と会わず婚約回避という第一段階は達成かなと思っていた、お茶会の次の日の午後。
まさかの第一王子から手紙が届いた。
簡単にいうと昨日のお茶会での詫びと、会えなかったので改めてお茶しないか。という内容だった。
やっぱり昨日の騒動は王族の耳にも入っているようだ。
なんでお誘いが来たのかわからず、少しの間固まってしまったが、よく考えれば現宰相のいる公爵家である。婚約者として不足ない、王家にとっては国内であればいい縁談だ。会ってないなら会っておいたほうがいい、という判断だろう。
普通に考えて妥当な婚約なのか。小説の通りの流れになるのも頷ける。
周りから見てもそう見られているのであれば、ヴァネッサに絡まれたのもそのせいかと腑に落ちた。そんなこと言ってたし。
それにきっとお茶会で数人に絞り、それぞれと1対1のお茶会を開くんだろうと思う。
そして王子からの手紙ではお伺いの体で書いてあるが、基本的に拒否権はないだろう。
日にちもすでに指定されており、都合が悪い場合は教えてほしいとのこと。授業の調整だけは必要だが特に予定はない。
念の為、執事に手紙を渡してお父様に報告をお願いした。
すっかり小説の物語通りの婚約は免れたと思ってたのに。そううまくはいかないようだなとため息をつきつつ、サラにお茶会のことを伝え、服を選んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「へぇ〜。じゃあ、来週第一王子とお茶会なのか。授業休みにするのは了解。大変だねぇ」
オーウェン先生とはだいぶ打ち解け、軽口を叩ける仲になった。オーウェン先生のゆるい雰囲気のせいもあると思う。
今は魔法の授業で、座学での基礎を学んだので、実技として体内の魔力を感知して循環させることをしている。魔力操作といわれるもので、魔力暴走などを起こさないために必要になるようだ。
「そうですね.....先生も婚約者の方とかがいらっしゃるのではないですか?」
「僕?僕はいないよ。伯爵家とはいえ、家を継ぐわけでもないお気楽な次男だからね」
「...うらやましいです」
「それにしても、お茶会は大変だったね。仕事で用事あって庭園の近くを通りかかったけど、女の子に喧嘩売られてたね」
「見られちゃいましたか。初対面なのにいきなりいろいろ言われてびっくりしました。なんだったんですかね...」
「まぁドレージュ公爵家は教会派の筆頭だからね。幼いころから王子の婚約者として育てられたのかもしれないけど。ここ何代かは教会派の王妃は出てないから、ここらへんでだせないとますます権力が落ちていくとか思っているのかもね」
「...そういうもんですか」
これでヴァネッサから絡まれた理由は思っていたような内容で納得する。
ただこちらは婚約者になんてなる気はないから見当違いでもあるけど。
そんなこんなで話していたら、終わりの時間になってしまった。
片付けをしながらいいづらそうにオーウェン先生が聞いてきた。
「そういえばシェリルちゃんは庶子...婚外子には偏見ないんだね」
いきなりの話題転換で驚くも、ヴァネッサとのやり取りを見ていたならと理解する。
「そうですね。そもそも親がいなければ子供も生まれないのに、なぜ生まれただけの子供が責められる必要があるのかなって。浮気された側がつらいのはわかりますけど、その気持ちを子供にぶつけるのは間違っていると思います。あくまで悪いのは浮気した人。まあこれは私の持論で、一般的なものではないのかもしれませんが...。私はそう思っています」
私も前世、浮気をされたけど、もしあの二人の子供ができていても子供が悪いとは思わない。
そんなことを考えつつ窓の外をふと見ながら考えを述べた。
「...そっか。なんか子供と話しているとは思えないけど...。ありがとう」
最後にぼそっと言った言葉が聞き取れなかったが、子供と話しているとは思えないといわれたことにどきっとしつつ様子を伺うと、とても嬉しそうな顔でこちらを見て微笑んでいた。
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