出撃の紀伊3
「チャージ要請、正常受理を確認……では、行きます」
高く掲げたレイガンに向けて、上空から……いや、その遥か向こう。
かつて成層圏と呼ばれた場所よりも、更に先から強い輝きが見える。
太陽が輝くこの時間に、それと並ぼうとするかのような力強い輝き。
それが強力な魔力によるものであると、誰もが気付く。
だからこそ……アースワームも、それに当然のように気付く。
銀髪を揺らすアインが塔から跳んだその瞬間、アースワームが、紀伊のいる方向へと振り向く。だが、その瞳は紀伊を映す前に……アインと、アインが向ける銃口を映す。
「対幻想試製弾頭、発射」
アインが手に持つは、大口径のリボルバー。
この幻想過渡期と呼ばれる時代においては、ガラクタと呼ばれる類の遺物。
されど、これもまた……かつて幻想が偽典であった頃の、その幻想の1つ。
科学幻想……すなわちサイエンスファンタジーの力であるからこそ。
だからこそ、出来る。かつての科学文明には出来なかったことが。
同じ幻想と呼ばれた力であるからこそ、幻想と呼ばれた力に対抗する力を創り得る。
「WAAAAAAAAAAAAAAAA!?」
「効果・大。予測結果と一致します」
これこそ、アレイアスから夜の内に投下された追加弾頭。
これまでの実戦経験をフィードバックし作り上げた、最新式の試製弾頭。
魔力を幻想科学の力で解析し分析し研究し試算し製作した、最新鋭の装備。
「WAAAAAAAAAAA!」
「回避不能。迎え撃ちます」
落下するアインを狙い突進するアースワームを、回避する手段はアインにはない。
飛行ユニットの類はアインには装備されておらず、方向転換の為の建物に至るには時間がかかり過ぎる。
アインは自身の服の内側から板状の何かを取り出し、一振りする。
「ツインブレード、展開」
バシャン、と。アインの腕の振りに合わせるかのように両端に長い刃が展開する。
ツインブレード。その名の通りの武器を回転させながら、アインはアースワームに刃をぶつける。
「WAAAAAAA!」
「……! 効果・極低。ですが……!」
衝突の衝撃を調整し、アインはアースワームの「上」に降り立ち銃をリロードする。
「当機に与えられた役割は全うします」
その結果、この身体が致命的な破損を負うとしても。
それで、マスターが……紀伊が、望む結果を得られるならば。
それはアインの、直接サポートユニットの至上の喜びなのだから。




