お泊り会
急遽決まったお泊り会、3人はいったん家に帰り荷物をもってまた家に来た。
お風呂に入り、夕食も食べ終え全員で遊び部屋に引きこもった。
5人それぞれ読んでいるマンガのジャンルが異なった。
僕は探偵ものを、茜はギャグコメディを、亮は王道少年アドベンチャーを、凛は少女漫画を、駿はシリアスものを読んでいた。
全員がそれぞれ好きなジャンルは異なるものの、時折互いのオススメを教え合い分かり合うように、決して互いの趣味を理解し合わないわけではなく、結構仲良く読んでいる。
みんながそれぞれマンガを読んでいると、ふと凛がつぶやいた。
「青春真っただ中の高校生が友達の家で1日中マンガを読んでるのってなんか寂しいよね」
全員が心のどこかで思っていたことを改めて言われると、それぞれマンガを片付けた。
「高校生らしいことってなんだろう」
現役高校生なら何をするのが普通なんだろうか。
いざ考えてみると分からない。
「とりあえずトランプでもする?」
「するか」
「トランプといえばなんだろう」
「ババ抜きかジジ抜きか大富豪かスピードか神経衰弱か七並べとかかな」
「神経衰弱はつかれるから嫌だ」
「スピードは3人が暇になるから却下」
「七並べはルールわからないから無理」
「じゃあ、ババ抜きかジジ抜きか大富豪だな」
「大富豪がいい」
「賛成」
みんなが口々に言うといつの間にか大富豪をすることになった。
結果はそこまで盛り上がらず、3戦して片付けた。
ちなみに茜が2回大貧民、亮が1回大貧民、僕が1回大富豪で、凛が2回大富豪、駿は3回とも平民だった。
「そんなに特別なことしようとしなくていいと思う。普段の昼休みみたいなバカ話だけで十分だと思う」
駿が正論を言い、全員が無駄に考えていたことに気づいた。
こうして普段通りの話が始まった。
学年の誰が誰を好きで、どこがカップルになったのか、学年のカップル数などの恋バナから始まり、某動画サイトにアップされている動画の中での自分のお気に入りを紹介したり、学校の授業や先生の話など他愛もない話で盛り上がった。
そんな中互いに話題の矛先を向け合った。
僕と茜は
「亮と凛の馴れ初めはどんな感じなの?駿と南先輩も」
「3人は互いに知ってるんでしょ。私達にも教えて」
亮と凛と駿は
「そしたら二人の馴れ初めが先だな」
「私と亮もいまいち駿とお姉ちゃんの馴れ初めを知らないのよね」
「2カップルの馴れ初めを教えてくれたら言うよ」
ということで互いに馴れ初めを話すことになった。