出立
うう!今日も遅くなった!スマねぇ
ーーーーーエリス視点ーーーーー
カインが『進化の繭』に入ってからもう一日はたったかな?そろそろ出て来て欲しい...。姉さんも寂しがっているし、わたしも寂しいし。
それに早く外の世界を見てみたいしね。カインが言っていたけど外の世界には塩水が見渡す限りづついてるらしい『海』、同じように砂が広がっている『砂漠』。それと、人がいっぱい居てこの家みたいなボロボロの家じゃなくってすきま風も吹かない家がいっぱい建ってて色んな店がある『街』。
まだ想像でしかないけれど、すっごい楽しみ。
「エリス見て!カインの『繭』が割れ始めてる!」
「ほんと!?じゃあもうすぐ進化が終わるんだ。姉さん、カインが進化したらどんな姿になってると思う?」
「さあ?でも確か進化する種族って『小血鬼』ってカインが言ってたわよね?鬼って言うくらいだから角が生えてるんじゃない?」
カインに角?ふふっ、それ、凄い面白くなりそう。カインってなんか何処と無く平和そうな顔してるからそこに立派な角が生えてる、って考えたら、ね。...ちょっと失礼かな?
そんなことを考えてる間にもどんどん繭の亀裂が大きくなっていって半部ほど砕けた所で繭が耐えられなくなったのか遂に全部が砕けた。
ーーーーーカイン視点ーーーーー
眠気に耐えきれなくなって寝てしまっところから記憶が無い。
進化は完了したんやろうか?周りはなんか真っ暗で何も見えない。体を動かそうとしてみても体が動かない。どっかに閉じ込められてる?じゃあ2人はどうなったんやろうか?
ん?でも進化途中の動けへん僕を攫うのなんか簡単やろうけど2人がいるし、そもそもここに人が来た事も、その痕跡すらも僕は見た事が無かった。
つまりどういう事?頑張ってこの壁?を纏血で叩いてみると案外簡単に崩れていった。壁の欠けた場所から外を覗いてみるとどうやら僕が寝た場所からは離れていない。
取り敢えず叩きまくってみるか!
ほい、ホイホイホイホイ!
ボロッ、ボロボロボロボロ!ガラガラッ!!
「はあ、やっと出れた!何やったんや?さっきの壁?...何これ?赤黒い、糸?」
「カイン!ようやく進化が終わったのね!あれから何日だったと思ってるのよ!」
「二日、流石に私達も待つのに飽きてきてたところ。あ、ちなみにさっきまでカインが入ってたところは『進化の繭』、って言うみたい」
へぇ、2日かぁ。て、2日!?あれから2日もたってたんか?
あれ?その割には腹も減ってなければ喉もかわいてない。そう考えるとこの世界ってすげぇよなぁ。だってあれやで?道の真ん中で飢えそうになってても進化途中やったら2日は延命出来のやろ?
でもその代わり勇者とかは大変やろうな!魔王が
「俺の真の姿を見せてやろう!」
とか言い出してから進化とか第2形態とか出してきたら2日間勇者は待ちぼうけやろ?
...?でも『進化の繭』?とか言うのが壊されたとしたらどうなるんや?そのまんま死亡、とかはないよな?
そう考えたら進化って滅茶苦茶リスクって高いんか?まあ進化中はめっちゃ固くって進化終わったら柔らかくなるんかもしれんけど。まあ、自分ではそんなリスク犯せへんからな。
今度からは2人に見張ってもらうのと屋内とか安全な場所に行ってから進化するか。
「カイン?何考え込んでるのよ!早く出発しましょ!あんたが寝込んでる間にあたし達が食料とかの準備全部やってあげてたんだからね!」
「おお、すまんかったな!すぐ終わると思ってたんや。でもそうか、準備してくれたんやったらすぐ行こか。準備してくれてありがとうな!」
「ほんとよ!感謝してよね!」
「うん、どういたしまして」
はは!こんな所でも性格の違いがあるんやな!やっぱり誰かと一緒にいた方が面白いわ!
「よっしゃ行こっか!」
「「うん!」」