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自分のステータスが低いのか高いのか分からない。というか【手懐け】ってなんだ、【手懐け】って。しかも称号の一部が見えない。バグだ。と響が思ったところで律にステータスを見せてもらうことにする。ちなみに、見せたいと思う人にはステータスを見せられるようになるらしい。
《ステータス》
■中須律 Lv.1
種族:獣人(種:ニホンオオカミ) 性別:男
職業:学生
称号:勇者と同郷の者
断ち切れない絆
HP 840/840
MP 230/230
STR 250
AGI 220
VIT 230
INT 45
DEX 40
MID 40
LUK 40
適性属性:闇
スキル:【従属】【野生】【獣化】【状態異常無効】
「やっぱりその耳、呪いとかではなかったのか……」
日本にいた時までは人間だったからもしかしたらという一縷の望みにかけてみたが、そううまくはいかないようだ。何はともあれ、獣人という種族になったからといって今までの関係が変わるわけではない。
しかしさすがというか何というか、獣人だけあってHPがかなり高い。響のHPがいかに紙装甲か思い知らされる。お礼として響のステータスも律に開示する。
「響、これはさすがに……生きていけるのか?」
失礼な! と思いつつ否定はできないので響はどんよりとした面持ちで周りを見渡す。クラスメイトはそれぞれ喜んだり、先程のイケメン委員長を崇めたりしている。それほどいいステータスだったのか。
「それでは、ステータスを公開していただきますわ」
アメリアの発言に委員長から発表することになった。委員長のステータスは中々すごい。
《ステータス》
■御剣光弥 Lv.1
種族:人間 性別:男
職業:勇者
称号:勇者
民を率いる者
救世主
HP 1200/1200
MP 1350/1350
STR 350
AGI 300
VIT 350
INT 200
DEX 250
MID 300
LUK 25
適性属性:光 水 火 風 土
スキル:【聖剣】【覇王】【状態異常耐性】
耐性だけではアメリアの【魅了】(仮)は防ぐことができないらしい。響と律はパールのおかげで【魅了】から解放され、【状態異常無効】が手に入ったのだろう。委員長のステータスは高い。高すぎる。何よりイケメンだけでなくHPもMPも高い。しかし何故LUKがこんなに……。
「すごい! さすが光弥ね!」
「あたし称号に勇者パーティーの一員って書かれてる! ってことは光弥と一緒に毎日行動するってことだよね!」
最近の肉食系女子はすごい。しみじみ響が考えている隣でボソッと「見る目がない」と呟く律。委員長なだけあって女子からの熱視線だけでなく、男子からの憧れの視線まで浴びているらしく、「御剣についていこう」と目を輝かせている人間が多い。
そうしてみんなのステータスを聞いているとどうやらHP、MP合わせて1000以上の人間しかいないようである。たしても740な響は落ちこぼれといっても過言ではない。スキルも1人3つはあるし、響が少しかっこいいと思ったのが【暗殺】と闇属性だったりする。もちろん響にあるのは【手懐け】と空間属性だけなのだが。
「じゃあ次は貴方ね……」
残りが響と律になったところで、アメリアがどんどん顔をしかめていく。響と律のところはみんなからだいぶ離れて影になるような場所にいたからか、アメリアは響たちを目にも留めていなかったらしい。どうして顔をしかめているのか理由が分からないまま、響は自分のステータスを告げる。
「俺は適性属性が空間で、」
「あら? あらあらあら?? お父様、汚らわしくて卑しい獣が一匹紛れているわ」