08 自己紹介
とりあえず、くっつき過ぎているユイを引き剥がし、二人には対面のソファを促した。
なぜか俺の横をチラチラ見ていたが、軽く嘆息してソファへ座った。
それを見て煽るように顎を上げてドヤるユイ。
「その余裕も今だけですよ」
「ええ。唯さんごと骨抜きにしてあげますよ」
「えっ?」「星羅?」
黄緑の方の子がクスクスと妖艶に笑う。
ユイとオレンジの子が戸惑う。
もちろん、俺は今の状況に困惑していてそれどころではないのだが。
「えっと、二人はやっぱり…その…。アレなんだよね?」
こんな聞き方でいいのか分からないが、俺も相当テンパっているのだ。
スマートな聞き方を期待しないでほしい。
だが、そんな俺の状況を察したのか、それとも機微を感じ取ったのか、オレンジの方の子ニッコリと微笑んで胸に手を当ててから口を開いた。
「光司さん。こうしてお会い出来て嬉しいです。Juxtillionの喜築寧々です」
やっぱりあのほんわか美少女は寧々さんだったのか。話し方とかまんまだもんな。
「私はJuxtellaの喜築星羅よ」
少し落ち着いた感じのお嬢様っぽい方は星羅だったんだな。なんか少しイメージよりお嬢様感強いな。様付けしそうだ。
最初はどっちも同じだと思ってチャットしていたんだよな…。
そんな中でぶっきらぼうにユイがボソッと話す。
「GRASPの御坂唯」
だから、そうやって俺にスリスリしてくるなって。
寧々さんも星羅も手を握ってプルプル振るてるし。笑顔なのが逆に怖いし。
「そんな事していると、当て馬枠の負け組ヒロインになってしまいますよ?」
初めて聞く声に皆がそっちを見ると、いつの間にか新しい少女が、さも当然といった感じで立っていた。
この子もかなりの美少女…いや、美女かな?
なんというか、隙がない。
女神のような精緻な顔付きは畏怖を与えるかのよう。でも、女神のように暖かさも確かにあって…。
水色のロングストレートの髪の毛に、ボレロ風のワンピースタイプの制服だ。チェック柄がアクセントで入っている。
どうしてみんな制服なんだ?
ユイのは着崩してて分からないが、他三人は有名校の制服だよなと思い出す。
別に女子高生好きでも制服マニアでもないから、すぐには分からなかった。
学校名までは流石に言えないが、通勤途中で見た事はあったなと。
貴女達は一体どこからそれを手に入れてきたんですかね?
俺、これが理由で捕まらないよな?
俺だけがドキドキしていたが、他三人はやっとかみたいな雰囲気を出している。
もしかして、もっと増える可能性あるんですか?
水色の髪の美少女は、僅かに空いていた俺の横のスペースに無理矢理割り込む。
流石に窮屈だったので、横へズレるがユイと更に密接になってしまった。
心なしか、顔が朱くなっている。
そして、なぜか下を向いてしまった。
対する水色の髪の美少女は、無表情にこっちを見ていた。なんか、全て見透かされそうな瞳だな。
軽く小首を傾げる仕草にドキッとしてしまう。
もしかしたら、今日心筋梗塞で死ぬかもしれないな。
そんな彼女は、俺から視線を外し、周りを見回してから、小さく口を開いた。
「初めまして。になるのかしら。もっと前から見ていたから久しぶりがいいかしら」
みなさんそう言うんですよね。
なぜか、他の三人はニマニマとした表情をしている。
AIなりの常套句なのかもしれない。
水色の髪の美少女は、俺の方を見て、薄く微笑みながら胸に手を添えて続きを話す。
「NAIEMの人見静よ。よろしくね」
「あっ、はい…」
なんだろう。年上のお姉様って感じで、有無を言わせない迫力がある。
「じゃ、じゃあ俺も言わないといけないよな」
「須永光司!」「須永光司さんです」「須永光司様ですね」「須永光司君だね」
俺が言う前に一斉に言われてしまった。
それにしても息ぴったりだな。
「はは…。ただ、敬称はいらないかなぁ…」
「そう…ですか…」
寧々さんだけ、すごくしょんぼりしている。いや、付けたいなら別にいいんですけどね。流石に様付けはちょっと…。




