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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第4章

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番外編94 まずはお茶会から


 英愛学園ゲーム研究会は、渋谷で行われた大会で優勝したことにより、部に昇格した。


 そんな英愛学園ゲーム部に、練習試合を申し込んできた学校が二校あった。


 一つは常翔高校。大会の決勝戦で戦った相手だ。


 もう一校は恕創学園。まるでお嬢様学校のような学校だ。


 なお、前回大会の結果は、常翔高校は二位。恕創学園は四位だった。


 そして、そんな二校の生徒を迎えるにあたって、今の部室では手狭であると判断した。


 生徒会からの許可も下りたので、今日は、使われていない教室へと引っ越しをしている。


 「ねぇ、何でゲームやるのにサーバーまであるの?」

 唯がパソコンを持ち上げながら言った。


 「あー、なんか田野先生がなんかやってるっぽいよー」

 愛がサーバーを見ながら言った。


 唯は思った。

 どう見ても個人で使う仕様のものではない。

 それに、今回の引っ越しでさらに増えている。

 なお、今までの部室はサーバー室になるらしい。


 そうして引っ越しを終えると、クリエイティ部創造部内の、新しく創設された製麺部から引っ越し蕎麦が届けられたので、早速みんなで食べることにした。


 「まさか、学校で引っ越し蕎麦食べるとは思わなかったね」

 操がアホ毛を揺らしながら言った。


 「食べられればいいじゃん。それに美味いし」

 咲が七味をたくさん振りかけながら言った。


 「しかし、この学校他の学校にはないものあるよねー」

 巡がおつゆを飲み干してから言った。


 「年越しそばも欲しいね」

 「あ、それある」

 愛が言うと、響が大きな声で返した。


 そんな中、朔と実はもそもそと食べながら考えていた。

 (普通じゃないんだよなぁ……)

 (チャルメラ実況でもやろうかな……)


 そして、田野先生はというと……。

 「これワシワシ麺も作ってくれるのかしら?」

 既に四人分のお蕎麦を平らげていた田野先生が嬉しそうな顔で言った。


 「無かったら、みんなでお邪魔して作ればいいじゃん」

 唯がそう提案すると、みんな一瞬キョトンとした顔になったが、すぐににっこりと頷いた。


 「スープも一から作ろう」「チャーシューは肩ロース? バラ?」「出汁はにぼし?」「鶏ガラ?」「牛骨も捨てがたい」「豚骨じゃないの?」「極細ストレートか細縮れ……」「中太麺もいいわね」「味玉はマストだよね」「半ライスもほしいわね」

 そんな感じで既に作る気でいた。

 この学校、部の垣根がほとんど存在しない。


 そうして、食べ終わり、食器を洗い終えると、腹ごなしにゲームをすることになった。


 今回はいつものテレビゲームではなく、ジェンガやオセロなどを楽しんだ。

 テレビゲームだけがゲームではないからだ。


 そして、毎回のごとく、最終決戦はいつも唯と咲だった。


 他のメンバーがこっそり居残りして、どうやったら勝てるかを話し合うほどに。


 そして、訪れた練習試合の日──


 常翔高校からは十人。

 今から麻雀の大会に出るのかと思うような、派手なポロシャツとハーフパンツで揃えていた。

 咲が目を輝かせて見ていた。


 恕創学園からは七人が参加していた。

 夏服の白いワンピースのような制服で訪れていて、全員が「ごきげんよう」と言って、一斉にカーテシーをした。

 唯がデザインや生地を見て、凝視していた。


 そして、迎えるにあたって、みんなでお菓子を作って待っていた。

 テーブルの上には和洋それぞれのお菓子が置かれ、お茶やコーヒーはいつでも淹れられるようになっていた。


 それを見て、両校の生徒は驚いていた。

 用意されていたことにも驚いたが、まさか、作ってくれているなんて思わなかったからだ。

 もっとも、お菓子作りには、いつも通り、寧々や早矢も協力していた。


 そんな中、いつも通りの人物がいた。

 常翔高校ゲーム部の井出小夜子だ。


 黒髪のロングストレートの髪の毛で、表情が少し乏しい美少女で、とてもミステリアスな雰囲気を身にまとっていた。

 そんな彼女が手に持っていた袋を操へ渡した。


 「あ、操、頼まれていたやつもってきたよ」

 「あ、ありがとー」

 「匂いが漏れないように三重にしてあるよー」

 「おー!」


 小夜子から手渡された袋を持った操が、破顔していた。

 そこまで喜ぶとは、一体何を持ってきたのか。みんなが気になった。

 聞いたのはやはり、咲だった。


 「何それ?」

 「これ? これは漬物だよー」

 「え? 漬物?」

 「そうだぞー、うちの小夜子の作る漬物はうまいんだぞー」


 そこに割って入ってきたのは、小夜子の横にいた赤髪の少女、明智琳香。小夜子に腕を回して自信満々に言った。


 そのわけを知らない英愛学園の生徒と恕創学園の生徒たちがびっくりしていた。

 まさか、漬物だとは思わなかったのだ。

 「じゃあ、せっかくだし、これだそうか?」

 それを見た操が、おずおずと、そう提案すると、全員がニッコリ微笑みながら頷いた。


 そして、まずは親睦を深めるのが先であると、みんなでお茶会をすることになったのだった。


 お菓子の他には、小夜子の持ってきた漬物がテーブルの上に乗っており、さらには、常翔高校の生徒が持参したお菓子や、恕創学園の生徒が作ってきたお菓子まで所狭しと並んでいた。


 そして、二時間近くだべっていたのだった。


 小夜子特製の漬物は真っ先になくなり、操が泣きそうな顔になっていた。


 続いて僅差で、寧々お手製の洋菓子と早矢と唯お手製の和菓子も瞬く間に無くなった。


 「今回のMVPは小夜子の漬物だねー」

 「照れるわね……」

 琳香が言うと、ほんの少し目を細めて小夜子が言った。

 「ねぇ、帰りに取り行っていい?」

 「いいわよ」

 そんな会話を空になったお皿を見ながら言った。


 そして、テーブルの上には空のお皿とコップだけになった段階で初めて自己紹介をしたのだった。


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