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雑用ばかりの聖女見習いですが、聖女に覚醒したらスタンピードの前線へ送られました~人の痛みに敏感な、静かな聖女の物語~  作者: 月城 蓮桜音


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第18話 根源を探せ

 私はセレナとレオンハルトを呼び寄せ、根源を探さなければ根本的な解決にならないことを丁寧に説明した。


 森の中に幼い聖女が入るということに、レオンハルトは反対していたのだが……。


「レオ様、私、やってみたいです」


 という一言で、決行が決まった。


「セレナ、本当に大丈夫か? 俺が前を行くから、はぐれるんじゃないぞ」


 いつになく過保護なレオンハルトなのは間違いない。根源を探すために集められた、騎士団の中でも選りすぐりの猛者たちは、レオンハルトを弄って遊んでいた。


「おい、団長が子猫を飼っているみたいだな」


「あんな子猫、すぐ潰しちまうぞ」


「いや、子猫の方が逃げるだろ!」


「「「ガハハハハハ!」」」


 セレナを子猫に見立て、壊れ物を扱うようなレオンハルトをからかっているようだった。


「うるさいぞ、お前ら。……この先は何が起こるか分からんからな。俺だけでは守り切れん。お前たちも頼むぞ」


「言われずとも守りますって。聖女様には、動けなかった俺たちを治療していただいた恩があるんですから」


 そうだ、そうだと賛同する声があちらこちらから聞こえてきた。

 レオンハルトは満足そうに頷き、セレナの頭を撫でていた。最初のうちは照れていた彼女も、いつの間にか撫でられることを喜んでいるようだった。


「殿下、準備が整いました」


 レオンハルトがセレナに構って働かないからと、代わりに走り回ってくれたのは、騎士団副団長のコンラートだ。


「分かった。それでは、根源の調査に移る! 無理せず、連携を取って進むように!」


「「「「はっ!」」」」


 レオンハルトを先頭に、セレナと私がその後を歩く。

 全く魔物と遭遇しないというわけではないが、強い魔物ほど、見当たらないような気がしていた。


 ★★★


「殿下、ここらで少し休まれますか?」


 コンラートが声をかけてきた。出発してから二時間が経とうとしていた。魔物はいないが、瘴気の濃い場所を歩いていた我々は、体力が少しずつ削られているように感じていた。


「そうだな。森に慣れていないだろう聖女もいることだし、短い休憩にするか」


 私は前方を行くレオンハルトに声をかける。


「レオンハルト、休憩するぞ」


「はっ、かしこまりました」


 全神経を集中して前を歩くレオンハルトが、一番疲れているだろうと、私のために用意された椅子を彼へ渡した。すると、レオンハルトはその椅子に、セレナを座らせたのだ。あたかもそれが、当たり前であるかのように。

 呆気に取られた騎士たちは、何も言えずに立ち尽くしていた。


 ——それは、静まり返った瞬間に起こった。


「レオ様、下がって!」


 初めて聞いた大きな声に、非常事態であることを察して誰もが身を構えた。レオンハルトはセレナを抱え、バッ!と後ろに飛び退く。


 その場の誰もが息を呑んだ。


 目の前の草木は一瞬で枯れ果て、その先には禍々しい真っ黒な『根源』が露出していた。

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