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プロローグ 僕と物語と、そして作者

へへ〜!


みなさん、こちらは僕の新作小説です!


ぜひ涼太の物語を覗いてみてください!


作者のせいでなかなか恋愛が始まらないかもしれませんが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです!

プロローグ 僕と物語と、そして作者


夜の静寂が本を包み込む。


作者は一冊の本を開き、何かを書き始めた。


そして、その瞬間。


「そう。俺だ」


声を上げたのは、本の中にいる少年だった。


「わざわざ表紙を確認しなくていい。俺がこの物語の主人公、涼太だ」


彼は当然のようにこちらを見つめる。


「今、この本を読んでるのは君たち。そして俺は、その本の中から君たちを見ている」


少しだけ肩をすくめる。


「変な話だろ?」


「でももっと変なのは、俺が自分を物語の登場人物だって知ってることだ」


本屋で立ち読みされることも。


夜更けに夢中で読まれることも。


途中で飽きられてベッドの脇に放置されることも。


全部知っている。


「まあ、それはどうでもいい」


涼太は笑った。


「これから俺が語るのは恋の物語だからだ」


「逃げることもできない。書き換えることもできない。そんな恋の話」


「さて、このクソ作者がどんなふうに俺の人生を描くのか、見届けてくれよ」


言い終えると、涼太は周囲を見渡した。


そこには何もなかった。


地面も。


空も。


建物も。


ただ白い空間が果てしなく続いているだけだった。


「いや待て待て待て!」


「まだ世界観すら決まってねぇのかよ!?」


「ヒロインもいない!学校もない!友達もいない!」


「俺の人生どうなってんだよ!」


誰もいない空間に向かって叫ぶ。


「作者ー!」


「聞こえてるかー!」


「身長は百八十センチで頼む!」


「顔はイケメン!」


「運動神経抜群!」


「ついでに実家は金持ち!」


しばらく沈黙が流れる。


そして。


『却下』


「早っ!?」


『そんな都合のいい主人公、面白くないだろ』


「面白いわ!」


『俺は面白くない』


「作者の好みで決めるな!」


その瞬間。


涼太の身体が少しずつ形を持ち始める。


身長は百七十センチ。


顔立ちは普通。


運動もそこそこ。


家族構成もどこにでもある四人家族。


「待て待て待て!」


「なんだこの平凡セット!」


『親近感って大事だからな』


「絶対違うだろ!」


『ちなみに俺だってそんな恵まれた人生じゃない』


「だからって主人公まで巻き込むな!」


『文句あるか?』


「あるわ!」


『なら勝負するか?』


次の瞬間。


二メートルを超える筋肉の塊みたいな男が目の前に現れた。


『どうも作者です』


「お前誰だよ!?」


『作者です』


「絶対違うだろ!」


『作者だから好きな見た目になれる』


「ズルい!」


作者が拳を振り下ろす。


何もない空間に亀裂が走った。


「なんで空間が割れるんだよ!?」


『作者権限』


「便利すぎるだろ!」


涼太は即座に降参した。


『よし。素直になったから能力をやろう』


「マジで?」


『まずはこれだ』


【超ガラスメンタル】


「いらねぇ!」


『便利だぞ』


「どこがだよ!」


『例えば今』


作者は涼太を見て言った。


『お前ちょっとブサイクじゃね?』


「……」


「……」


「なんでそんなこと言うんだよ……」


『発動確認』


「ふざけんな!!」


さらに一枚の紙が空から落ちてきた。


【妄想力強化】


「だからなんなんだよこれ!」


『試してみろ』


その直後。


遠くに黒い影が現れる。


涼太の顔が青ざめた。


「作者」


『ん?』


「怪物か?」


『違う』


「敵か?」


『違う』


「俺を殺しに来たのか?」


『違う』


影はゆっくり近づいてくる。


涼太の脳内では世界滅亡級のシナリオが展開されていた。


そして。


現れたのは一台の自動販売機だった。


『発動確認』


「……」


『妄想力強化』


「いらねぇよそんな能力!!」


作者は満足そうに頷いた。


そして突然こう言った。


『飽きた』


「は?」


『今日はここまで』


作者は本を閉じた。


世界が闇に沈む。


「待てえええええええええええ!!」


「せめてヒロインだけ出してけ!!」


「俺一人で怖いんだよ!!」


必死の叫びが響く。


しばらくして本が再び開かれた。


作者が笑う。


『しょうがないな』


『続きはちゃんと書く』


『でもページ数が足りない』


「お前ぇぇぇぇ!!」


作者は読者へ向き直る。


『それでは次回をお楽しみに』


「最後まで人の話聞けぇぇぇぇぇ!!」

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