お父様との衝突
いろいろあったが程なくして俺は成人の儀式の場にたどり着く
ギリギリ遅刻は免れた
成人の儀式の場
そこで俺と玉座に偉そうに座るお父様・・・名はルーデウス
真っ向から対峙していた
黒髪長髪で
派手な装飾が施された服、王冠
金色鞘に納められた悪趣味な剣
その男の尊大な雰囲気全てが俺を苛立せていた
「よく来た、娘よ・・・レオーネ」
「さっそく告げよう、お前は俺の選んだ婚約者候補の中から誰か選んで結婚しろ」
この男は・・・!
また・・・!
同じことを繰り返そうとしている
「名前なんか呼ぶな愛してもないくせに、例え血の繋がっても俺はあんたの娘なんかじゃない」
「今のレオーネ・アシェルは男性だ!」
「その婚約は破棄させてもらう!」
その日俺は女の子から男の子になった
「男に触れたら俺は女から男になるんだから!残念だったな!」
俺は勝ち誇る、お父様の目論見台無しにしたと思ってた
だけど・・・
「関係ないな」
「なに!」
返ってきたのは意外な言葉
しかも余裕の態度だ
完全にこっちの目論見は外れた
「要は男性同士で婚姻して接吻をおこない女に戻せばよかろう」
「お前とあの魔女のやり取りは既に知っている」
お父様は魔女さんとのこと知ってたのか
そうきたか・・・どうすれば・・・
「それに」
「レオーネお前の体は最高の母体なのだ、精霊武器適合が高いお前ならきっと最強の男児・・・王子を産むだろう」
「一瞬でも女に戻って孕ませれれば、普段男性でも些細な問題だ」
いやまって、それはそれで子宮に入ってる胎児はどうなるんだよって思う
しかし精霊武器か・・・
それは強力な兵器である
昔は精霊機と呼ばれ、今より5メートル大型の鎧だったが時につれ小型化して剣などの手持ち武器にまでになった
精霊と契約することで魔法のような超常現象を起こすことが出来るらしい
そして、その精霊武器には契約する人間との適合率というものがあり
俺レオーネ・アシェルは高い適合理率を誇る
だけど根本的に女性に戦場は向かないし立たせられない
求められるのはより高い適合率の男児を産む為の「母体」としての役割・・・
俺と同じで高い精霊適合率をもっていたお母様はそのせいで、男児が生まれるまで何度も産まされ、体に負担をかけさせ、男児は結局生まれず女児は大量の水子となった
結果、お母様は無理が祟り、体が弱り常に病にさらされることとなってしまった
そしてそんなお母様の代わりの母体が俺だ
俺はそんなことをお母様に強要し続けたお父様を絶対に許さない、憎んですらいる
今でも怒りで歯を食いしばっている、手の握りこぶしから血が流そうなくらい握っていた
でも今は俺は女じゃない
心は女のままでも男の体だ!
「それだったら!、俺が女の子娶って産ませればいいだろ!」
そうだ、俺が女の子と結婚して男児を産んでくれれば・・・
だけど俺ははっと気づいた
「ふむ、それも悪くはないな・・・だがそれが出来るのか?」
「あ・・・・・・・・・・・・それは」
やってることがお父様と同じだということを・・・
胸を絶望感がすくう、立っているのがやっとかもしれない
「女を道具扱いする、それはお前が最も嫌っていることだろう」
「それに精霊適正は精子より卵子、母体の方が重視される」
「くそ・・・」
完全に逃げ道をふさがれた
考えてみればそうだ、俺が女の子を産む装置・・・道具扱いしたくない
それに精霊適正も母体の影響が大きい
結局世継ぎはより適正の大きい母体側でやるしかないということか・・・
そんなことを考えてる最中だった
お父様は信じられないことを言った
それは・・・
絶対に許されないことだった
「そんなに結婚するのが嫌なら、俺がお前を抱いてもいいんだぞ」
「な・・・・・・・!」
俺は思わず言葉にならない声を出してしまう
ありえない、この男は・・・
「この下種野郎!家族だぞ!正気か!」
あろうことに近親相姦をすると宣言した
許されるはずがなかった、例え神が良いと言っても、おいそれとは生物的に受け入れがたいことだ
「国をお前たち守るためだ、必要ならすると言うだけだ、本気にするな娘よ」
冗談・・・だった?・・・のか?
ふざけるな、あれだけ言っておいて
尚更達が悪い
何がお前たちを守るためだ!
「ちっ!」
俺は舌打ちした
「話は済んだな、では出てくるがいい」
そして、もはや俺の意思など関係なく淡々と物事は進めらていく
憎きお父様によって
「こ奴らがお前の婚約者候補だ」