二歩目 見通し
オリジナルです。
そうして、僕はその宣言をした後、その悪魔と距離を取った。
「自由?そんなもの…お前たちにはない」
悪魔はそう言って、鞭を連続で振り下ろすが、僕はそれがどこに来るか分かっていた。
「…なんで当たらないんだ!!」
イラついたようにそう言う悪魔に僕は、
「自分で気づいていたじゃないか…僕は、そういう『権利』を持っているだけの話だ」
…そうは言ったものの、僕は内心焦っていた。何故なら、こちら側に有効打がない。恐らく僕の『権利』は…
それっぽく言えば、《見る権利》のような感じだろう。前世の漫画などで読んだ内容だと、能力、この世界でいう『権利』というものは解釈によって強くなる、とあったから、未来を『見る』という解釈で『権利』を使ったら上手くいった、というだけであり、身体の中のそれを上手く使えてる気はしなかった。恐らく、このまま行けば…僕の体力切れで負けだ。だから、焦っていたのだが。
「があっ…!?」
そんな声をあげて、目の前の悪魔が倒れた。見ると、ガマフが悪魔の背中にナイフを刺していた。
「…大丈夫か?」
そう聞かれ、僕は
「ああ、助かった。有効打がなかったからな…」
そう返すと、ガマフはふと思い出したように、
「お前、自由になるとか言ってたな」
それに対し僕が
「ああ、僕は、自由になる」
そう返すと、
「…本気か?」
僕は即答した。
「ああ、本気だ」
そう言うと、ガマフは少し考えるような素振りを見せて、
「ここを、脱出するための仲間がいる。着いてこい」
そう言うや否や、ガマフは踵を返し、歩き始めた。僕は黙ってその後に着いて行った。
暫く歩いたところで、ガマフが立ち止まり、巧妙に隠されていたレバーを引くと、隠し扉が開いた。
「…すごいな」
思わずそう呟くと、ガマフは少し笑って、
「入れ、中に仲間がいる」
そう言われて、中に入ると、もう一つレバーがあった。そのレバーをガマフが引くと、扉が閉まった。
そこには、2人の男女がいた。つまり、4人で脱出を目指すことになるのだと分かった。ガマフが、
「新しい仲間だ。月城ハルキというらしい、なんと…『権利』を持ってる」
と言ったあと、その2人は驚いたような顔をしていた。そこで僕は、
「月城ハルキ。今言われた通り…『権利』を持ってる」
と自己紹介すると、女性の方が口を開いた。赤髪の、綺麗な女性だ。
「私は炉瀬キサミです。宜しくお願いします、ハルキさん。」
そうすると、男性の方も口を開いた。黒髪の、身長の低めな男性だ。
「繋破カイルです。宜しく」
そう言われて、僕は
「よろしく。3人は、『権利』を持ってるのか?」
と聞いた。すると、カイルが口を開き、
「僕は持ってる。ガマフとキサミは持ってない。」
と言った。それに対して僕は、
「『権利』は、どれくらいの人が持ってるんだ?」
と聞いた。するとガマフが、
「20人に1人だ。かなり少ない。だから、この状況は…奇跡と言える。」
それに頷いた後、僕は
「脱出を目指しているなら、作戦はあるんだろうな?」
と、1番気になっていたことを口にした。すると、ガマフは笑い、
「あるに決まっているだろう。これから…その作戦と見通しをするところだ。」
そう言って、どこからか地図を取り出して、その上に指を置き、指を動かした。
「オレたちが今いるのはここの地下だ。で、近くに国境がある。国を超えてしまえば、オレたちは奴隷の身分ではなくなる。」
そう言うガマフに僕は思わず、
「この距離を逃げ切るつもりか?」
と言ってしまった。何故なら、明らかに数日歩き続けないと行けない距離を指していたからだ。
「大丈夫だ…カイルの『権利』は移動系だからな。」
濁した言い方をするガマフに、僕は聞く。
「やっぱり、『権利』の内容は言わない方がいいのか?」
ガマフは、
「そりゃそうだ…個人情報の中でも最も大事なレベルだ」
そう言うガマフに、僕は思わず
「そりゃ…相当だな」
するとカイルは、
「僕はこの2人には『権利』の内容を言ってるから、ハルキ君にも教えておくね、僕の『権利』は…」
と言いかけた。それを僕は止め、
「そんなに大事な情報を、知り合ったばかりの僕に教えていいのか?」
と聞いた。すると、
「目的は一緒なんだ…脱出の為なら、僕は何でもするよ」
笑っていたが、目は据わっていた。それに僕は苦笑し、
「分かった。教えてくれ。」
そう言うと、カイルは満足そうに頷き、
「僕の『権利』は…《繋ぐ権利》だ。繋ぎたい2地点の記憶や位置と、そこに行くための道のりがある程度分かれば、その地点まで瞬間移動するワープゲートのような物を開く事が出来る。」
それは便利能力だな、と僕は思った。
「で、地上までの道のりは分かるのか?」
カイルは笑って、
「分かっていたら、もう脱出してるよ」
と悲しそうな顔に変わりながら言った。キサミやガマフも諦めたような顔をしていた。それに対し僕は笑って、
「外までの道のりが…僕の『権利』で分かると言ったら?」
と言うと、3人は声を揃えて、
「「「は!?」」」
と、叫ぶのだった。
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