一歩目 自由
登場する人物、団体等はフィクションです。実在する人物や団体とは一切関係ありません。オリジナルです。
僕は、息をしていた。当たり前に思うかもしれない。どういう意味だと思うかもしれない。僕は、とある病室のベッドに横たわっていた。そう、僕は難病を背負っていた。それも…末期の。まだ中学生なのに。
「大丈夫!?」
僕の、母であった。仕事が終わったのだろう。父親は、まだ仕事だろう。実は、僕の予想寿命は…あと、2日しかない。僕は、昔からこの病気に苛まれていた。自由なんてなかった。勉強は病室内の学校でできていた。ある程度基本的なことはできた。ゲームとか、トランプとか。けど…他の人よりは、できることは少なかった。この病気は僕のせいでも、両親のせいでもない。だが、憎まずにはいられない。この…世界を。
「…大丈夫だよ、多分」
事実を述べた。どうなるかなんて、分からないから。1秒先に何が起こるかも知らない、そんな貧弱な生き物が、人間だ。
「多分って何よ…大丈夫でしょう?」
不安そうに聞いている。答えが分かっている目をしている。
「だiじょうbだよ」
そこで、僕は呂律が回らなくなっていることに気づいた。
「ちょっと!?ねえ!」
…気づくまでが速い。流石親だ。目が閉じかけていることに、一瞬で気付いた。
そこで、死を明確に感じた。…来世なんてものがあるのであれば、自由になりたい。責めて…この人生よりは。そう思った時には、死が背後にいて、僕を飲み込んだような気がした。
「…やあ、気分はどう?」
気付けば、目の前にはニヤけた金髪の青年がいた。きっと、美青年という言葉は、目の前の青年のような人を表現するために生まれた言葉だと確信できるくらいの。そして、イラついた。僕の人生を嘲笑されてるような気がしたからだ。
「最悪だ、そのニヤけた面をブン殴りたいくらいには」
僕がそう言うと、その青年は本当に可笑しそうに笑い、
「物騒だなぁ…僕は、神だよ?」
それを聞いた途端に、さらにイラついた。それは、
「なら…僕をあんな人生にしたのも、お前ってことだろ?」
そういうことに、気付いたからだ。
「ご名答…頭の回転が速いね。」
そのまま、ニヤついた顔を変えることなくそう言った。そして、
「大丈夫…次の人生では、最低限の権利は保証してあげるから、さ?」
と言った。それを聞いて、
「待て!!お前…」
そう言いかけた途端に、僕は意識を失った。
そして。僕は、その薄暗い場所で目を覚ました。
「どこだ…ここ」
そう言った瞬間。
「…新入りか?」
身体の大きなゴツい男がそこにいた。
「新入り?何のことだよ。」
思わずそう聞くと、
「ここは…俗に言う地下帝国だ。奴隷は、ここに連れて来られる。『権利』がある者もない者も、な」
それを聞いて、
「『権利』?」
と聞くと、その男は、
「『権利』すら知らないのか?この世界の…人智を超えた能力のことだ。」
そこで思い出した。あの神と名乗っていた青年が、「最低限の権利は保証する」と言っていたことを。
「成程…お前、名前は?」
と聞くと、その男は、
「ガマフ。張雷ガマフだ。お前は?」
と聞かれて、僕は前世の名前である、
「月城ハルキだ。よろしく」
と言った。そこで、薄暗いせいか気づかなかったが、ガマフが傷だらけであることに気づいた。
「どうしたんだよ…ソレ」
そういうと、ガマフは諦めたように笑い、
「ここではオレ達は奴隷だからな…もう慣れたよ」
そうガマフが言い終わった瞬間。
「貴様ら…こんなところで談笑とは、いい度胸だな」
気付けば、僕の後ろには…悪魔、そう呼ぶのが正しいであろう人外の何かがいた。
「とっとと…働けよ、ゴミ共」
そういいながら、鞭をガマフに振り下ろそうとした。が、僕は、それを…腕で止めた。腕は痛んだ。が、何故か…分かったのだ。そこに、振り下ろそうとしていることが。
「なっ…!?」
その悪魔のような男は、驚いていた。僕も自分で驚いていた。そして、確信した。僕は、『権利』を持っている。そして、前世とは確実に違うことも分かった。1秒先が分かる、そんな気がした。
そして、その悪魔は言う。
「お前、もしかして…『権利』持ち、なのか!?」
それに対し僕は、
「そうだよ…僕自身のために、僕は…この『権利』で、自由になる」
そう、宣言するのだった。
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