朝倉こうた
単刀直入に言おう。
俺、朝倉こうたは無能力なんかじゃない。
タイムトラベルの能力があるのだ。
それが疑惑から確信になったのは9歳の頃…。
あの時俺はテストで1桁を取っちまった。
中学のテストならわかるが小学校のテストだぞ?
俺はそんな現実に耐えられず切実に願った。
テストの日に戻りたい。と
その時だった。
白く当たりが光り出したかと思うと、俺は気づいたら眠りに落ちていた。
眠りから冷めると俺は見慣れたベッドに横たわり、朝を迎えていた。
いつものアラーム音。家族が慌ただしく朝の支度をしている音。
それが何よりの証拠だった。
「なんだ夢か」
俺は寝起きの頭でそんなことぼんやりと考えながら学校に向かった。
学校に着いてまず思ったこと。
(この時間割なんだか見たことあるぞ)
何より俺の苦手な算数のテストがありやがる。
俺が悲惨な点数をたたき出した時と同じ、3時間目だった。
だが小学生という単純な頭では
既視感の正体、日付が戻っていること、そんな簡単なことにも気づけなかった。
(なんか今日習ったこと全部やったことある気がするなぁ)
そんな疑問を抱えながら帰路を歩く。
算数のテストの返却日
俺はまたあの点数を取ってしまった。
またかよ。と思いながら先生の解説を小耳に挟む。
「ここの問題は式を立てられば簡単なんです」
そんなふざけたことを言う先生に腹が立った。
(式が立てられないから解けねえんだよ)
家に帰り
俺は机の引き出しにテストをクシャクシャにして入れた。
(あれ、そういえば前のテストはどこにやったんだっけ。)
俺の頭は恐怖で支配された。
お母さんに見られてたらどうしよう
これが小学生のいちばん恐れることだろう。
俺は記憶をたどってみることにした。
あのテストの点に俺は相当落ち込んでて…
テストの日に戻りたい。とか考えたのは覚えてる。
その後は白い光に包まれて……
……?
白い光に包まれて?
いや、あれは夢で。それを言うならどこまでが夢なのか。テストで悪い点を取ったのも夢だったのか。
……!?
俺は幼いながらに全てが繋がった気がする。
最近の既視感の正体。白い光の正体。
この算数のテストは、前のテストと同じ?
俺は……
過去に戻っていた?
初めて背筋が凍る体験をしたと思う。
これは俺の能力なのか?
小学生の好奇心とは恐ろしい。
検証がてら俺はまたテストの日に戻ったのだから。




