弱肉暴飲強食暴食。
その22
弱肉暴飲強食暴食。
修業時代。
などと表現できるほど二週間という期間は長くは無い。
それでも密度としては俺の人生最大の圧縮時間であり、血反吐どころか血のションベンさえを流す日々だった。
性格からしてみれば、当然というか全く天童さんは俺達に手心を加える事は無かった。
思い出したくもない、できれば忘れてしまいたい。
そこまでだったからこそ『それがあったからこそ今がある』という言葉のままの気持がある。
今の俺を形成するために必要だったその地獄の二週間を忘れたいとは言いわしたが。
帰りたいか、戻りたいかと問われるならば、それはノーと即答できる。
だからせめて振り返ろう、この修行の締めくくりを。
この本選に至るための助走段階を。
修行時代の二週間の間にさらに脱落者がいたようで残りは10人となっていた。
予選終了までのカウントダウンに入ったという所だ。
そして、ここでついに痺れを切らした連中が挑戦状を叩きつけてきた。
もしかするとミライにけしかけられたのかもしれないが、今となってはそれを確かめる術はない。
ミライの思惑に乗ってやるしかない、戦いを進めるにはやはり戦うしかないのだから。
二組あった最強を攻略しようとする集団、その弱い方のグループである。
まさか彼らも同じ目的を持ってた強いグループがとっくのとうに天童さんたった一人に潰されてしまっているとは夢にも思っていないだろう。
今回は天童さんに前もって連絡が来たというのだから、以前の天童さんを倒すべく不意を打った連中よりもさらに意志力も下なような気がする。
おそらくは天童さんに徒党を組んだ奴らを倒させるためにミライが画策したのだろうが、天童さんの話から察するに前回の襲撃を受けたうえで天童さんをジョーカーとしてミライは使おうとしたものの、なかなかこっちのグループは行動を起こさなかったと推察する。
それで天童さんをけし掛けようとしたものの、乗り気になりだしたところで俺達に看破されて天童さんもやる気を無くしたというわけだ。
ミライもいろいろ考えて動いているんだろうけど、こうやってミライの紐解いてみると穴があるというか爪が甘いというか。
星そのものとか神のような存在と自負しているし、事実そうなのだろうけど、なんというか子供騙しというか子供の遊びを抜けきれていない気がする。
とはいっても、俺達も予選は進めないといけないわけで。
今の説明を天童さんにしたら『なら、別に私は利用されてわけじゃないじゃん! ブルーになって損した』といつもの様子だった。
向こうが覚悟を決めてやって来て、天童さんも応じるというのなら、経緯がどうあれ尻込みする必要もまた無いのである。
そんなわけで予選最後の大一番だというのに、こちらからしたら何やらただの消化試合の感覚なのである。
いや、消化するだけだ。
弱者が強者に飲み込まれ。
弱者が強者に喰われる。
ただ、それだけだ。
天童さんを過剰に評価するのも良くないとは思うのだけれど、勝負というより格の違いを見せて終わりだろう。
戦いにもならない。
喧嘩でにさえならない。
一方的な暴力を、一般的にいじめという。
いじめを見て見ぬ振りをするのもいじめとはよく言ったもんだが、誰だって被害者になるよりは加害者になった方がいい。
そこに善悪は存在しない。
人の主語によっては自分の周りでそういう事があったという悲劇の被害者ととるかもしれない。
それでいいのだ。
ここには中立は存在しない。
白でも黒でも、思った方にしかならない。
生きるためなら、黒でいい。
「つーわけで、弱い者グループは八人の徒党です。うち最低でも二人は相手にしてくださいな」
どうせ黒になるなら真っ黒に。
修行の最終段階という名目で、俺達はこの天童さんの弱い者いじめの片棒を担ぐ事になった。
先にもう戦いの結果を告げておく。
こういう弱い者を舐めきった強い奴が辿る映画や漫画の展開は大抵の場合は力の差の慢心をついた奇想天外な作戦で足下をさらっていく弱い者の構図になる。
強い奴が弱い奴に勝利するなんて展開はありきたりすぎる、夢がない。
例えば俺が漫画でも小説でもいいけれど、この展開になったら新キャラを投入する時期だと思う。
天童さんは十分にフューチャーしたし、俺達という弟子までとったのだ。
意外性を持たせてのテコ入れの時期としてはベストのタイミングだ、あさぎの見た目も変わったしな。
本選を前に天童さんが脱落!
そして、天童さんを倒した因縁の相手と俺達が本選で激突!
うん、我ながら燃える展開じゃないか。
だが、現実にはそんな事は起きない。
メジャーリーガー相手に少年草野球チームがどんなに策を労したところで覆らないものは覆らない。
俺が妄想したような、天童さんがまさかの敗退を喫し、数で勝る相手に俺達がピンチになる。
などという、展開には残念ながらならなかった。
この時にサバンナマスク達やヨアンナさんが助けに来てくれれば盛り上がるんだけどな。
まぁ、この事を誰にも話していないんだから来るはずはないしね。
というわけで、天童さんの戦いっぷりは話には聞かされたけど全て割愛する。
オールカットだ。
一言だけ記すなら貫禄勝利とだけ言っておこう。
さて、俺達は三人を相手にする事になった。
向こう八人だったから、少しでも数を優位に運ぶとなると五人と三人に分けるのは当然といえば当然だった。
悲しいかな天童さんを相手にした時点で、八人全員でかかっていっていれば勝てたのかというと、やはりそれは違っていただろうが。
そして天童さんの話を聞いて、振り返ってみて思ってしまう。
彼女達が最強であり続ける理由を。
俺達は強くなれたが、弱いままだった。
絶対に天童さんのようにはなれないし、それで良かったのだと心から思う。
場所は近くの森林公園。
広さはそれなり、東京ドーム一つぶんくらいはある雑木林に潜んでいるようだった。
勿論、そこが約束の場所ではなく、近くの噴水を指定されていたのだけどそこには一枚のメモがあって。
メモには「既に来ている」とだけあった。
実力差がある相手には騙し討ち、不意打ちをするのは常套手段だから卑怯だなどと無粋な事は誰も言わなかった。
それにこの状況は実の所は予想できていた。
天童さんを相手にするというのなら、俺達だってこういった戦い方をすると思う。
地の利でも何でも、使える物は全部使う。
卑怯とか正々堂々という自己基準が随分と変わったものだ、土田と戦った時には考えもしなかっただろう。
こうなった時点で相手が狙いやすい状況を作るというのもダンドリで決めておいたので、天童さんと地蔵院さんは黙って雑木林の中に消えて行った。
戦うわけではないのだから、地蔵院さんは来なくていいと思ったのだ。
むしろ地蔵院さんは弱点にしかならない。
そう思って聞いてみたのだけど、地蔵院さんも天童さんも見解は同じであり。
同じ条件で戦わないといけない。同じ条件で戦ってこそ勝ちに意味がある、という事だった。
単純に強さでねじ伏せるのではなく、できる限り弱者と同じ目線に立ってなお圧倒する。
それが彼らの美学なのだ。
強さ故の余裕なのだ。
その余裕こそが強さなのだ。
だからこそ、最強なのだ。
命のやりとりでなければ殺人者の戦いではなく活人者の戦いだ。
命のやりとりだからこそ、圧倒的なまでの搾取なのだ。
その姿勢を見る事さえも、俺達にとっては修行の一環だ。
二人を見送って待つこと二、三分。
俺達の相手は姿を表した。
笹目英子、植松雄平、日向智代。と名乗りあげてくれた。
二対三の戦いはここに切って落とされた。
ここで一つ、俺達は予想していなかった事に直面する。
単純に数で勝るためにこの人数をぶつけてきたと思っていたのだが、これは彼らにして必勝の形だったのだ。
地味なシュシュで髪を纏めた歳としては30頭から40才くらいの女性。
笹目英子がまず戦いの口引きを切った。
「デネブ!」「アルビレオ!」
言葉と同時に笹目の姿が俺そっくりになり、その手に長刀が出現する。
そしてその長刀を日向にパスした。
「マジで!?」
技というより能力に近いそれは、いろいろな状況を想定していた俺達にとっても驚きを隠せなかった。
分身するという東の技を眼にしてはいたが、やはりこうった特殊能力は眼にすると一瞬だけたじろいでしまう。
「アルタイル!」
さらにこの三人のうち、唯一の男性植松雄平がそれに続く。
植松は宙に浮いたのだった。
縦横無尽に動き回るその様子はもはや飛行と言って差し支えが無い。
空中から文字通り見下ろして、俺達を視線だけで束縛するように見据えていた。
「ベガ!」
最後に日向の呪文がそれに続く。
日向は笹目からパスされた長刀を手にしていたので日向自身が戦うという事は理解できていた。
だからこそ能力も自己強化であると介していたのだが、日向自身の動きの向上は見られなかった。
さて、日向の能力がどんなものであったのか。
これは最初にネタをバラしてしまうと、『振り向く事をできなくする能力』。
さらに言うならば、首の可動を制限させてしまう能力だったのである。
言葉にするとひどく地味な能力である。
ただ、この陣形において。
白鳥座と鷲座と琴座のコンビネーションに限って。
夏の大三角の彩る攻撃においては非常に重要な役所の能力だった。
「キェェェイ!」
日向の長刀の一撃をバックステップで避けたところに、植松の急降下で踏みつけるような蹴りが飛んでくる。
離れて見ていた俺はとっさに危ないと忠告するも。
「あぁつ!?」
疑問の声と悲鳴が入り交じった声をあげながらあさぎが吹き飛ばされ、俺は再び上空へと逃げていった植松を目でお、えなかった。
「あがっ!?」
首を動かそうとするも動かず、首を動かすという意志だけが一人歩きをするように体全体を振り向かせた。
それでも肝心の上下の可動ができないため、植松を結局追う事ができない。
そこに日向の長刀が俺の頬をかすめた。
「危ねぇ!」
とっさにそれを避けるも、視界には俺に殴られるあさぎの姿があった。
「ちっくしょう偽物の方か!」
「あさぎこっちだ!」
もう一人の俺の対策は常に隣にいればできる。
俺に呼ばれてあさぎは文字通り首が回らないためにぎくしゃくした動きで体全体で振り返る。
そこに再び植松の蹴りがあさぎの顔面に炸裂した。
ようやく状況のマズさを理解しはじめる。
植松の攻撃は空中からくるために常に死角から迫ってくる上に空中からなので対応が難しい。
上を気にしていると、日向の長刀が振られてくる。
どうにかして日向と植松のどちらかを攻略しないといけないのだが、それぞれを倒せる攻撃力を持つあさぎはもう一人の俺に気をとられてしまい動くに動けない。
「「あさぎ」」
もう一人の俺になった笹目の声は全くといっていいほど俺と同じだった。
「右から来るぞ」「左から来るぞ」
「ふえっ!?」
あさぎの右頬が植松に蹴飛ばされた。
そして今度は笹目が俺に掴みかかってきた。
単純に体重をかけての押し倒し。
倒すというよりも混乱させる、俺を封じるというたぐいの行動だった。
これでは日向と植松にあさぎが集中できない。
「ちくっしょう!どっちから来るんだよ!」
あさぎが声をあげるも俺は答えてやれない、うがっというあさぎの悲鳴だけが耳に入った。
これで日向の長刀の攻撃を避けるのに合わせて植松がフォローを入れたら何もできないままにやられてしまう。
常識的に考えれば手詰まりだ。
行動を制限されたうえで、さらに見えない所から攻撃されて、おまけに一発で致命傷の武器を持ち、あまつさえ仲間の偽物がいて気を取られているなんて状況に打開策なんてありえない。
ここで都合よく天童さん達が助けに来るか?
それもノーだ、ご都合主義がまかり通るのは物語の中だけだ。
東に裏切られた事によって生じた怒りがあさぎをスーパーあさぎに進化させるか?
それもノーだ、そんなものは超展開だ。仮に物語りとしてもお粗末だ。
俺が何かすばらしい打開策を思いついてあさぎに指示してこのコンビネーションを突破するか?
それもノーだ、仮に思いついたとしてそれを声に出して指示したら筒抜けだ、どうしてスポーツ系の物語は敵もその指示を聞いているのに対処しないのだろうか。
よくあるパターンとしては意固地になってその戦法を貫くとかそういうパターンだ。
だけどこの三人は実にクレバーだ、そういう俺達に都合の良い展開は望めない。
つまるところあさぎは一人でこの状況を打開しなければいけない。
この四面楚歌の状況では、重ねていうが常識的に考えればすぐに状況は変わらない。
すぐに変わらなければ敗北は必至だ。
だからこそ俺達は東に負けたのだ。
俺達は、常識に縛られていたから負けたのだ。
常識的に考えてありえないこの戦いで、今でも後生大事に常識に捕らわれていたからこそ敗北した。
だから学んだのだ。
天童さんから学んだのだ。
最初から常識外れで規格外の存在は、もとから常識になんて捕らわれていなかったのだ。
囚われていなかったのだ。
だからこそ、常に孤独だったし
だからこそ、常に最強であるのだ。
予選も終わるという頃に、俺もあさぎもやっと気がついたのだ。
「リゲル……」
あさぎが腰を落とし、深く、強く、溜めを作る。
その並々ならぬ様子に日向は警戒した様子で距離を置く。
植松はどうだろうか、視界の外のため状況がわからないが警戒しているのだろうか、それとも空中にいれば安全と強気の姿勢でいるのだろうか。
笹目は俺にかしづいて、何が起きるにしても俺をあさぎの下へは行かせまいとしている。
そして。
「キーーーーーーック!!」
あさぎが吼えると同時に、地面を全力で踏みつけた。
ズンとも、ドンともつかない音と同時に直下型の小規模な自身が起こる。
ここまでの事ができる、という事を想定していなかった日向はモロに足を取られる。
その驚きは判断力をも奪う。
一瞬だけ陥った思考停止、それだけで今のあさぎが相手を倒すには十分すぎる。
「リゲル……キーーック!!」
必殺技の二連発。
長刀の柄を真ん中からへし折りながら、あさぎの強烈な蹴りが日向の腹部に炸裂した。
遠くに吹き飛ばされ、ごろごろと転がる日向。
そしてそのままその体は消滅した。
同時にそれは日向の能力効果が消滅する事も意味する。
これで首が自由になったのだ。
日向の消滅に気を取られた一瞬の隙、無理からぬその間が植松にとっても致命的だった。
あさぎが宙を仰ぎ、睨み付け、跳ね、植松の足首を掴み、地面に叩きつけた。
それで十分だった。
あとはとどめだけだった。
「ひっ」
植松が短い悲鳴をあげ。
あさぎは一切躊躇せず。
「リゲル……」
続く発動には必要のない、お決まりの必殺技を静かに囁きながら、植松の腹部を踏みつけた。
植松の肉体が消滅していく。
それを見て動揺したからか、そもそも効果が切れる時間が来たからか笹目が下の姿に戻った。
「ひっ……」
明らかに脅えきって様子で俺の腰から離れると、どうやら今度は自分の腰が抜けてしまったようだった。
「ひ、ひひ、ひ」
顔をひきつらせながら笹目は俺達を拒絶するように手を振り回しながら、座ったまま後ずさりする。
「ひひ、人殺し!」
彼女の第一声は何とも的はずれた物だった。
そしてさらに続く。
「な、な何よあ、あなた達狂、狂ってるんじゃないの!ど、どうしてそ、そんなひ、人を殺せるの!」
狂っているか。
そうなのかもしれない。
仕方が無い、そう割り切ってしまっている。
割り切ってしまえている。
一度死んだから。
一度死んで、なお叶えたい願いがあるから。
だから、別にもう何でもいいよ。
「わ、わ、わた、私達は、そ、そ、そこま、そこまでするつもりは無かったのよ! ちょっと、ちょっと驚かして、戦いをを、止めて、止めて、止めてもらおうと」
「戦いを止めるってどうやって?」
あさぎが冷めた声で言った。
「ど、ど、ど、どどうって……。仲間が……そう! 仲間がそう言ってたの! この戦いは止められるの! 殺し合う必要なんて無かったの!」
「具体的には?」
あさぎが続ける。
「そんなの……し、知らないわ! でも、そうなの! おかしいじゃない! 殺し合いだなんて馬鹿げてる! 正気の沙汰じゃないわ! そう思わないの!?」
「思うわよ」
あさぎは同意した上で続ける。
「思うけど、私は私の目的のために戦いを止めるわけにはいかない。あなたにも何か理由があるんでしょ。それに殺す気でかかってきてた、そんなのこの戦いをここまで勝ち残っていればわかることよ」
「それにそんな話があるのなら、最初にまず話し合いからだしな」
俺も思わず口にしてしまう。
笹目の話は嘘なのだろうけど、嘘でない可能性も俺達は知っていたからだ。
知った上で、それを蹴ったからだ。
「うちは……うちは母子家庭で……旦那が借金作っていなくなって……子供が二人いて……下の方は体が弱くて……お金もいるし……それ以上にあの子達には私が必要なの! わかるでしょ! わからないの!」
「わかるわよ……。誰にだって事情がある。最初の話は信じないけど、その話は信じてあげる。信じさせて」
「じゃ、じゃ、じゃ、じゃあ!」
あさぎは言って構えた。
「だけど、それとこれとは話が別」
空気が変わった。
何度も経験してわかっている。
これは死の臭いだ。
あらがいようのない、理不尽でいて、残酷で。
だからこそ絶対的な摂理。
「あさぎ」
名前を呼んで制止する。
とどめを刺すなというわけではない。
戦意を喪失した相手だけを狙うようで格好悪いが、全てをあさぎにやらせるわけにはいかない。
「……鬼!悪魔!」
俺はゆっくりと拳を構える。
いろいろは覚えられないだろうからと、一つだけ教わった技。
技といっても空手で言う正拳突きのような武術的な技ではない、きっと基本すぎて技ですらない単純明快な暴力。
右フック。
細かな技術はさておいて、コメカミという人間の急所を狙う事のみに費やした二週間。
「……ケバルライ」
自分の能力値を底上げする。
あさぎほどの攻撃力は無くても。
素人同然の攻撃でも。
人は殺せる部分を狙えば殺せる。
「助けて!!!!」
悲鳴。
ゴッという派手ではない鈍い音。
続けて嫌な感触が右手に残る。
「ゆうちゃん…まいちゃん…お母さんね…」
振り抜いた。
笹目は糸が切れた人形のようにパタリと崩れ落ち。
何かを呟いて消滅した。
戦いは終わった。
「ふぅ」
頭の中で余計な事を考えて気をそらそうとしたがダメだった。
「おぅええぇぇえええ」
胃液の逆流を我慢する事はできなかった。
人を殺した。
この手で人を殺した。
罪の意識の共有じゃない。
俺が罪そのものになった。
「千鶴、平気?」
平気なはずがない。
そう、あさぎだって平気なはずがない。
「大丈夫だ」
学芸会レベルの演技で強がってみせる。
それ以上は何も聞かないのはあさぎなりの優しさだろう。
ともあれ倒した。
夏の大三角を制した瞬間だった。
瀬賀千鶴&防人あさぎVS笹目英子、植松雄平、日向智子
笹目英子 白鳥座 死亡
植松雄平 鷲座 死亡
日向智子 琴座 死亡
残す脱落枠 一組




