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第四十四話 閑話休題に人を知る 後編



「あれ……それはいいかもだけど、好きになるきっかけなくなってない??」


僕がそういうと、日向さんは少しだけ考える様子を見せた。


……オォ……考えるは考えるのか……。

正直、そんなことないよ待ちだったからちょっと戸惑ってるんですが……。


しかし僕のそんな気持ちなど知る由もない日向さんはしかしはっきりと言った。


「確かに~! でも、それでも私は今はもっと陽太君のことが好きだよ~」


そう口にする彼女の表情は同い年にしてはやけに大人びて―――。


「……っ、いや、それは、ずるくない……? っていうか、近くない!?」


―――足が触れる位置にまで近づいてきた日向さんに驚いて僕は距離を取った。


あぶな~~~!!?

なにこの距離!?

めちゃくちゃくっついてるけどこれって犯罪じゃないですよね!?


ていうかさ!!!!

普通に意識しないようにしてたけど、この世界の女性って貞操観念が僕のいた世界の男性になってるから結構薄着だったりするんだよね!!

だからか知らないけど、普通に太ももが露わになってるズボンとか履いてくるから目のやり場に困るんだよね!!!!!


まぁ僕はちらっとは見ますけど。


……しかし……それはそれとして、だ。


「え~? どうしたの急に~。何かあった~?」

「いや……ど、どうして近づいてくるの……?」

「……? もしかして、意識しちゃってるの~?」


なんか顔が怖いんですけど!?

まるで獲物を狙う狩人みたいなんですけど、これってもしかしなくても狙われてるんですかね!?

いや、確かに向こうは好意を示してるし、そんな中家に呼ぶという行動をした僕に非があるかもしれないけど!

にしても怖いよ!?

普段がおっとりしてるだけにギャップもすごいし―――ってそれより!


「~~~い、いいからほらっ! 勉強しよ!? てか今更だけどこれ雪乃のための勉強会だからね!?」

「……ヴッ……い、いや~、ま、まぁ、それは口実~? みたいな~? えへへ……」


いや、あなた笑ってますけども……。


――そう、先ほど僕が言ったように、こうして普通に楽しい時間を過ごしているように見えるが、そもそもなにもなければ勉強会というものはしない。

まぁ、そういう名目を使って異性に教えてもらうというシチュエーションの良さはわかるけども、今回のこれは、正直それの範疇を大きく超えるといっていいだろう。


なぜならば、なんとこの目の前の可愛い女の子。

大人びた雰囲気でごまかしているがその実―――。


「まさか必修科目の評価テストの対策問題でここまで点が取れないだなんて……今日で色々雪乃のこと知れたけどこれが一番驚いたよ……これもしかして落単する可能性あるんじゃない? 大丈夫?」

「いや~、まさか私もこんなにできないとは~……必修って言うぐらいならも少し簡単にしてほしいよね~……」


とまぁ笑いながら、見るからに嫌そうな顔で問題集を睨みつけている日向さんだけど……いや、ほんとに冗談抜きでやばいと思う。

いや~、人は見かけによらないね、まじで。


……でもまぁ、少しながらの男としてのプライドというものなのか。

こうして教えてあげられるというものはいいもので。


本当に勉強はしておいたほうがいいことが多いなぁなどと、そんなことを思うのだった――――。





「いや~~……本当に助かったよ~~~~! ありがと~~~~……」

「いいえ~! また厳しそうだったらいつでも来てね! じゃあ気を付けて!」


冬が近づき、未だ午後の六時だというのにも関わらず、駅の明かりが点き始める頃。

僕らはなんとか日向さんの勉強会及び課題研究を終わらせ、最寄りの駅で別れの挨拶を済ませた。


いや~~~~~。

うん。あの~~~、日向さんマジで大丈夫かな……。

高校時代そんな頭悪くなかったと思うんだけど……何かあったのかなあ。


来年会ったときに後輩とかになってなければいいケド。


にしても。

そう考えると、僕がこの世界にきてからもう七か月も経つのか……。

早いな~~~。


いや、ていうかまだ七か月なの???

もう数年いるような気さえしてくるんだけど……。


まぁ。今まで生きてきた分よりも絶対にこの七か月のが濃かったと思うし妥当っちゃ妥当か。


などを思いながら帰宅していると―――ピコンッと携帯の通知音が鳴るのが聞こえ、僕は携帯を取り出して心臓がはねた。


それは、僕が待ち望んでいたようで、しかしどうしようもできない相手からだった。


―――――――――――――――――――――――


―笹草 心愛


今週末空いてたりする? -18:23

一緒に出掛けたいところがあるのだけれど……もしだめなら電話とかできないかしら? -18:23


―――――――――――――――――――――――



【更新日変更のお知らせ】


いつも応援ありがとうございます。

こちらの作品についてですが、締めの話にしていくために推敲させていただきますので毎日更新をやめて、次回から来週の金曜日のAM1時更新にしていきたいと思いますので、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。


そのため、次回更新は8/8 金のAM1時になります。

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