↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邂逅  作者: 群青 ひら
1/56

第1章 プロローグ 突然の来客①

巡回を終えて、門亜は庁舎の車庫に白バイを入れていると、同じ小隊の隊員が呼びに来た。


小隊長が呼んでいる、とだけ言って去っていく隊員を見ながら、門亜は「何かやったかな?」と思ったが、とりあえず運行後の点検に集中することにした。


――緩みやすいボルトを中心に、緩みがないか点検していく。違反者を見つけたときに、急加速するその車体は完璧でなくてはならない。


白バイと心中なんて、冗談でも言えない。


その後は、ボディの傷の有無を兼ねてクロスできれいに拭きあげる。


ここまでが、庁舎に戻ってからの仕事。疲れていようが、お腹がすいていようが、やらないといけない。


たまに、閉口するときがあるが、そんな時、門亜は『白バイ隊員としての矜持だ』と自分に言い聞かせている。


……小隊長の呼び出しなんだから、運行後点検に時間をかけるなんて分かってるでしょ。


門亜は、焦らずにいつも通りに点検を行った。否、いつもより念入りに点検をした。 


車庫を出た門亜を、先ほど呼びに来た隊員が様子見に来た。


そして、これから小隊長の所に行く、と言うと『来客と一緒に応接室で待っている』との小隊長からの伝言を伝えた。


心なしか、目線が何か言いたげだった。強い反感のようなものではなかったが、決して好意的とは言えなかった。


……何なんだ?しかも来客って。嫌な予感しかしないな。


考えながら歩いたが、応接室までの廊下はあっという間だった。


門亜は応接室の前の扉に立つと、静かに3回、ノックをした。そして


「工藤です。遅くなりました」


と言うと、中からどうぞ、との小隊長の声がした。


利き手でドアノブを回し、扉を開けると、


「失礼します」


と、軽く会釈をした。そして顔を上げると、ソファに座る男の顔を見て心臓が殴られたような衝撃を受けた。


……伯父さんだ。何で、県警の刑事課の刑事がここにいるんだ?


門亜は表情に出さないように必死だった。


オレオレ詐欺を捕まえたとき、よくやったと言われなかったどころか、青森署でめちゃくちゃ怒られたんだぞ!しかも、同期の奴に見られるってもう……。


すん、と、目線を少し下に下げた。そして、静かに深く息を吸い込むと、音もたてずにゆっくり吐き出した。


「工藤、立っていないでこっちに来て座れ。だいぶ待ったんだ」


小隊長が門亜の顔を見ないで言った。


門亜は一礼すると、伯父の向かいのソファに座った。


「こちらは……紹介しなくても分かるだろう。お前の伯父さんだ」


ふぅ。ため息をつきながら小隊長は言った。そして


「来週から、刑事課の応援に入ってもらう」


詳しくは伯父さんからだ、と小隊長は続けた。


は?今なんて?


待ってよ。一体いつまで?来月の末には雪が降り始めるんだよ?戻ってきたら覆面パトロールカーでの巡回だよ?


門亜は突然の辞令に困惑した。返事が出来ないでいる門亜に小隊長は続けた。


「期間は3か月を見ている。状況次第で1,2週間延びることがある。ただし、それ以上は延びることはない」


3か月か……。戻ってきたらもう雪で白バイに乗れないじゃないか。でも一体何で?


門亜は顔を上げると、伯父の顔をじっと見た。伯父は素知らぬ顔をしていたが、一言、ぼそっと言った。


「薬機法違反」


それを聞いた門亜の背筋がわずかに強張った。


ドラッグか、いわゆるハーブか。


伯父は一瞬口を閉じると、廊下の音に耳を傾けた。こちらに来るのではなく、遠ざかっていく音を聞くと再び続けた。


「ゾンビたばこだ。先日、昏睡した大学生が病院に運ばれたが、どうもゾンビたばこをやっていたようだ。まだ意識が戻らない」


「巣になっている店に客として行け、と言うことですか?僕ではあまりにも素人すぎるでしょう?」


門亜は静かに言った。オレオレ詐欺犯を見つけた時に、伯父に連絡しようとして音環に連絡をしたボクだ。犯人に筒抜け、なんて想像に難くない。


お目に止めてくださりありがとうございます。

この章は2つに分かれております。

久しぶりの投稿でちょっと手間取っていますが、上げるときは1章分ずつ挙げていきますのでよろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。