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ムケチン作戦~首絞め


「驚いたなサトシ、なんて頼りになる男なんだ」



鉄道橋から神社までの4キロもの距離を走って、

チームブラボーの応援に向かおうと

提案したサトシ


ジジイは驚きの声を上げたのだった


即座にリサが言った



「うんうん、列車が来るまではもう

 私たちだけでなんとかできるわけだし、

 ここから20キロも離れたチームアルファは

 難しくても、チームブラボーならね!


 もしも応援に来てくれるなら

 ウメさんもヨッシーも、大助かりだと思うよ」



すかさず、スミレも乗った



「そうだよそうだよ、

 絶対に応援に行ったほうがいいって!!

 矢之板さん、うちの兄とウメさんの為にも、

 どうかお願いします!」



身を乗り出してサトシを後押しする2人の少女


まあ、ジジイにもその気持ちは

分からないでもない....


10代の少女が連続強姦魔と一緒に居て、

心穏やかに居られるはずはないのだ。


チームブラボーの女性はウメさん一人...


彼女は魅力的だが、とても強い。

元警察なので、犯罪者の扱いも慣れている。


少女たちよりは、はるかに心配はないだろう



「サトシ、ちょっと待ってろ」



ジジイは、スッと「つぎはぎ丸」のブリッジに

向かった。

操舵室に入ると、舵輪やレバーの後ろに

いくつもの木箱が並べて置いてあった


それらには、大砲の砲弾と発射薬に遠隔火菅、

そして、銃火器が入っていた。

細長い木箱を開けると、数丁の銃があった


ジジイはデッキに戻った。


その手には、単発式のショットガンと

ベルトで連結された6発のシェルを持っている


そして、自身の肩には、

連発式のポンプアクション式ショットガンを

背負っていた。


ジジイは言った



「いいかね、弾は6発だ


 線路を走って行くと途中に駅がある。

 そこが大体、中間地点だ。

 もしも、手に負えなくなったらすぐに

 逃げ戻ってこい


 当然ながら、君が銃を持って出発することは

 通信機で全員に伝達する


 無事に神社に着いたら、

 すぐにウメさんに銃と弾を渡すこと!

 

 いいな?」



そして、ポケットから通信機を取り出すと

通話ボタンを押して言った



「こちらチームチャーリー、


 矢之板智が、線路を走って神社に向かい、

 チームブラボーと合流したいとのこと


 道中、人型と遭遇する危険があるために、

 彼に単発式ショットガンと、

 弾を6発持たせたい


 ムケチン作戦本部とチームブラボーの

 許可を求む」



//////////////////////////////////////////////



ヨッシーの後ろを2匹の犬がついてくる


白毛と胡麻毛が、交互に彼の背後に

乗りかかろうとしているのだ



「くそ、多分、俺が背負っている

 ヤキタコの弁当のせいだ...」



手に持ったレバーアクション銃を振り回して

うざい2匹を追い払いつつも、

ヨッシーは独り言を呟いた



「まあ、それでも俺から見ても、

 この二匹は人に馴れているのが分かる。

 噛みつかれることはないだろう


 犬と人間は、数万年来の友人とは言うが

 ...それでも、俺は今でもお前を許さぬ」



そう、大柄な胡麻毛のほう。

奴は額に特徴的な菱形の黒い模様があって、

すぐに分かったのだ


ヨッシーは、神楽殿と社務所の裏のほうにある

倉庫の前に来ていた。

その倉庫は、ボロボロの木造の掘っ立て小屋で、

すぐ横に井戸がある。

さらにその奥は、鬱蒼と茂った暗い森だ


森の奥を見つめながらヨッシーはつぶやいた



「だが今は、お前たちが居てくれることが

 心強く感じる。

 もしや、ウメさんも、それが

 分かっていたのだろうか?

 

 本心では俺も、過去の憎悪からおさらばして、

 お前達に歩み寄りたいと思っておる。

 その機会を、今、与えられているのか?」



しかし、やはり背負っている弁当を執拗に狙う

2匹の犬は相当うざかった


ちなみにウメさんは、

この段にある建物の安全をすでに確認し、

さらに上段にある本殿へと向かった



「とりあえず俺は、倉庫から

 何か役に立ちそうなものを探しておこう」



ちなみに、神楽殿にも社務所にも倉庫にも

鍵は掛かっていなかった。

セキュリティーの緩さは田舎アルアルだ


投下された材料の中には、

バールのようなものがあるとのことだが、

それを使う必要はないみたいだ


ヨッシーは、倉庫のドアを開けて中に入り、

すぐさまドアを閉めた。


ようやく、うざい2匹から解放される


倉庫の中は、窓があるので十分に明るい。

そして、棚に収納された掃除道具やバケツ、

儀式に使うのか沢山の鈴もあった



「ふむ、このバケツで井戸から水を汲めば、

 社務所のトイレが使えるようになるな。

 この鈴も、人型の襲来を知らせるのに

 役にたつかもしれない


 ....むむっ!!!なんだアリャ」



窓の下の床近くの壁、

ボロい板が腐って穴が空いている


そして、その穴からニョキっと

突き出ているのは、”胡麻毛の鼻先”だった。


口吻の先端についている黒い鼻と、

その下の”への字”のような口。

しかも、黒い鼻はピクピクとしている


すごい間抜けな絵だ



ヨッシーはあきれ返って言った



「そこまでして、

 ヤキタコの弁当が欲しいのか?」



レバーアクション銃を棚に立てかけ、

背負っていた風呂敷をようやく下ろす。

風呂敷には、弁当が入った重箱が二つ


そして、左腰のビニール製のシースから

サバイバルナイフを取り出した


ヨッシーは、ナイフの丸い柄頭で、

穴から突き出た鼻先をグイっと押した



「危ないから、ちょっとどいてろ」



サバイバルナイフの背のギザギザで、

穴の周辺をギコギコと削る。

穴の大きさが十分になったところで、

ヨッシーは、ナイフをシースに納めた


とたんに、顔全体を突入させてくる胡麻毛


大きな口の両端を上向きにし、ピンク色の舌を

出してハアハアしている


まるで、笑っているかのような癒し顔よ


ヨッシーはつられるように微笑むと、

重箱の一つを開けた


まるでスタミナ弁当だ


大きな肉がぎっしりと詰まっている


肉を一切れ摘まむと、

それを犬の顔近くに持っていく


胡麻毛は、首を精一杯伸ばした。

首周辺の皮が引っ張られて

目が糸のようになり、口を大きく開けて

必死に肉にかぶりつこうとしている



「ちょ、その顔!!」



ヨッシーは一瞬、噴き出した


しかし、次の瞬間....


ヨッシーのこすからい鋭い目が不気味に光った


摘まんだ肉を床に落とすと、犬の首めがけて

スライディングした



「あの時、俺を噛みやがってコノヤロー!!

 絶対に許さねえぞバカヤロー!!」



罵倒しながら床に寝ころんだ姿勢になり、

両腕で犬の首をしっかりと抱え込むように

ホールドする



「ふざけやがって、

 あの時、俺を噛みやがってコノヤロー!!

 絶対に許さねえぞバカヤロー!!!」



犬の首をホールドした両腕にグングンと

力を込める



「ヒーン、ヒーン」



胡麻毛が苦しそうな悲鳴を上げた


しかし、ヨッシーはますます腕に

力を込めたのだった。

その鼻息は荒く、こすからい鋭い目は

憎悪に燃えていた







 

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