イタリアの本場ロサンゼルス
ヨッシーとウメさんとちんかわむけぞうは、
地下室から地上に戻った。
地上の射撃訓練場では、少女3人が
30メートル先の標的に挑戦していた
へっぴり腰でショットガンを構えるスミレ。
13歳の少女にとっては、銃のサイズと反動は
ちと堪えるみたいだ
その姿を後ろから眺めていたリナは、
振り向くと、戻ってきた3人に気が付いた
「おっ、ヨッシー、戻ってきたね!
私とリサは30メートルでも
当たるようになったよ。
でも、スミレは銃はちょっとキツイかな?」
しかし、リナが見たヨッシーの姿は、
すっかり変わり果て髪は全て白髪となって....
...はいなかったが、
ちょっと雰囲気が変わっているように感じた
ヨッシーは、手に持ったレバーアクション銃を
掲げて言った
「あ、ああ、そちらも順調みたいだな....
ちなみに俺は、こいつを貸与された。
ほら、西部劇の銃だぜ」
リサが振り返って言った
「ん?それって、私たちが撃ってる奴と
どこか違うの?
私には、あまり違いが分からないかも」
まあ、少女たちにとっては、
単発式散弾銃もレバーアクション銃も
同じように見えるのだろう
ヨッシーの代わりに、むけぞうが答えた
「ああ、彼の持っている銃は手動連発式だ、
要は、弾が連続して撃てるタイプだよ。
我々は、この銃で訓練するために
地下室に行ったわけだけれど...」
そして、むけぞうはドヤ顔になって続けた
「ヨッシー君は凄いんだぜ、なんてったって
8体もの人型を倒したんだからね!
君達にも見せたかったぜ、彼の雄姿を」
リナが驚いて言った
「人型を8体?地下室で何してたのよ!」
と、場内に銃声が鳴り響いた
ズドンッ
スミレはヘトヘトと床にへたり込んだ。
インストラクターのおっちゃんが
苦笑いしている
これ以上やったらスミレが肩を痛めて
作戦に支障が出そうなので、
少女たちの射撃訓練は終わることになった
インストラクターが穴の開いた粘土ボールを
元通りにして、
標的を再び30メートルに設置している
すると、ウメさんが、腰のホルスターから
『グロック17』を取り出した
ヨッシーはようやく、その拳銃に気が付いた
「あ、ウメさんが持ってるのって、もしかして
グロックっすか?
あの、”グロックで良くね?”の
グロックっすよね!
新制式拳銃のトライアルがあると必ず、
グロックではない理由を指摘されるという」
ポリマーを多用したそのスタイルは、
従来の金属感丸出しの拳銃と雰囲気が
大きく異なり、登場時にはまるで
オモチャのようだと揶揄されていたものだ
しかし、世界一優秀な拳銃という名声を
確固たるものとし、今ではそのスタイルは、
カッコいい代名詞にすらなっている....
両手でグロックを構えながらウメさんが答えた
「ええ、とても扱いやすい拳銃ね、
弾も17発も入るし。
自衛隊は、保守的な造りのシグ.ザウエル
”9ミリ拳銃”をいつまでも使ってるけど
うちの県の警察では、一気にグロックを
購入して配備していたのよ。
まあ、それでも
すべての警官に行き渡る量ではなかったから、
未だに主力はヨッシー君の持っている
リボルバーだったんだけど」
30メートル先の、丸太の上に載った
粘土ボールに狙いを定めるウメさん。
むけぞうが、ボツリと呟いた
「俺が持っているその9ミリ拳銃とグロックは、
使用弾が同じ9ミリパラベラムなんだ。
ねえ、ウメさん....
警察に9ミリパラの在庫があるなら、
俺にちょっとだけ恵んでくれませんかね?
おなしゃす!」
リバーサイド同盟では、9ミリパラベラム弾は
生産していない。
むしろ、拳銃を生産していなかった。
もしかしたら、レバーアクション銃のように
ガンスミスが趣味で拳銃を造る可能性もあるが、
その場合は使用弾は11.5ミリになるだろう
ウメさんは、むけぞうの願いを無視して
引き金を引いた
ガァンッ!
ガァンッ!
2発の銃声が響き、
粘土ボールの真ん中の左右に2つの穴があく
続いて、ヨッシーが
レバーアクション銃『アウトロー』のレバーを
ガチャリと操作して弾を装填した。
銃を構えて、粘土ボールに狙いを定めて
引き金を引いた
ズダァンッ!!
ガチャンッ、ガチッ、..ズダァンッ!!
ガチャンッ、ガチッ、..ズダァンッ!!
ヨッシーは連続して3発撃った
皆は、目を凝らして30メートル先を凝視した。
粘土ボールの真ん中の左右に2つの穴、
そして、その真下に横一列に3つの穴
それは、まるで人間の顔のように見える
「おおっ」
少女たちは、驚きの声を上げた
そして、さらに、ちんかわむけぞうが
背負っていたステンもどきを取り出して、
コッキングレバーを操作して弾を装填した
むけぞうは、素早く射撃姿勢に入ると
短いフルオートを放った
ズダダダンッ!!
粘土ボールの上半分が千切れて吹っ飛んだ
むけぞうが言った
「ま、ヨッシー君もこの程度の距離では難なく
当てられるね。
射撃訓練を終えて、俺達は4時になるまで
身体を休めておこうか」
・・・・・・・・・・・
皆は、川沿いの例のJAの建物に行って
そこで一時の休息を得ることになった。
白装束たちが車を用意してくれるらしい
車を待つ間、ウメさんは、用意していた
とあるものをヨッシーに与えた
それは、黄土色の細長いケースのような
ものだった
警察の出動服に軍刀を腰に差したウメさんが、
両手にそれを持って言った
「これはね、レバーアクション銃用の
本革製ホルスターなのよ。
レバーアクションは機関部が繊細だから、
これに入れて背負うといいわ」
ヨッシーは、ウメさんから
そのライフルホルスターを受け取った
それは、銃口からそのまま突っ込むタイプで、
西部劇では馬の鞍にセットしてそうな感じだ。
なるほど、機関部は厚く丈夫な革で
しっかりと守られるようになっている。
背負うことができるようにベルトもついている
ヨッシーが言った
「うおっ、こんな立派なライフルホルスター、
ここで造ったんですか?すげえっすね」
ウメさんが答えた
「このホルスターは”イタリア製”で、
エアガンショップにあったものなのよ。
ちなみに、私がグロックを入れている
この黒色の拳銃用ホルスターも、
同じイタリア製で本革なの。
もちろん、エアガンショップで
売られてたやつよ
ふふっ、基本的にね、
警察で支給されていた物よりも、
エアガンショップで売ってた物のほうが
上等品なのよ。
限られた予算内で
備品を用意しなければならない警察と違って、
趣味に金を掛ける人はいいものを
欲しがるからね」
ヨッシーは感動して言った
「ふむ、確かに銃の付属品とかは
銃刀法に引っ掛からないんで、
本物用でも仕入れることが出来たんですね!
いや、マジで上等の革製品ですわこれ
もしかして、イタリアの本場と言われる
ロサンゼルスで造られたものっすかね?」
ウメさんは答えた
「残念ながら、イタリアの準本場と言われる
イタリア本国製よ」




