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降伏

ヨッシーは車を急発進させて、

目の前の3体の人型を撥ね飛ばした



ドンッ、ドンッ、ドンッ



面白いように、

車の前に立ち塞がっていた人型が

撥ね飛ばされて消えていく。


しかし、強い衝撃で

シートベルトを装着していない身体が

前後に揺れ、ハンドルを持つ手がブレてしまう。


結局、車の進行方向が右側にズレてしまった


さらに、撥ね飛ばして倒れていた人型に

乗り上げた。

車がグワンッと持ち上がってすぐに下がる


そのまま、橋の手すりに突っ込んでしまった



ガガガガ...



ブレーキを踏んでシフトレバーをPに戻す。

右側、つまり運転席側のすぐ横には

手すりが迫っていてドアが開きそうにない


助手席側のドアから脱出するか?



「いやいや、落ち着け、

 さっき、地面に転がっていた人型を

 乗り越えただろ?

 

 つまり、車の下に人型が居るってことだ。

 ドアから出たとたんに、足元を噛まれるか

 引っ掛かれるかもしれない」



ヨッシーは冷静だった


人間と違って、人型が相手だと

冷静に事を進めることができるスキルを

手に入れたのかもしれない


ふと上を見上げると、

サンルーフのスライドドアらしきものがある。

それは、後部座席の上を覆うように

設置されていた


ヨッシーは、後ろ向きなって座席から

身を乗り出すと、

天井のスライドドアをこちら側に引いた。

すると、ガラス製のサンルーフが出現した


ヨッシーはニヤリと笑って独り言を呟いた



「なかなかいい車だな~

 見た目通り、

 車に異常に金を掛ける人種だったらしい


 まあ、それがこうして、

 自分を撥ねて人型の餌食にした相手の役に

 立ってくれているんだからな。

 それに、頑丈で4WDのRV車のおかげで、

 ここまで大活躍できたんだ。

 まさに、今の俺の為に用意していたみたいだ

 

 ほんま、おおきに!」



ヨッシーは、虐殺に成功した橋の上の住民に

感謝の言葉を呟いた



サンルーフのガラス窓も、

手前にスライドすることによって

開けることができるタイプみたいだ



(よし、このまま車の屋根に上がって

 そこから川に向けて一気にダイブするか!

 川の水深も深いし、多分、大丈夫だろう)



サンルーフのガラス窓を開けたとたんに、

猛烈に漂ってくる人型の腐敗臭....

さらに、ズダダンッ、ズダダンッ、と謎の

爆発音が耳に飛び込んでくる


ヨッシーは、

車の屋根のサンルーフから上半身を乗り出した


そして、ようやく気が付いたのだった



/////////////////////////////////////////////



すでに、バラック小屋の屋根の上からの斉射で

かなりの数の人型が片付いていた。


やがて、ステンガンの丸パクリのような

サブマシンガンは、予備マガジンを含め

全弾撃ち尽くして弾切れになった


謎の戦士は、サブマシンガンを肩に背負うと、

腰のホルスターから9ミリ拳銃を取り出した


スライドを引いて9ミリパラベラム弾を

セットしながら、

ここから30メートルほど先の

緑色のRV車を見やる


....そこには、この事態を引き起こした

犯人と思われる少年が居た。


車のサンルーフから上半身を乗り出して

こちらを見ている。

そして、片手に拳銃らしきものを持っていた


謎の戦士はちいさく舌打ちした



「とりあえずは、人型駆除が最優先だ」



スルリと屋根から降りて、

両手で9ミリ拳銃を構える


謎の戦士も、ヨッシーと同じく独り言を

つぶやくタイプだった



「ステンもどきの弾は量産体制が出来てるが、

 9ミリは違うからなぁ。 

 弾のストックがないから、

 この拳銃を撃つ訓練はまったくしてないし、

 そもそも実戦でこいつを使うことなんて

 滅多にない」



毒づきながら、大柄な軍用拳銃を

バンバンと撃つ


9発撃ち尽くして、

4体の人型の頭を撃ち抜いた


弾切れになってスライドオープンしたままの

拳銃を、そのまま腰のホルスターに納める


1体の人型が、すぐ目の前に迫っている


しかし、謎の戦士は、落ち着いて

腰に下げていた柄の長いナイフを鞘から抜いた


それは、刃渡り20センチを越える

ハンティングナイフだった



「結局、最後に役に立つのはこいつだぜ」



///////////////////////////////////////////



ヨッシーは、RV車の屋根のサンルーフから

上半身を乗り出し、唖然としていた


周囲にあれほど居た人型は、

すべて頭を撃ち抜かれて倒れている


そして、白装束の謎の戦士は、

バラック小屋の屋根から降りて拳銃を構えた。

残った少数の人型が、

謎の戦士のほうへと向かっている



バンッバンッバンッ!!



銃声が聞こえてヨッシーは身を屈めた



「おいおい、流れ弾がこちらに

 来ねえだろうな」



やがて、銃声が途切れ、

ヨッシーは再び顔を上げた


謎の戦士は、柄の長いナイフを抜いて

一体の人型と対峙していた


そして、おもむろに人型の頭部を掴むと

グイっと後ろ向きにのけぞらせて、

顎の下からナイフを突き刺したのだ


謎の戦士の両肩を、人型の両手が

ガッシリと掴んでいる


ヨッシーは感嘆していた



「まるで、人型と接触するのを

 恐れていないようだ...

 一応は、全身を覆う服装だけど、

 少しでも奴らに噛まれたり、引っ掻かれたり

 体液を浴びるとアウトなのに」



ふと、車の下からゴソゴソと音が聞こえた


ヨッシーは、自分も一応は

銃を持っていたことを思い出した



「状況から判断するに、ここから逃げるために

 川に飛びこむよりも、残り少ない人型を

 せん滅するほうがよさそうだな」



サンルーフから抜け出し、

車の屋根の上にあがる


小型の警察用リボルバーを

両手でしっかりと持ち、引き金に

人差し指を掛ける。

そして、親指でハンマーを起こした


眼下を見下ろすと、

車の下から人型が這い出してきていた



「あの謎の戦士と違って、俺は人型と

 近接戦闘はしたくない...

 だから、出来るだけ安全な場所から

 一方的に奴らを攻撃しないとな」



車の屋根の上に立つヨッシーは、

リボルバーを両手で構え、眼下の人型に向けて

”シングルアクション”で良く狙いを定めた


まだ頭髪が残っている後頭部に照準を合わせ

引き金を引く



バァンッ!



しかし、人型は動き続けている


近距離であっても、

やはり動き続ける標的は難しい。

ましてや、小さな頭部だけを確実に

撃ち抜かないといけないのだ


焦ったヨッシーは、引き金を引く動作だけで

連続射撃を行う”ダブルアクション”で

撃ちまくった


4発撃って、ようやく人型の頭部に命中


残り一発だ....

しかし、ヨッシーが車で撥ねた人型は3体、

残り2体がまだ居るはず


と、9ミリ拳銃のマガジンを交換し終えた

謎の戦士がやってきた


車の側を通り過ぎ、地面を這う残り2体の

頭部を撃ち抜いた。

そして、続けて9ミリ拳銃の銃口を

ヨッシーに向けたのだった


何の異議もなく、リボルバーを捨てて

両手を上げて降伏するヨッシー



・・・・・・・



川の上流から一隻のモーターボートが

やってくる。

そこには、ステンガンの丸パクリのような

サブマシンガンを持った数人が乗っていた







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