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勘違いしないと決心した俺は、それでも勘違いしてるらしい  作者: 陽瑞
第一章:親友のラブコメを羨むのはおかしいだろうか?
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勇気を振り絞った日

〜朝日奈紬〜


私──朝日奈紬は、帰宅するため、霜月と電車に乗っていた。

いつも通りの日常のはずなのに、どこか違うものに感じてくる。


「それでさ、このシチュエーション、告白じゃね?って思ったんだけど、まぁただの仲介役のお願いだったってわけ。ラブコメの神様、俺に厳しすぎない?」


「つまり、霜月は仲介役のお願いを告白だと勘違いしてしまったと」


「そうだよ。言葉にするとめっちゃ恥ずいな、これ」


思わず笑いが込み上げてくるがあくまで、表面的なもので、内心は色んな感情でぐちゃぐちゃだった。

原因は明白だ。

霜月が告白されたからだ。

まぁ、私の勘違いで、晴翔宛てのラブレターを渡されただけだったが。

でも、次は本当に、今日、霜月に晴翔宛てのラブレターを渡した子くらいに可愛い子が、霜月に告白するかもしれないと思うと焦らずにはいられない。

いっそ、今から告白するしようか。いや、でも……


いつまで経っても、考えはまとまらない。

こんなことなら覗き見しなければよかった。



ーー30分程前ーー


霜月が課題を出しに行ってる間、スマホを触って待っていた。

霜月がいなくなってから4、5分後、外の廊下から話し声が聞こえてきた。

霜月が帰ってきたのだろう。

私は2人分の鞄を持って外に出ようとした。

教室のドアを開け、廊下に出ると霜月の後ろ姿が見えた。


「しも──」


霜月と言おうとした時、先程まで霜月と被って見えなかった顔を赤らめている可愛い女子生徒が見えた。


「ありがとうございます」


彼女が言った言葉に疑問に思った。

ありがとうございます?何が?

色んな考えが頭をよぎる。

顔を真っ赤にしてたし、まさか、告白?「付き合ってください」→「いいよ」→「ありがとうございます」ってこと?

いや、これは考え過ぎよね。

そう思いつつもどこか不安になる自分がいた。

その不安を取り払うかのように霜月に話しかけた。


「廊下の真ん中で、立ち止まってどうしたの?」


ーー現在ーー


気づけば自宅の最寄り駅に着いていた。

正直、電車の中で何を話していたか覚えていない。

ただ、一歩を踏み出すのがいつもより重く感じる。

このままではダメだと本能が言っている。


恋って残酷ね。

想い続ければ、想い続ける程、相手の良さを知ってしまい、自分では釣り合わないんじゃないと思ってしまう。

失敗したら、今の関係すら無くなるんじゃないか、今までの想いが無駄になるんじゃないかと思って、行動に移せなくなる。

積もれば積もる程、何もできなくなるなんてまるで雪ね。


でも、行動しなければ何も変わらない。

告白失敗して関係が悪くなれば、また1から関係を作ればいい。

それに、今日まで積み重ねた関係が1回の行動で壊れるとは思えない。

過去の私が、頑張って積み重ねた関係だ。

信じよう。これを信じなければ一体何を信じればいい。

だから、今日勇気を振り絞ろう。


私は私たち──幼馴染3人が住むマンションのエレベーターで決意する。今日、告白すると。

幸い、私たちの住戸は横並びだ。そこで……

私たちが住んでいる階に到着し、エレベーターのドアが開く。

ドアが開ききると霜月は自分の部屋がある方に足を踏み出す。

そして、私たちの住戸の前に着く。


「じゃあ、また明日」


ここで言わなかったら、明日もいつもと同じ日常が送れる。そう思うと言いたくなくなる。でも……


「ちょっと待って!」


霜月の制服の袖を引っ張り引き止める。


「なに?」


「言いたいことがあるの」


「言いたいこと?」


「そ、その、私と、付き合ってください」


今日は間違いなく、私が今までの人生で一番勇気を出し、私の日常に変化を与えた日だ。

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