朝日奈過去編:過去の傷
〜朝日奈紬〜
小学生の頃は、毎日のように幼馴染3人で遊んだ。
平日は学校帰りにランドセルを持ったまま、誰かの家に行くことが普通だった。
「つむぎー、あそぼー」
土日・祝日は湊が私を遊びに誘いに来て、晴翔の家で遊ぶことが何気ない日常だった。
晴翔の家で遊ぶ理由は、家庭用ゲーム機が一番揃ってたし、何よりテレビが一番大きかったからだ。
私たちは、外で遊ぶことは少なく、晴翔の家でテレビゲームをすることが3人一緒にプレイできるゲームをよくしていた。
外で遊ぶ時は、大抵、家族ぐるみで行くことがほとんどで、ボーリングやアスレチックなどが多かった。
年に夏休み中に幼馴染3人とその家族で、旅行に行くのが当たり前になっていた。
◆◆◆◆◆
中学生になると、異性だった湊、晴翔とは少しずつ疎遠になっていた。
それでも、幼馴染ということもあり、一緒に帰ったり、遊んだりすることはあった。
元々内気な性格で、同性の友達が少なく、部活をしていなかった私は、同性との時間より幼馴染との時間の方が多かった。
しかし、それが良くなかったのだろう。
私は次第にいじめられるようになった。
この頃になると、晴翔は部活で1年ながら活躍したり、テストで1位取ったりしていた。
この事と元々の容姿の良さを合わせて、晴翔は女子からはモテるようになっていった。
故に、晴翔の近くにいて、なおかつ晴翔が唯一名前呼びする女子だった私がいじめの標的になるのは必然だったのだろう。
自分で言うのも何だが、容姿が整っていた事、そして何より、髪がハーフの母譲りの金髪だったことがいじめの対象になるのを助長していた。
最初は、プリントをぐちゃぐちゃに丸めたゴミを投げつけられたりして、「朝日奈いたんだ、気づかなかったわ、ごめーん」とわざとらしく言ってくるだけだった。
しかし、私が何もしないといじめは、次第にエスカレートしていき、教科書をゴミ箱に入れられたり、あからさまに私に聞こえるように悪口、陰口を言ってくるようになった。
この時、湊と晴翔とはクラスが違ったこともあり、いじめられていることは知られていなかった。
親に、幼馴染にいじめられていることを知られたくなかった私は、湊、晴翔たちから距離を取るようになった。
今まで、晴翔は朝練がない日、湊は基本毎回一緒に登校していたが、これからは別々に登校しようって言った。
湊は、私が行き道の途中で誰かと合流して行くと思ったのか、「あ!もしかして、紬、好きなやつでもできた?」と勘違いして揶揄ってきたが、その勘違いがありがたく感じた。
下校の時は、晴翔は部活、湊は宿題未提出による居残りで、一緒に帰ることは少なかったが、零ではなかった。
しかし、いじめられるようになってからは、一緒に帰れそうな日も、2人にいじめがバレる可能性を減らしたかったので、合流せず1人で帰るようになった。
いじめが始まって1ヶ月くらいになると、いじめはさらにエスカレートした。
上履きや教科書を隠されたり、悪戯されたりするようになった。
故に、置き勉は出来ず、上履きも毎回持って帰るようになった。
この頃になると、内気な私にいた数少ない同性の友人も、いじめに加担するようになってきた。
最初は、私に関わらないようにしようとしていただけだが、クラス全体に私をいじめるのは当然みたいな雰囲気が出来上がってからは、いじめるようになってきた。
しかし、そんな状況になっても、中務明璃だけはいじめてくることはなかった。
明璃は私が内気な性格もあって、先生に相談したり、助けを求めたりすることが出来ていないと思ったのだろう。
明璃は私のためを思って、先生に私がいじめられていることを告げた。
こんな状況でも、私のために動いてくれたことが何よりも嬉しかったが、それと同時に、先生にいじめのことが知られたことが何よりもつらかった。
先生たちが知れば、解決する為に動くため、いじめのことが確実に親や幼馴染の耳に入る。
だから、先生には知られたくなかった。
──お願いだから家族と湊、晴翔たちにはバレないで。
そんな私の願いとは裏腹に無慈悲な現実が叩きつけられる。
先生はいじめについて知ったことにより、親に連絡したり、幼馴染2人を私のことを聞くために呼び出したりした。
それにより、親、そして、幼馴染2人にいじめのことが知られてしまった。
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