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勘違いしないと決心した俺は、それでも勘違いしてるらしい  作者: 陽瑞
第一章:親友のラブコメを羨むのはおかしいだろうか?
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今日一番の功績

〜朝日奈紬〜


映画館から出た私は、晴翔たちが私たちに気付いていたのではないか、と不安になっていた。


「バレてないよね?」


「大丈夫……だと思いたい」


いつまで経っても不安は払拭されない。

引きずっていても仕方がないのは、分かっているけど、どうしても気になってしまう。

晴翔たちを尾行した私たちへの天罰なのではないかと思ってしまいたくなる。

しかし、ずっとこの場所にいるわけにはいかない。

ここは映画館を出てすぐの場所、映画を見終わった晴翔たちと接触する恐れがあるので、早急にここから移動しなくてはいけない。


「この後、どうする? 霜月は行きたい場所とかある?」


「特にないかな。それにこれ以上、このショッピングモールにいたら、また晴翔たちと接触しそうな気がするからな」


確かに、私もそんな気がする。


「じゃあ、今日はもう帰る?」


「そうだな、今日はもう帰ろうぜ」


霜月がそう言うと、私たちはショッピングモールの出入り口の方へ歩き出した。




私は私たちが住む住戸の前まで帰ってきた。


「じゃあ、またな」


そう言うと、霜月は自分の住む住戸の方へ足を進める。


「霜月!」


気づけば、私は名前を呼んでいた。


「ん? なに?」


立ち止まる霜月に私は近づき、目の前にまで移動し、そして、次の瞬間、私は霜月の頰にキスをした。

何故、こんな行動をとったのか分からない。

今日、晴翔や明璃を見て、「私も負けてられない」と思って行動したのかもしれない。

はたまた、単純に2人のことが羨ましく思い、「私もこんなふうになりたい」と思って行動したのかもしれない。

おそらく、今後、何故私がこんな行動をとったのか、考え続けても、答えが出ることはないだろう。


いや、今、重要なのはそんなことではない。

何が原動力になったのかは分からないが、私は今までの私なら恥ずかしくて出来なかったであろう、キスをした。

その結果こそが一番重要なのだ。

ならば、昨日の告白の時と同じ失敗をしないようにしなくてはいけない。

そう、今度こそ、勘違いされないようにしなくては。

そういう思いが強かったのだろう。

気づけば言葉を発していた。


「昨日みたいに勘違いしないでね」


昨日の告白のように、勘違いしてほしくはない。

これで私の気持ちが少しでも伝わればいいな。

このような思いが私の心の中を埋め尽くしていた。


「じゃあ、またね」


だんだん恥ずかしくなってきた私は、別れの挨拶をすると、霜月に背を見せ、自分の家のドアを開いた。

家に帰った私は、誰かが見てるかもしれない廊下でキスをした恥ずかしさで顔は真っ赤だったと思う。

もしかしたら、霜月の前でも顔が真っ赤だったかもしれない。

それでも、不思議と後悔はしていなかった。

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