33.神のしずくは、恐るべし。
慎は雪に、広場から屋敷にある寝室まで、引きずり込まれた。
「おい、雪。話ってなんだ?」
雪はじっと慎を見つめたかと、思ったら服に手をかける。
「えっ、ちょっ・・・・・・。」
慎が唖然としているうちに、乗馬服の上着を脱ぎ、ズボンに手をかける。
はっと我に返った慎が慌てて止めに入る。
「雪、待て。うれしいけど、いや違う。とにかくだな。こんな絶好の場所で脱がれると、理性がだな。」
慎がしどろもどろになっているうちに、雪はズボンも脱いで、下着だけになると、慌てふためいている彼に抱き付いた。
予想を超えた雪の行動に、慎はそのままベッドに押し倒された。
雪がそのまま慎の上に、圧し掛かる。
「おい、冗談やめろ、雪。」
雪の目が据わっている。
「ふーん。イーリス姫の時は、どうだったのよ、慎?」
「いや、なんで、こんな時に、そんなこと聞くんだ。」
慎は、雪に押し倒されながらも、ベッドから出ようと後ずさる。
「彼女の時は、逃げなくて、私だと逃げるんだ。胸が小さいからなの。」
雪は何を思ったのか、自分の小さい胸に、慎の手をあてた。
慎の手に雪の柔らかい胸の感触が伝わる。
思わず胸を揉んでしまう。
「いやーん。何するの。」
雪が小さな喘ぎ声を上げた。
「えっ、そう言われても、雪がしたんだろ。」
慎は、心の中で、何回も”相手は酔っ払い、相手は酔っ払い。”と唱えるが、いかんせん、自分が好きな子に迫られているため、今にも理性が焼き切れそうだ。
「おい、頼む。もう・・・・・・。」
慎がそう言いかけた時、雪がいきなりキスしてきた。
「おい、ゆ・・・き・・・。」
慎は、思わず雪のキスに応えて、雪の口の中を舌でまさぐる。
慣れていないはずの雪から、喘ぎ声が聞こえて、とうとう慎の理性が切れた。
逆に雪を押し倒すと、今度は慎がのし掛かった。
「おい、いやだと言わないと、本当にこのまま襲うぞ、雪。」
雪はトロンとした目で慎を見ると、
「大好き。」
雪はのし掛かった慎の首に手を回すと、そのまま抱き付いてきた。
ここで慎の理性は完全に切れた。
慎は、そのまま雪を襲った。
ドサッ、ズザザァー ドサッ
屋根から雪が落ちる音で、雪は目が覚めた。
「うーん。」
なんでこんなに、体中が痛いの、それに重い。
雪は寝返りしようとして、動けないことに気が付いた。
目を開けると、まぶしい光がベッドに差し込んでいた。
自分の状態を見ると、体の上に誰かの腕が回されている。
さらに横を見ると、なぜか慎の顔がそこにあった。
そこで雪は初めて、自分がまったく服を着ていないことに、気が付いた。
「なっ、なっ、なっ・・・・・・なんでぇー。」
雪の叫び声に、慎も目が覚めたようだ。
雪に回していた腕を外すと、慎も起き上がる。
「おはよう、雪。」
雪は真っ裸の慎を見て、傍に置いてあった枕を手に取ると、それを彼に投げつけた。
「なんて、恰好してるのよ。」
慎は慌てて、ベッドわきにあった、ガウンを羽織ると、雪にもそれを渡す。
慎は言葉もなく真っ赤になって、自分を見ている雪をまじまじと見ながら、昨日の出来事を話して聞かせた。
「うそ!!!」
雪は開口一番、そう叫んだ。
慎は信じたくないという、本人の気持ちも、わからなくはなかった。
でも、それより前に、雪に自分の本当の気持ちを、分かってもらいたい。
「雪、聞いてくれ。」
慎は雪のガウンを羽織った肩をガシッと掴むと、真剣に告白した。
「俺は、今回の件は謝らないから。」
「はっ?」
雪はあまりのことに、何を言われたか、わからなかった。
「何を言ってるの?」
慎はもう一度、言葉を重ねる。
「俺が雪を抱いたのは、迫られたこともあるけど、雪のことが好きだから。その好きな相手に迫られたからだからな。」
慎は雪の肩に手を置いたまま、真っ赤になって、固まった。
『くそっ、なんでこんな告白しかできないんだ、俺。』
「えっ、それ聞いていると、慎は私のことが好きなんだって、聞こえるけど。」
雪の問いかけに、慎は真っ赤になりながら、答えた。
「だから、そのままだよ。俺は雪が好きなんだ。愛してる。」
慎は、完全に固まった。
「本当に?」
慎はそのまま何も言えず、頷く。
「えっ、えっ、えええええええええええーーーー。」
雪はあまりのことに、固まった後、ハッと我に返ると、慎に抱き付いて、彼の耳元で囁いた。
「えっと、私も慎のことが好き。愛してる。」
「えっ、本当、まさか、まだ酔ってるわけじゃ?」
慎の呟きに、雪がムッとして、顔を近づけると、彼に口づける。
「愛してる、慎。」
慎は真っ赤になって、照れている雪を見て、抱き付くと、そのままベッドに押し倒した。
「ちょっ、ちょっ、何考えてるの慎、今は、あ・・・あさ・・・ムグッ・・・。」
昼過ぎ、食堂に行った雪は、自分と同じように、やつれ果てているアテナを見かけた。
二人は瞬時に、相手の状況を読み取ると、心の中で同じことを固く誓った。
『『もう、ぜったい。お酒のイッキ飲みは、やめよう!!!』』
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