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夢幻への再臨  作者: 柴光
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60 野盗〜ナラズモノ〜

転移者、20歳、女

前世の死因、病死

 




 女性のみで成り上がる事を誓った私達四人のパーティは最近Aランクに上がって知名度も増してきている。


「盗賊団?」


 そんな折、ギルドを訪れた私達のパーティに依頼が舞い込んできた。


「はい、隣村を占拠しているみたいなんです。人質も居るとかで…」

「人質ってどうせ女だけでしょうね」

「多分…逃げ延びた方がおっしゃるには立ち向かった男は皆…」

「そう…」


 男は皆殺しで女は性処理道具扱い、やはり男はゲスなクズばかり。


「それで貴女方なら油断を誘いつつ上手く立ち回れるかと思いましてお声を掛けてみたんですが」

「私は問題ないけど皆は?」

「私もよ」「リーダーが良いなら…良い」「私も同意見です」

「流石!皆頼りになるんだからぁ。って事で受けるよ、その依頼」

「有難うございます!今詳細を出しますね」


 詳細によると、村にも冒険者と自警団が居たんだけど盗賊連中は古代兵器を持ち出して歯が立たずに殺られたみたい…逃げ延びた人は古代兵器を初めて見るから形しか分かんないって言ってたけど、人型と馬車みたいなの数機だって。


「機械兵を所有してるのは確かだけど…馬車ってなんだろ」

「アレじゃないですか、鉄砲が付いてるやつ」


 召喚士が言っているのは戦車の事なんだろうね。


「戦車なのかなぁ」

「多分それです」

「戦車ってタンクの事よね?」


 そうだった、魔法使いが言うようにこっちじゃタンクって呼んでるんだった。


「そうそれ!」

「もしそうなら…どうやってやる?私達に…勝てる?」

「「ん〜…」」


 槍使いの質問に私達は考え込んでしまった。

 盗賊相手なら何人居ても負ける気はしないんだけど、古代兵器となれば話が変わってくる。

 意見を出し合い、召喚士である私達二人が古代兵器を相手にして二人が人間相手って事で纏った。


「よし、それで行こう」

「今日のうちに出発しちゃいます?村までは一日かかっちゃいますし」

「そうしようか、皆はそれで良い?」

「「はい」」「ん」


 準備を整えた私達は早速出発し、一夜を明かして早朝には村の様子が伺える高台へ来ていた。


「見張りが二人居るだけで残りは見当たらないわよ」

「機械も…見えない」

「どっかに隠してるんだと思うけど行くなら今だね、手はず通りに」

「先手必勝ですね」

「じゃあ私達が先に行くわね」「ん」

「お願いね」


 魔法使いと槍使いが見張りの二人に気付かれる前に遠距離魔法で片付けて村へ侵入し、一軒一軒探りを入れる。

 盗賊だけなら村ごと潰しちゃうんだけどな、数日で人質を皆殺しにするとは思えないから生きてる前提で慎重に行動しないと。


「あ、気付かれましたね」

「予定より早かったけど、じゃあ援護に行こうか」

「はい」


 二人が何軒か回った所で外に出てきた連中に気付かれ戦闘が行われ、音を聞きつけワラワラと集まってくる。

 あの二人ならこの程度で遅れを取るなんてないだろうけど何があるか分かんないから一応はって事で援護に向かった。

 盗賊に囲まれながらも一切動じず魔法と槍をぶん回す二人、そこへ召喚士が人型の『ブルーパラディン』と『レッドアークナイト』を召喚して四人で蹴散らし始める。

 私はまだ見てるだけなんだけど数が減り始めた頃、空に花火が上がった。


「救援弾!?」

「そのようですね。リーダーの出番も近いですね」

「うん、任せて」


 外部に救援を知らせる旗印、アイツ等が誰を呼んだのかは検討がつく。

 村での戦闘が終わりに近付くと、外からキュルキュルと履帯の音が迫ってくるのに気付いた。


「来ましたね」

「うん。やっと私の出番」


 私は召喚口上を唱えて顕現させた戦象『ガジャーアリシア』のメリッサを戦車へ向かわせた。

 戦車は二両、だけど私の敵じゃない。

 実弾の砲撃を開始した戦車に直撃しても怯まず突っ込んで行くガジャーアリシアは、そのまま一両を長い牙で押し上げてひっくり返し、もう一両は振り上げた前脚で踏み潰して撃破した。


「呆気なく終わっちゃった」

「それで良いんですよ」

「こっちも…終わった」

「人質も三人見つけたわ、他も見て回って早く街に連れてってあげましょ」

「そうしよ」


 盗賊は皆息絶え戦闘が終わり、私達は残りの家の確認していると、此方に向かって来ている大きい足音が耳に届いた。


「やっぱいたんだね、機械兵」


 村外れから姿を現した機械兵は各国が所有している機械兵より薄汚く古そうに見える。


「皆は一旦後退して」

「私もお供します」

「あんなの無理だからお願いするわ」「ん」

「二人は十分仕事したしね、下がってて」


 私はメリッサを前に、召喚士は聖騎士達を還して新たに木の巨人『エント』を召喚し機械兵を待ち構えていると。


『よぉやってくれたな姐ちゃん達、全滅させただけじゃ飽き足らずタンクまでぶっ壊してくれちゃって』


 機械兵のパイロットが拡声器で喋りかけてきた。


「やってくれたなんてどの口が言ってんのさ」

『俺達だって生きる為に仕方なくやってんのによぉ』

「仕方なくって…」

「ねぇ、あの言葉が分かるんですか?」

「え?あぁ~隣国語でしょ?」

「東大陸語だと思いますが」


 そうだった、私は授かった知恵でどんな言語も変換出来るんだった…忘れた。


「まぁ…アイツが言うには生きる為に村を襲ってるんだって」

「そんな非道な事が許される訳ありません」

「だよね、私も同意見!」

『何をゴチャゴチャと、そろそろ仇を取らせて貰うぞ』

「こっちこそ!お願いメリッサ」


 見た感じ機械兵の武装は両手にライフルと片肩に背負った砲、ライフルでメリッサを撃ち抜けるとは思えないし気を付けるのは背中の砲塔だけ、エントも見た目以上に硬いからライフルじゃ致命打にはならない。


「二人共、背中の砲塔には気を付けてね!」


 頷くメリッサにライフルが放たれ、戦車の砲弾みたく弾き返してみせると思っていたのに。

 メリッサは断末魔を上げて倒れ込む…幾つもの弾による大きな穴が原因で…粒子になって消えてしまうのを眺めるしかなかった…


「そんな…さっきはへっちゃらだったのに…」

「リーダー!しっかりして下さい!」


 そうだ、早く次を喚ばなきゃと戦況を把握しようと視線を向けると、エントの木の根によるバインド攻撃を避けながらライフルを撃つ機械兵、それを土壁で防ぐエントの攻防が繰り広げられていた。


『弾だってタダじゃねぇんだ、そろそろ殺られやがれよ』


 回避行動を止めて背負った砲塔を向けて一発のビームが放たれた。

 エントは根と土壁が混ざった防壁を形成したけどビームは防壁を溶解させ止まる事なくエントのお腹を貫いて勝負がついた…私達の敗けが確定した瞬間。


「何諦めてんのかしら」

「まだ…終わってない」

「貴女達!?下がってなさいと言ったはずです」

「仲間のピンチをほっとける程薄情じゃないのよ」


 そうだ、まだ出来る事がある…何より私はコイツを許せないんだ。


「お願い、時間を稼いで」

「そのつもりよ」「ん」

「もう!防御は任せて下さい」


 頼もしい仲間達だよ、ほんと。

 召喚口上を唱えている間、魔法使いと槍使いは機械兵の死角へ入り攻撃を繰り出し、召喚士は防御魔法で二人の援護に徹した。

 1、2発で防御魔法は破かれるけど、二人の俊敏さじゃ僅かな時間でも十分みたい。


「今解き放て!降臨せよ『サンダーバード』!」


 広がった雷雲から雷鳥が姿を現し、機械兵に落雷の一撃を与え、応戦していた二人は私達の方に後退して選手交代。


「ありがとう、間に合って良かった」

「仲間を信じてれば良いのよ」

「そう…その通り」

「うん!もう一度私に任せて」

「頼みましたよ」


 痺れているのか、膝を付いて動けない機械兵にもう一度落雷を食らわせて、バァン…


「え?」


 何処からか聞こえた発砲音と首がもがれて落ちてくるサンダーバードに、何が起こったのか理解が追いつかない脳。


『遅いぞ!』

『スマン、起動に時間がかかった』


 私…私達はきっと酷い顔をしてるんだろうな…まさか機械兵がもう一機あったなんて誰が予想出来ただろうか…


『形勢逆転ってやつだ』

『さっさと終わらせるぞ』


 私達に長い銃身のライフルを向けられ、召喚士と魔法使いは防壁を張ったけど、その威力の前に意味はなさなかった。


「皆…ごめ、ん」


 下半身を失った私の絞り出した最後の台詞。





『ブルーパラディン』

召喚獣

体力A 攻撃力B 速力C

 全長2.5メーター、青に金のラインが入った鎧を纏った聖騎士。

 大型の盾を持ち、並大抵の攻撃ではビクともしない。


『レッドアークナイト』

召喚獣

体力C 攻撃力A 速力B

 全長2.5メーター、赤に銀のラインが入った鎧と大剣を持つ上級騎士。

 攻撃力だけなら竜種と渡り合えるが、防御力に難がある。


『ガジャーアリシア』

召喚獣

体力A 攻撃力B+ 速力B

 全高八メーター、鼻と同等の長さを有する牙を持つ戦象。

 魔法は使えないが、竜の鱗並に硬い表皮と鉄をも粉砕する破壊力を持ち合わす。


『エント』

召喚獣

体力A 攻撃力B 速力D

 全長10メーター、木型の精霊で木の根を使った攻撃と土魔法を得意とする。

 魔法攻撃を弱点とするが物理攻撃にはめっぽう強い。


『サンダーバード』

召喚獣

体力B 攻撃力S 速力B

 全長12メーター、常に雷を纏って光り輝く雷鳥。

 風(雷)魔法は絶大な威力を有し、神鳥ガルダの露払い役として度々神話に名を連ねる程の強者であった。


『t-100u/n ノーヴィ』

 太陽光エネルギーで可動する古代兵器の中では超旧式にあたる戦車。

 自動化により砲手も装填手も必要とせず搭乗員数は二名となる。

 主砲に125mm滑腔砲に対歩兵機銃が装備され、装甲にはリアクティブアーマーが採用されている。

 この二両のノーヴィで使用されている弾頭は陣地破砕を主に置く為、貫通性能が低い。


『殲零式 ケイテン』

 ドラゴンの脅威に抗うべくして開発され東大陸が初めて正式採用した機械兵。

 全長8.5メーター、動力源は太陽光エネルギーで、太陽が出ている限り理論上は無限に動き続けられるが、夜間戦闘においては蓄えられるエネルギーの関係上時間制限がある。

 飛行能力はなく、回避運動用スラスターが取り付けられているものの、後世で使用されている圧縮電導推進器とは違い推進剤を用いる仕様の為、こちらは有限となる。

 武装は腕部一体型アサルトライフル×2、背部エネルギー砲となり、支援機として破壊力重視のロングレンジ滑腔砲と反動固定マニュピレーターを持つ機体も存在する。


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