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夢幻への再臨  作者: 柴光
46/66

43 侵食〜フォルギネ〜

転移者、23歳、男

前世の死因、他殺

 




 討伐依頼を受けたCランクのパーティが三日経っても戻って来ていないと、捜索を頼まれた俺達三人のパーティは山間にある森へ向かっていた。

 討伐対象は小さな集落を築いたノッカーの群れであり、Cランクなら余裕なはずだったんだが。


「道草食ってるだけなら良いんだけどな」


 と、口に出すと、透かさず剣士の男が。


「そんだったらぶん殴ってやるわ」

「まずあり得ないがな。ここまで半日の距離、依頼達成して日が暮れて野営したとしても翌日には帰ってくるはずだ」

「まぁ…確かにそうだけどよ、だったらなんで戻って来ねぇんだ?ノッカー如きに遅れを取るならCになれねぇだろ」

「イレギュラーが発生したと考えた方が良さそうですね。ノッカーの上位種、或いは数が想定外だったか…ではなかったら道に迷ったかのどれかだと思います」


 召喚士の女リーダーが言うように、それしか考えられない。


「上位種が存在していたらCランクじゃ厳しいかもしれないな」

「ふん、だとしてもノッカーだ。そんなんにやられてたら世話ねぇぜ」

「まぁまぁ、可能性の話の一つですから」

「そうだぞ、今は無事かどうかの確認を急がないとな」

「分かってるって」


 口ではこう言ってる剣士だけど、内心は心配してるんだろうなと表情から見て取れる。


「心配しなくても彼等は無事だろ」

「心配なんかしてねぇし」

「ふふふっ」

「リーダー!何笑ってやがんだよ」

「何でもないですよ。ほら、もう警戒エリアですよ」

「ったくよ。二人してなんなんだよ」


 そうこうしているうちに森へ足を踏み入れた俺達、入って間もなくの所に色とりどりの花が咲き乱れる花畑があった。


「良い香りですね」


 鼻に抜ける甘い香りが癒しを運んでくる。

若干一名は雰囲気を台無しにするデカいくしゃみを連発していたが。


「鼻が…ハ、ハックションッ!!ズズッ…早く行こうぜ…ぶえっくょんっ!!」

「あぁ、その方が良さそうだな」

「もう少し居たかったんですが、残念です」

「ヴァッ…勘弁してくれ」


 花畑を抜け、暫く進んだ先には蔦が絡まりあって人型であることしか判別出来ない像が幾つも並んでおり、気にはなったが大昔に造られて忘れ去られたモノだろって事で像を横目に進んでいく。


「ようやく落ち着いたぜ…お、あれ見ろよ」


 剣士が指差す方向にノッカー達の死骸が転がっていた。

 近付いて付近を見渡すも、冒険者達の死体はなく、どうやら依頼自体は成功しているようだ。なら何処に行ったんだ。

 奥から戻ってきた剣士と目が合うと、首を横に振りだした。


「何もなかったか」

「あぁ、コイツ等の死体が転がってるのはココだけだし、あっちにはなんもなかったぜ」

「どうするリーダー。もっと奥へ行ってみるか?」

「いえ、戻りましょう。彼等は討伐の証をキチンと回収していますし、何処かですれ違ったやもしれません」

「俺も賛成だ。向こうに獣道もなかったし、わざわざ藪を突っ切るとも思えないしな」

「そうか、じゃあ戻って外を捜索してみるか」


 二人は頷いて棲み家を後にし引き返すこととなった。


「またあそこ通るのかよ…嫌だな」

「くしゃみ凄かったですもんね」

「でも道はそこしかないぞ」

「く…焼き払っちまおうぜ」

「「それはダメ!」です」

「じょ、冗談に決まってんじゃん」


 コイツなら本気でやりそうだがな。

 再び像が並ぶ場所へ戻ってくると、どんな像か気になると言い、剣士が蔦を斬り裂いた。


 ぶしゃっ…ピチャン…


「は?なんだよこれ」


 勢い余って像まで刃が到達したようだが…赤黒いまるで血のような液体が噴き出した。

 剣先を伝って垂れる液体をまじまじと見ていた剣士はリーダーに顔を向けると同時に叫んだ。


「おい!お前それ…」


 俺も振り向いて驚いてしまった。


「リーダー、アンタの顔…顔から芽が出てるぞ」

「大丈夫なのか!?」

「何がですか?今とても気持ちが良いんです。気持ちが…あぁ~」


 リーダーの顔や腕、いや全身から生えた芽が急成長し始め、あっという間に蔦に覆われてリーダーは動かなくなってしまい、慌てた俺達は必死で蔦を毟った…引っこ抜いた蔦の先に眼球が一緒に付いてきて手を離して後退りしてしまう。


「あぁ…そんな…何が起きたんだ…」

「クソ!足が根っこで固定されてやがる」


 剣士は懸命にリーダーを持ち上げようとしていた…それを見ている俺…何故か気持ちよくなってくる。


「ダメだ…置いていくしかねぇのか……おい、一旦離れるぞ!」


 振り向く剣士、何を言っているのか理解が出来ない…ただただ、心地良い…


「お前まで…」


 全身から植物が噴き出すこの感覚、射精と一緒…それ以上だ…もう何も考えられない。


「あれも像じゃなくて…人間の成れの果てだったのか…いつ、何処で寄生されたんだ!? クソがぁっ!!」

 …

 …

「ダメだ…俺も…か…」





『フォルギネ』

討伐レベルD

体力D 攻撃力D 速力E

 蔦に咲く白い花が特徴で、甘い香りの花粉と極小の種子をばら撒き、人間の表皮や胎内で発芽させる繁殖方法を取る植物型の魔物で、発芽前は快楽に堕ちるという。

 討伐レベル自体は低いが、本体の植物はその辺の草花と変わらない故に見つけにくい。

 繁殖期は十年に一度、花を咲かすまでに六年以上かかるのが救い。













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― 新着の感想 ―
人に寄生するっていうのは体が人ならいいんでしょうか もしロメロにつくならロメロ肉の鉢で栽培して、自家受粉できないように品種改良できればきれいな花として販売できるかも…? 研究室から花つきロメロが逃げ…
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