30 勝者〜ゼルザールドラゴン2〜
転移者、17歳、女
前世の死因、事故死
転移者、20歳、男
前世の死因、他殺
「アンタの召喚獣めっちゃ速いじゃん!お陰で今日中に終わりそうだよ」
「…ああ」
「そう言えばこの子の名前何ていうの?」
「…グルファクシ」
「それは種族の名前でしょーよ」
「…少しは静かにしてくれ」
「アンタは黙ってなきゃ死んじゃう訳!?」
「…お前は喋ってなきゃ死ぬのか?」
「何なのコイツ…腹立つ」
私達はこの無愛想な男の背中に捕まり、馬型の召喚獣でゼルザールドラゴン討伐へ向かっている。
リーダーの命令じゃなきゃこんなヤツとは絶対組みたくないんだけど、討伐の暁にはかなりの額が用意されてるって言うし、ココは一つ我慢してっと。
「おい、声が漏れてるぞ」
ヤベ、口に出してたみたい…ま、良いけど。
正直あのドラゴンは私一人じゃ手に余るし、コイツは前にゴドウィンベルクドラゴンも殺してるし、力だけはあるみたいだからこき使ってやろう。
「ここ、先日戦闘があった場所?」
「…そうだろうな」
山があったと思われる場所はクレーターまみれになり地形が変わっていて戦闘の激しさが見て取れた。
もう間もなくでゼルザールドラゴンと対面するだろうと直感が働く。
「見えた!アレでしょ!?」
「ああ、分かっている」
こんなにも早く追いつくなんて流石グルファクシ、イケメンなお馬さん。
「先手を打つよ、ちょっと肩貸して」
マガジン式の大口径ハンドガンを構えてゼルザールドラゴンのお尻目掛けて引き金を引いた。
「おい…耳が…」
「ごめんねぇ、安定させるにはこれしかなくて。まだまだ行くから、食らいな『蛍丸』」
魔力を込めてフルオートで撃ち出し、更にお尻を追い詰める…けど効いてないみたい。
「…お前は此処にいろ」
「え?あ、ちょ」
突き飛ばされて落馬する私…超痛い、あのバカ覚えてろよ。
「駆け抜けろグルファクシ」
正面に回ったあのバカは、契約している十二神の武器『テオス・オブ・オリュンポス』を召喚して竜に突き立てていき、数本の武器からは雷や炎が内部へ撃ち出されている。
「ガァァッ!我が鱗を破るか、小童」
「…脆い」
「小癪!」
放たれたブレスにグルファクシは反応して避けてみせ、アイツは開いた口目掛けて数本の武器を突き刺してブレス攻撃を止めた。
痛がる竜に追い打ちを掛け、何度も何度も頭部を斬り裂く。
「こ、小童が…頭に乗るなよ『ヴォルケイノレイジ』」
迫りくる灼熱のマグマに対し、飛び交う武器を前面に集めて炎魔法を防いでみせた。
「あんなに強かったの?」
「ク、我の炎を…ならば」
空を見上げ、魔法で隕石を降らせ始めるゼルザールドラゴン。
「フハハハッ!防ぎきれるか小童」
「…」
「上は任せてアンタはソイツを殺しなさい」
「小娘に何が出来る」
「アンタの魔法より私の相棒(銃)の方が強い事を証明してあげる『岩融』!」
私は銃を空に向け、魔力が注入された弾丸を落ちてくる隕石に放っていく。
一発一発に多量の魔力を込めるのでそれ程速くは連射出来ないけど…他の誰よりも速く正確に撃ち抜ける自信はある。
「ラストーッ!」
隕石群は空で全て弾け飛び、小石が降ってくる程度で済んだ…当たると痛いどころじゃ済まないから離れたけど。
「バカな…貴様等は本当に人間なのか…」
「そのつもりだ『アレスオブコンチェルト』」
武器が合わさり長い長い長剣に変化したオリュンポスを握り、首下に入り込んだアイツは振り上げて頭と胴体を斬り離してみせる大技を披露してくれた。
「こ、これで…終わったと思うな…」
ゼルザールドラゴンは最後に魔法を放とうと地響きを呼んだけど、気が付いた私は奥の手である最大火力の魔力徹甲弾『へし切長谷部』を頭に食らわし脳天を貫いてやった。
「油断すんなし、バーカ」
「…助かった」
「アンタ…お礼言えたんだ」
「お前よりはマトモなつもりだ」
「ほんっとムカつく!」
ま、何はともあれ片付いたし、さっさと帰って報酬もらいましょうか。殆ど運営資金に持っていかれそうだけど…
「早く乗れ、歩いて帰らせるぞ」
もうこの男と二度と仕事なんかするもんか。
「歩いて帰れ」
「な、なんで??」
「声が漏れてんだよ」
「ウソウソ!そんな事思ってないからー!」
『グルファクシ』
召喚獣
体力S 攻撃力S 速力SS
全高三メーター、金のたてがみをもつ馬型の召喚獣。
疲れを知らない無尽蔵の体力に、並のドラゴンでは太刀打ち出来ない力を有する。
『テオス・オブ・オリュンポス』
武器召喚
十二神の武器を借りる事が出来、命を捧げると神そのものを召喚可能とする。
武器の種類は、雷の杖ケラウノス、槍盾一体アイギス、白銀の弓クリュセラ、攻盾アキレウス、戦槍アグリウノス、火の杖アマルテイア、戦鎚キュクロプス、聖防杖カドゥケウス、三叉槍トライデント、炉の剣オイコス、樹槍テュルソス、二叉槍バイデントとなる。




