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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§2.異世界出張
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飴玉一つ

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


サイモンに言われた、離さないでください、という言葉で、フラッシュバックした。


「離さないって言ったじゃん!」


泣きながら攻められた。ケンカの果てに、結局は、こっちがフラれたわけだが。しかし、何も言い返せなかった。エモーショナルというか、ノスタルジーというか。思い出の中に意識がぼんやりしているうちに、森の出口近くまで来ていた。


「ん。」


薄々感づいてはいたが、森から離れようとするのがわかる地点から、森の方へ()()()()が引っ張られている感覚があった。出口にきて、それはより顕著な力となった。しかし、


「えい!」


雑草を引っこ抜くくらいの力加減で、その根を絶った。一瞬、()()()()が、何と表現したものか、近い表現だと、波立った。そこから、森を離れるにつれて、()()()()が弱っていくのがわかった。枯れていくというか、色もどんどん青みが消えて、もともとぼんやりしていた輪郭が、さらに暈しが入っていく。手から伝わる感触も弱弱しい。


灰色には、なかった感触だ。


橋を渡るころには、すっかり面影が無くなって、小さな()()のようになってしまっていた。


「せっかく持って帰ってきたのに。」


「森には、戻りませんよ。」


きっぱりと先手を打たれた。


「もうこいつ、離すぞ。」


一応、確認を取った。


「ダメです。」


川島は、飴を最後までなめられない。飴をなめると、小さくなる。飴をなめると、どんどん小さくなって、やがてなくなる。しかし、なくなってしまうくらいとても小さくなった飴を、そのままなくなってしまうまで、川島は待てない。噛み潰して、のみ込んでしまう。


だから、小さな()()を合掌で圧し潰した。そうすると、消え失せてしまった。


「これならいいだろう?」


川島は、飴がまだ原形をとどめている段階でも、噛み潰すことがある。()()()()でも、それが可能なのか、試したくなったが、ハリスを見ても、サイモンを見ても、とても森に戻ってくれそうにない。ひとりで行こうとしたら、たちまち羽交い絞めにされて、町に連行されるのだろう。


川島は、ため息をついて、


「何をしに行ったのか、これじゃわからんな。」


「私たちは、お伴するよう、言われただけですから。」


「あの男の通行手形を探しに行ったんじゃなかったっけ。まだ見つかってないよな。」


「幽鬼を見に行きたいだけでしたよね。あの者の通行手形は、あの者の責任です。我々が探す必要はありません。」


誤魔化せない。


川島をひとりで森へ戻らせないように、サイモンは、隙を見せない。


「早く町の中に入りましょうよ。」


ハリスが急かす。


「わかったよ。」


結局、川島は手ぶらで町の中に入った。

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