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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§6.施工事例その4 山の上の洋館
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ご安全に!

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


GLÜCK AUF(グリュックアウフ)!」


ドイツの炭鉱夫たちの合言葉だ。


「ご無事に!」


お互い無事にまた会おう、だとか。


「幸運を!」


運が良ければまた会おう、だとか。


英語でいうところのグッドラック。


炭鉱に潜む危険は、落盤だけではないそうで、少しのミス、少しのアクシデントが、死に直結するという。炭鉱夫は、死と隣り合わせの仕事。かっこよく言えば、命知らず。それだけに炭鉱夫は、高給取りが多かったらしい。


似た話で、安全な環境を整えている現代の日本においても、トンネル堀りは、高給取りだと聞いた。


「あいつらは、命を顧みずに手に入れた大金を、明日をも知れぬ命だからと散在してしまうんだよ。」


高給に飛びついてトンネル堀りになる奴は、大体が、せっかく稼いだ銭をすぐに使い果たしてしまうのだ、と教えてもらった。


「ご無事に。」


親善によりドイツに派遣された日本の炭鉱夫が、ドイツの炭鉱夫と共に労働に従事し、その言葉を覚え、交わし合い、日本に持ち帰った。


そして、日本中に広めた。


ご存じ、


「ご安全に!」


である。


変異してはいないか?


直訳ではないし、もともとの意味合いとは少し、ニュアンスが違うように思う。


「GLÜCK AUF!」


幸運を祈る、だとか、成功を祈る、という意味合いだろうか。言語学者ではないから、自信はない。


言葉から感じるのは、運任せ、天任せ。どこか豪放な感じだ。命があればまた会おう、というような。


だが「ご安全に!」は、少し違う。意思を感じる。より存命への強い意志を感じる。


人事を尽くし、天命を待つ。


という諺の前半が「ご安全に!」で、後半が「GLÜCK AUF!」にあたるのではないだろうか、というのは、個人の感想である。


「よくそこまで話を広げられますね。」


「訊くから教えてやっているんじゃないか。」


「それはありがとうございますですけれども。」


時折、口癖のように、いや口癖か、結びの言葉によく使う、


「ご安全に。」


という言葉をまた使ったので、ふと、


「それって何なんですか?」


と訊いただけなのだが、ここまで話が膨らむとは、恐れ入った。


「で、広めたのは、今では日本最大手の鉄鉱メーカーで、源流は世界最古の財閥の…、」


()()()()()()()()。」


NOの()()()()だ。


「もう()()()()。話を戻しましょう。」


「なんだよ。ここからが面白いのに…、」


「本題に戻りましょう。」


「わかったわかった。」


どうにも、横道脇道、道草を食べる癖は、直らないらしい。


()を戻そう。」

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