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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§1.工法成立
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部長の遅刻

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


川島たちは、待ち合わせの時間より早く現場にやってきた。


新見が、手慣れた様子で出入口のバリケードを解いて、敷地内に駐車した。こいつ、また、斜めに停めやがった。区画のラインがないから、自由に停めていいとはいえ、後から何台かくるのだから、それなりに通りよく、並びよく停められないものか、とため息を吐く。バリケードも乱雑にどかせてあるから、少し直した。


再開前の顔合わせ、そして引継ぎと下見を兼ねた打合せの日は、曇天だった。


サークルエンドのロゴが目立つバンと、少し高級なSUVがやってきた。絵島に、久しぶり、と手を挙げて、あれ?前はセダンじゃなかった?と車を降りてくる重藤に声を掛けた。


いつもの仏頂面で、鼻息を「ふん!」とひとつ。ゴルフバックがいっぱい載せられるからな、と自慢げに言った。


時間まで、まだ10分弱ある。本社の人間はまだ来ていない。重藤は、遅い遅い、遅刻だ遅刻だ、と鼻息を荒くしていた。新見が絵島や重藤と雑談を交わしている間、敷地内を少し見て回った。つい最近まで改修をしていた社宅とほぼ同じ作りだ。


裏へ回ると、派手に壊れているベランダが目に入った。これがそうか、と近寄って、しゃがみこみ、よく見た。


「結構、派手にやっているだろう。」


後ろから新見が、まるで他人事のように言った。小椋の奴、レバーの切換を忘れて慌てやがって、と悪態をつきながら重藤も現れた。絵島はその後ろに無言で立っていた。


例えば、年寄りが車のブレーキとアクセルを踏み間違えて、コンビニなんかに突っ込む、そういうような事故だったと聞いている。重機、バックホーは、レバー操作がメーカーごとに違う。大昔のバックホーはどうしようもないが、最近のバックホーには、レバー操作の切換ができる装置がついている。その切換を忘れて、レバーを握り、操作しようとしたら逆に動き出し、慌てて操作してしまい、重機が暴れた。にわかには信じ難いが、結果を目の前にすると、起こってしまったのだろうと認めるしかない。


「あの小椋さんがね。」


もういい歳だったんだから、重機を降りて、ダンプでも転がしてればよかったんだ、と怒ったように重藤は言うが、彼はこういう風に言ってしまう性質で、本当は小椋のことを心配している。ここにいる誰もが(いや新見を含めていいかはわからないが)、重藤の性根を知っているので、笑って聞いている。


立ち上がって、裏庭を見回すと、隅で何かが突き刺さっている。近づいてみると、径の細い塩ビ管だ。まだ新しい。値札が貼られたままだ。


「なんだこれ?」


触っていると、新見がやってきて、


「息抜きだよ。そこに井戸があったんだ。インドネシア人が見つけたらしい。小椋さんが言っていた。」


井戸?振り返って見上げると、屋上にはちゃんと受水槽が見える。井戸水に頼ることなんてあったのか。塩ビ管を突いて揺らす。


「ゴミやら何やらで埋められていたらしい。それを小椋さんがかき出して、塩ビ管を差して、塩撒いて、新しい土を買ってきて埋めたんだ。お金は出ないと言ったのに。」


きちんとやったのか、と川島は笑った。しかし、ゴミみたいなもので井戸を埋めるとは、ここの社宅のかつての住民たちも、むちゃくちゃだ。


「おい。本当に遅刻だぞ!」


腕時計を指で叩きながら、重藤が言った。本当だ、遅刻だ。時計を見て、電話を掛けようとしたら、向こうから掛かってきた。部長からだ。


「すまん。玉突きに巻き込まれた。車もレッカーで運ばれる。行けそうにない。打合せは、やっておいてくれ。」

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