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ファンタジーな世界に転生したのに魔法が使えません  作者: 花が咲く
第5章<恋敵オリヴィア様>
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6、太腿

 私と第2王子との浮気話が噂され始めてからの学校生活は散々だった。


何人かで共謀して道を(ふさ)ぎ、私を通れなくしたり、先生からの呼び出しされたと言われて行くと、それが嘘だったり。

でも、そんなことは私とっては大したことじゃなかった。

やっぱり、セイフィード様と会えないことが、なにより辛い。


ただ、シャーロットは、純粋に私を心配していた。

だから、シャーロットだけは日を追うごとに、噂に対してのイジメに腹を立て始め、家に帰る度に、もう(おとり)なんてやめてしまいましょうと、私に打診した。


私だって、辞めれるものなら、もう辞めてしまいたい。

私は、自分の気持ち優先で、今後、奴隷にされる人の気持ちに(おもんばか)られなかった。

情けないとは思うけど⋯⋯、そこまで私はいい人になれない。

ただ、もう作戦は動き始めちゃってるし、今私が辞めたら、みんなに迷惑が掛かると思うとどうしても、囮を断れない。

私は⋯⋯⋯、ずっとみんなに迷惑かけっぱなしだったから、もうこれ以上迷惑だけはかけたくなかった。


 チャリティーイベントから10日程経った時、私の腕輪の魔力は無くなってしまった。

学校にも行けないので、私は魔法陣を一心不乱に書きまくる。

セイフィード様から頂いたノートに、前回燃やされた分も、思い出しながらいっぱい書いた。

魔法陣を書いている時は、余計なことを考えなくて済むし、やっぱり私は魔法陣が大好きでだから楽しくてしょうがなかった。


また、間も無くして、第二王子から舞踏会の招待状が届く。

どうやら、今回の開催場所はお城からちょっと離れた場所にある離宮だ。

その離宮の湖には、数多くの水の妖精がいるらしいので、私はちょっとだけ、今回の舞踏会が楽しみになった。


 しかし、私の安全を守る策が、私に示されないまま、10日程過ぎ、舞踏会前日になってしまった。

はぁ⋯⋯⋯、明日早く起きなきゃいけないのに、なかなか寝つけない。

私⋯⋯、明日、大丈夫だろうか。

セイフィード様がいるから、きっと大丈夫だと信じてるけど⋯⋯⋯、やっぱり怖い。

私はあまりに寝れないので、以前景品で頂いた精霊が眠るという杖に、心を落ち着かせようと話しかけた。


「はぁ、精霊さん、私、やっぱり怖いよ。囮なんて引き受けなきゃよかった」


「……あー、もう。セイフィード様に、会いたい、会いたいよ!精霊さん、会わしてよ、お願いします」


「あーぁ、これは精霊さんに言ってもしょうがないことだけど、私、もっとセイフィード様と、イチャイチャしたい。いっぱいしたい。せっかく婚約者になれたのにーーー」


「セイフィード様の、バカ、バカ、バカー。演技でも、そこまで私を拒絶することないのにーー。精霊さんも、そう思うでしょう」




「なんで、俺がバカなんだ⋯⋯」


………。

⋯⋯⋯。

⋯⋯⋯っえ!?

今、セイフィード様の声がした気がする⋯⋯。

恐る恐る、声がした方向をみると、暗闇の中、腕を組んだセイフィード様が立っている。


「なっ、なんで?」


私はガバッと上半身を起こし、セイフィード様に思わずタメ語で話しかけてしまう。


「しーっ。アンナ、あまり、声を立てるな。転移魔法で来た」


セイフィード様は人差し指を口元に当てながら、違う手で私の口元を押さえた。


「私の部屋に転移魔法できるなら、もっと早く来て欲しかったです⋯⋯」


私は小声で本音をポロリと口走る。


「色々、準備に戸惑って、なかなか来れなかった」


「⋯⋯あ、あの、いつ頃から、私の部屋にいたんですか?」


「⋯⋯明日、怖いか?」


「⋯⋯⋯少しだけ、怖いです」


「じゃあ、今から2人で逃げるか?」


「えっ⋯⋯」


「そうすれば、怖い目に会わなくて済むぞ」


「⋯⋯⋯そんなこと、できないって分かってます」


逃げるなんて、できないよ。

やっぱり。

もし、私達が逃げたら⋯⋯⋯、シャーロットとかどうなっちゃうんだろう。

セイフィード様のお父様や、ゾフィー兄様、色んな人に迷惑を掛けることは確実だ。

でも、そんなことを言ってくれるセイフィード様、もう、ほんと大好き。


「そんなことはない⋯⋯⋯、アンナが望めば叶うさ」


「⋯⋯⋯⋯⋯セイフィード様がいるから、セイフィード様が守ってくれるから大丈夫です」


「そうか⋯⋯⋯、わかった。じゃあ今から念のためアンナに魔法をかける。その魔法の印が体に残るから見えないところがいいんだが、どこがいい?」


「えっ、ええっと⋯⋯⋯⋯お腹とか、あ、やっぱり足とか、でしょうか?」


お腹なんて絶対にセイフィード様に見せられない。

足も見せられないけど、お腹よりはましだ。


「わかった」


セイフィード様がそう言うと、私の鎖骨あたりを指で突っつき、私を寝転ばした。

そして躊躇(ちゅうちょ)なく、セイフィードは私の寝間着の(すそ)をたくし上げ、私の太ももを(あら)わにさせた。


えっ、ええーーーーーー。

ちょっ、ちょっと、セイフィード様、恥ずかしいんですけど。

いくら暗闇だからって、これは⋯⋯⋯む、無理。

私は急いで(まく)れた裾を直そうと、手を伸ばしたら、セイフィード様に手を押さえつけられてしまった。

そしてセイフィード様の少し冷たい手が私の太ももに触れたと同時に、セイフィード様は呪文を唱える。


『アカープ・ラム・エルサニゥーム・我の魂・我の息吹・その身に(まと)え』


すると、私の太ももは、ほのかに熱くなり⋯⋯⋯、いやかなり熱く⋯⋯⋯!!!

ぐっうううう、熱過ぎっ。

いっ、痛ーーーーっい。


「んんっ」


私はあまりに熱かったので、くぐもった声を上げてしまった。


「痛かったか⋯⋯すまない。だが、魔法は成功した」


私は起き上がり、太ももを見てみると、虫に食われたような赤い湿疹が出来ていた。

それを確認したらすぐに私は寝間着の裾を直す。

⋯⋯⋯なんか、太ももだけじゃなく、顔も非常に熱い気がする。


「⋯⋯⋯びっくりするぐらい痛かったです。それで、これはどんな魔法なんですか?」


「それは、内緒だ」


「⋯⋯⋯教えてくれないんですね」


「で、アンナは、イチャイチャしたいんだっけ?」


セイフィード様は唐突に話をはぐらかした。


「あ、それは⋯⋯⋯、その⋯⋯⋯」


「したくないのか?」


「⋯⋯⋯したいです」


「この件が、片付いたら、アンナの希望を叶えてやるよ」


セイフィード様は薄っすらと笑みを浮かべた。

それから、私は、セイフィード様に頼んでちょっと灯りをつけてもらい、私の魔法陣ノートを見せる。

セイフィード様は、褒めてくれ、これも今度、実現出来そうな魔法陣に魔法を施してくれることになった。


またセイフィード様が去るとき、私がすぐに眠れるようにとまた、光の粒を天井にばら撒いてくれた。

そのおかげで、私はその光の粒を眺めながらすぐに眠りにつくことができた。


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