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ファンタジーな世界に転生したのに魔法が使えません  作者: 花が咲く
第3章<魔法陣コンテスト>
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2、結果

 

 魔法陣コンテストの応募締め切りから1ヶ月後の今日、学校のメイン広場で結果発表が行われる。

応募者は全員で27名。

その中から、優勝1名、特別賞1名、努力賞1名が選ばれる。

優勝すればトロフィーと鉱石が貰える。

私はシャーロットとともに、今か今かと結果発表を待っている。


 私は神様に祈りながら待つ。

ウー様お願い、私を優勝させて。

もし優勝させてくれたら、いっぱい供物捧げるから!

と一生懸命お願いしながら私は待った。


 その時はきた。

校長先生が壇上に上がる。

結果が書かれた用紙を手に持ち、眼鏡を掛け、広場に集まった生徒を見渡す。


「コホンっ。今回のコンテスト優勝者は⋯⋯、残念ながらいません」


 ガーーーーン。

私の頭の中に鐘がついたように、

ガーンガーーンガーーーンと鳴り響いた。


「駄目だった⋯⋯。シャーロット、駄目だったよ」


「でも、まだ他の賞がありますわよ。最後まで聞いてみないことにはわかりませんわ」


シャーロットは(なぐさ)めてくれたけど、私は優勝しか眼中になかった。


「次に特別賞ですが、アンナ・フェ・シーラス。おめでとう。さぁ、壇上に上がって」


 満面の笑みをした校長が、私を手招きした。

シャーロットも大喜びして拍手している。

でも特別賞じゃ、駄目なんだ。

特別賞じゃ、セイフィード様にクーラーを実現してもらえない。

私は悲しみを抑えて壇上に上がる。


「最後に、努力賞はルシウス・ド・ヴェルジーナ。おめでとう。さぁ、壇上に」


 げげ、私の嫌いなルシウスだ。

ルシウスは私を(にら)み、苛立ちながら壇上に上がった。

ルシウスも相当、私のことが嫌いなようだ。


 今までルシウスと2回もトラブルを起こしている。

なので、もうルシウスとトラブルはごめんだ。

一刻も早く、ルシウスの側から離れたい。


 そんな険悪な2人なので、壇上はなんとも重苦しい雰囲気だ。

私は一生懸命、笑顔を作ろうと努力しているのに、ルシウスはニコリともしない。

でも、気持ちはわかる。

悔しいよね。

なにせ、ルシウスの努力賞より、私の特別賞の方が上なのだから。

でもでも、私だって悔しい。


「アンナ、特別賞おめでとう。とても画期的な魔法陣だったよ。ただ画期的すぎてこの魔法陣を実現できるものは、そうはいないだろう。多くの人が発動できる魔法陣を作成できたならば、次こそは優勝できるはずだ。これからも精進したまえ」


校長先生は私の魔法陣についての評価、感想を述べた。

⋯⋯そっか。

私は魔法使えないからよくわからないけど、私の魔法陣って実現が難しかったんだ。

魔法もなんとなくお菓子作りと似ているのかな。

作るのが難しいシュークリームは、レシピや作り方が分かっていても、いざ作ってみると大半の人が失敗しちゃう。

魔法もそうなんだな。

でも、その感覚って、魔法が使えない私には一生取得できない。

なんだか物凄く落ち込んできたが、気を取り戻し、精一杯の笑顔を作りながら私は応えた。


「ありがとうございます。これからも頑張ります」


「それで、特別賞の景品は、この杖だ。この杖には古老の精霊が眠っていると言われる。丁重に使いなさい」


 校長先生は有難そうに杖を持ち、私に授与してくれた。


「ありがとうございます」


 と私は答えたが⋯⋯、杖って、私、使えないし。

もし使えたとしても、古老の精霊でなおかつ眠っているって、役に立つのか大いに疑問だ。

また、たとえ古老の精霊が目覚めたとしても、私には見えない。

それに、この杖、見栄えがまったく良くない。

150センチほどある長い杖で、海とかに打ち上げられていそうな流木みたいだ。

もう、この景品、本当にいらない。

とりあえず私は、見栄えしない杖を持ち、壇上から降りようとすると、遠くの木陰にセイフィード様がいるのが見えた。


 セイフィード様は腕組みしながら木に寄りかかっている。

セイフィード様は私と目が合うと、どこかに行ってしまった。


 校長先生が咳払いをし、今度はルシウスの魔法陣について評価と感想を述べる。


「次は努力賞。ルシウス、おめでとう。君のは逆に誰でも実現できる点が良かった。次は何か(きら)めきを感じられるような魔法陣を作れると素晴らしい。応援してるよ。それと賞品はフェニックスの羽根で作られた羽根ペンだ」


 なんだか、ルシウスが不憫(ふびん)に思えてきた。

煌めきって平凡のルシウスが1番追い求めているものじゃないかな。

でも、フェニックスの羽根ペンなんて素敵。

この杖と交換して欲しいわ。


 結果発表が終わり、私とシャーロットが帰ろうとした時、魔方陣学の助手のジークさんが、広場に現れた。

どうやらジークさんは結果発表会場の後片付けをするようだ。


「シャーロット、悪いけど先に帰っていて。私、ジークさんに結果報告してくる」


「わかりましたわ、アンナ。先に帰って、お祝いの準備をしていますわね」


「ありがとう、シャーロット。なるべく早く帰るね」


 ジークさんは1人で後片付けをしていた。

流石に1人では大変そうだ。


「ジークさん、ご機嫌よう。コンテストの結果ですが特別賞でした。優勝狙っていたんですが、ダメでした」


「こんにちは、アンナさん。特別賞でも充分凄いですよ。おめでとうございます」


「ありがとうございます。でも私の魔法陣、実現不可能のようです」


「そうですか⋯⋯。よければ私に、アンナさんが応募した魔法陣を見せていただけますか?」


「はい。もちろんです」


 私は “クーラー・魔方陣” が書かれた用紙をジークさんに渡した。


「これは⋯⋯。見事です」


ジークさんは私が書いた “クーラー・魔方陣” を真剣に見ている。


「ジークさんにそう言って貰えて嬉しいです。それで、もしよろしければ私も、お片付けのお手伝いします」


「そう、それは有難いです。では、申し訳ないけど、あそこにある箱を本館地下倉庫に運んで頂けますか。それが終わったら帰宅して大丈夫です」


「はい。わかりました」


 私はそんなに重くない箱を持ち、本館に向かう。

本館地下倉庫には誰もいなかった。

まぁ、大抵誰もいない。

なぜなら年1、2回しか使用しないような行事用の道具しか置いてないからだ。

それにしても、ほこり臭い。

早く出ようと思った時、私が入ってきた扉が開いた。

振り向くと、ルシウスがいた。


 私は警戒しつつ、ルシウスの機嫌を損ねないように丁寧にお辞儀をした。


「ご機嫌よう。ルシウス様」


「ふんっ。なんでお前が特別賞なんだ」


ルシウスは怒りに満ちた目で私を見る。


「……努力が認められたんだと思います」


私が何を言ってもルシウスの怒りは、おさまりそうもない。

どうすればいいんだろう。

シャーロットもセイフィード様もよく考えて、物を言えと言っていたけど、何も浮かばない。


「ふざけるな、何が努力だ。魔法使えないくせに。お前じゃなく、あの闇付きが作ったんじゃないか? あの魔法長官の息子が」


「違います! あの魔法陣は私が1人で作成しました……。それに、もしセイフィード様が作った魔法陣なら優勝してました」


「優勝……ほんと、お前は俺を苛つかせるな」


ルシウスは私に一歩近づき、私を睨みつけた。


「だったらもう、私に構わないでください」


私は怖くなり急いで出口へ向かおうとした時、ルシウスに手を思っ切り掴まれた。


「痛い!離してください」


 私は精一杯、手を振りほどこうとしたが、ルシウスの握力には全く敵わない。

それどころか、手を思っ切り引き寄せられ、腰も捕まれ、完全に身動きができない状態になった。


「ははっ。ほら、前みたいに俺を押し倒したらどうだ。できるわけないか、お前は女だもんな」


「いい加減にしてっ」


 私は全身の力を使ってルシウスの体から離れようとしたが、全くビクともせず、反対に私は押し倒され馬乗りにされた。


「どいて⋯⋯、お願いだから離して!」


私は恐怖を感じ声が震える。


「俺が怖いか、いいザマだな」


ルシウスは片手で、私の両頬を強く掴み、自分の顔に引き寄せる。


「ううっ、もう離して⋯⋯」


「はは、いいね。お前のその怯えた顔、じゃあもっといいことしてやるよ」


 ルシウスが私の耳元で(ささや)く。

そしてルシウスの気持ち悪い手が、私の胸へと()う。


「イ、イヤダ、やめてっ」


「チっ、うるさいな。 『シ・ジューム・デアボリ』 」


 ルシウスが、突如、呪文を唱えた。

すると、私の声が出なくなった。

声が出せなくなり、助けも呼べなくなる。

怖い⋯⋯、いやだ、こんなの。

誰か⋯⋯、助けて!



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