摩訶不思議アドベンチャー
異世界転生モノを書いて見たくなってはじめました。
毎日一話更新予定です。感想もらえますと、もっとはしゃいで書きまくります。
シリアス系にはしないで、まったりギャグ系路線になるかもしれません。
「このすば」みたいなの大好き!
人が死ぬ理由は色々ある。
寿命による老衰、事故による死、はたまた殺人事件……。
その中で、今回当てはまった死因は、『病死』だった。
不治の病である心臓病になったため、治療方法もなく、あっけなく死んだ。
まだ成人もしてない年齢だというのに……。
そして、意識がかき消えて、これですべてが終わるんだと思った刹那―。
「はっ…?」
クウゴは目を開いて起き上がった。
周囲を見回すと、まるで見たことがない光景だ。
まず間違いなく、現代の日本じゃない。ファンタジー世界のボロ小屋みたいなところだ。
どうやら、自分は簡素な造りのベッドで眠っていたらしく、周囲には他に人気がない。
「これはまさか」
ベッドから這いでて、自分の状態を確認すると、ステータス画面が表示された。
◆――――――――――――――――――――◆
名前:クウゴ
LV:17
技能:【気】
装備:麻の服
◆――――――――――――――――――――◆
「やっぱり、ステータスが確認できっぞ!」
クウゴは自分が想像した通りの状況だったから、これで何もかもが把握できた。
異世界転生!
「オラ、異世界転生できちまったんだ!」
東北生まれの方言は、異世界転生しても抜け切れてない。というか、転生前の日本の学生だった頃の記憶が、はっきり残っている。
「でも……レベル17ってハンパだなぁ」
心臓病で苦しんだ毎日から、異世界転生した身体はとても健康的だった。
かるく、ぴょんぴょんと飛び跳ねてみるが、肉体が身軽で気持ちいい。
「すげえ気持ちいい!」
ずっとベッドで寝たきり生活をしていた頃の自分とはオサラバだ。
今日からは自由に世界を歩き回って、好きなことをやっていける!
そう考えると、クウゴはワクワクして堪らなくなった。
「よっし、んじゃ、さっそくこの世界のことを見に行ってみっかぁ」
家の中をぐるりと見て回ったが、装備品とか重要なアイテムは何も見当たらない。
結局、クウゴは手ぶらで、着の身着のまま外へと向かった。
「おお、大自然」
家の外は、澄んだ空気が流れている森みたいだった。
遠くから川の流れる音がしていて、おそらくここは、山の中なのではないかと思った。
現代社会で見かけたコンクリートなんか、どこにも見当たらない。
「うひょー! すっげえな!」
と、喜んでみたものの、もしかしたらモンスターなんかも出現するかもしれない。
特に強力な武器を持っている状況でもないし、何か出てきたら戦えるのか不安だ。
「そういや、オラの技能の【気】ってなんだ?」
パッと見てもまったくどんな技能なのか想像できない。
「気って、オーラとかエナジーとか、そういう奴だよな?」
もっと分かりやすく、【剣技】とか【黒魔法】とかそういうのはなかったのか。
自分のステータスを確認してみたところ、マジックポイントであるMPの項目がゼロであることを確認できた。
「魔法の素質がまるでないってことかぁ」
せっかく異世界転生したというのに、魔法を堪能できない身体になっているとは残念無念だ。
こういうときは、きちんと自分の適性値を調べてくれるギルドなんかに行くのが定番のはずだ。
クウゴは、この木々が群生している山から抜け出て、大きな町を見付ける必要があるだろう。
「んじゃ、移動すっか」
クウゴは軽い気持ちで、とん、と片足で地面を蹴り込んだ。
ふわっ――。
と、その瞬間、クウゴの身体は宙に浮きあがった。
「おっ、なんだこの世界は人間も空を飛べるんか?」
ほとんど意識せず、自分が移動したいと思う方向に自在に飛び回ることができる。
風を切って空を進むこの気持ち良さは、クウゴの気分を更に盛り上げた。
「これなら、移動もラクラクだな」
ひゅんっ!
クウゴは高く飛びあがって、自分のいた場所を見下ろした。
さっきまで寝ていた小屋が見える。
「やっぱり山ん中だったかぁ」
上空から自分が居た場所の全貌を掴むと、山の中腹あたりに作られたコテージのようだった。
「えーと、町はどこかにねぇかな?」
きょろきょろと周囲を見回すと、山の麓に町があった。
「おっ、近くにあるじゃねぇか。あそこに行ってみっかァ」
町の様子を見ると、やっぱりこの世界は、中世ファンタジー風みたいだ。
教会だとか、レンガで作られた古めかしい家が目立つ。
「ギャアアアッ!」
「ん?」
町の方を見下ろしていたクウゴの背後から何か、ケモノの声がした。
なんだと振り向くと、素早い動きで飛び掛かってくる巨大なドラゴンが迫っていた。
「おわっ!」
いきなり出くわしたモンスターに、クウゴは驚いてドラゴンの突撃から身をかわした。
「やっべえな、なんにも武器がねえのに、いきなりドラゴンみてえなモンスターと戦うことになっちまった」
これは逃げたほうが良いのかもしれない。
幸い、ドラゴンのスピードは物凄いものではあるが、こっちのほうが早さが上回っているらしく、動きを見て、余裕で回避できるみたいだ。
「なんか、見た目はすげえけど、大したことないようにも思えるな」
奇妙なことだが、あまりこのドラゴンに恐怖を感じない。
危険性を感じないのだ。
「もしかして、こいつザコなんか?」
見た目は雑魚っぽくないが、これがこの世界の雑魚モンスターだとしたら、武器がなくても倒せるかもしれない。
クウゴは空中で態勢を整え、ドラゴンの攻撃に備えた。
ドラゴンは凶悪な赤い目を光らせ、真っ黒の鱗をギラギラさせている。巨大な翼が羽ばたくだけで、竜巻みたいな突風が起こって、周囲の木がバサバサ葉っぱを散らした。
「グオオオオッ」
「鳴き声だけは立派だなぁ」
威圧感むき出しの龍の咆哮は、聞いただけで相手をすくみ上らせ、身動きを封じる効果がありそうだったが、クウゴにはまったく脅威に思えなかった。
そのまま、まっすぐクウゴに向かって突撃してきたドラゴン。
「ちょっと試してみっか」
ダンプカーみたいな勢いの突進をしてくるドラゴンに対し、正面から身構えた。
ドゴォッ――!
凶悪なドラゴンの突進を真正面から受け止めたクウゴ。激しい激突音が響き、空気を振動させた。
「……あれっ、ちょっとじーんとしたくらいだな」
両腕でドラゴンの突撃を受け止めることができたクウゴは、ダメージらしいダメージを受けていないことに、確信を持った。
「こいつ、やっぱり弱ぇぞ!」
そういうことならと、クウゴは密着状態だったドラゴンの首目がけて、思い切り蹴りを突き込んだ。
ズボァッ!!
「グボッ――……!?」
ドラゴンのくぐもった断末魔が漏れ出た。
一撃、クウゴの蹴りを受けたドラゴンは、白目を剥いて絶命したようだ。
そのまま、ぐらりと身体を崩し、空から落下していく。
「倒したみてぇだな」
ひゅーん、と落ちていくドラゴンを追うように、クウゴも下降して、地面でドラゴンの身体を捕まえた。
「見た目ばっか立派で、てんでてぇしたことねぇなー」
動かなくなった黒い竜を観察して、クウゴは物足りなそうにつぶやく。
「……そういや、町に行くにしても、この世界の金とか、オラ全く持ってねぇみたいだな……」
ふとそんな不安がよぎって、これから先の生活を想像し、どうしたものかと腕を組む。
「……このドラゴンでも雑魚っぺえが、報酬なんか貰えっかなー?」
モンスター退治をしたら、報酬くらいは出るかもしれない。
大したモンスターではなかったようなので、あまりいい報酬を貰えないかもしれないが、無一文よりはいいかもしれない。
そんな風に考えて、クウゴはこのドラゴンの死骸を町まで持って行くことに決めた。
長い尻尾を掴み、そのままずるずると引きずって山を下ることにした。
町のある方向は分かったから、あとは歩きでもいいだろう。
空を飛ぶとまた、ドラゴンが飛び掛かってくるかもしれないし、面倒だったから、歩くことにした。
ずるずるとブラックドラゴンを引きずり歩くと、やがて開けた道に出た。
この道をたどれば、町につくだろう。
随分大きなドラゴンだが、クウゴは難なくその死骸を引っ張っていけた。
やがて、クウゴはドラゴンを引きずったまま、町の入口までやってきた。
看板が取り付けてあって、そこには『ドマドーリ』と書いてある。町の名前かもしれない。
「……文字は読めるんだな。安心したぞ」
見慣れないはずの文字だが、すんなりと内容が理解できたことから、この世界の最低限の知識は持っていることに安心した。
「さて……、どこに行けばいいんだ?」
ドラゴンの尻尾を掴んだまま、クウゴは町の入口で少しばかり考えた。




