水路のそばにて
お久しぶりです。
少しは書ける環境になったかなと思います。
引き続きよろしくお願いします。
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「いったぁ…」
「なにをしとる、クピド」
「呼ばれたと思って振り向いたら、額と何かがぶつかったの」
「呼ばれたって、もしかしてあの朴念仁にか?」
「そうね、あの朴念仁の声だった気もするけど。って、サターン、ひどくない?」
「そうは言ってもなぁ。いままでの様子じゃだからのぉ…。それで、結局は召喚されずじまいか?」
「なんでかしらねぇ…」
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土壁をたたく音がしたので、詠唱をやめて、ブリーフケースにツッチーをしまい込んだ。
「ポレチプタヴォリッシメヴォルソンテ ボンキュボ」
黙ってみる。
「ポレチプタヴォリッシメヴォルソンテ ボンキュボ」
なんか、怒っているように聞こえた。仕方ない、返事してやるか。
「ルーナは?」
「俺の嫁だ」
加護を唱えて、壁の一部を崩す。
「戻ったぞ、セーキ」
「あ、どうでした?」
「というか、最初の合言葉、聞こえていたろ?」
「え?いえ、そんなことないですよ」
加護を唱えて壁を閉じて、追及をかわしてみた。
「……まあいっか。そこそこ買い込んで来たぞ、食いもの」
「ありがとうございます」
袋の中からいくつかの塊を渡された。
「熱いものから食っていけ。日持ちしそうなやつは、明日にするといい」
「はい」
「それにしても、ずいぶん臭いがしなくなったな」
「ジーノさんがいない間に、すこし手直ししましたよ。外の空気が入りやすくするように縦穴を作りました」
「穴って、これか?」
ジーノさんが、天井に穴が開いているのを見るとのぞき込んだ。
「これって、上からなにか落ちてこないか?」
「一応、直接に落ちてこないように、途中で折り曲がるように穴をあけたつもりですよ」
「そんな器用なことが、できるのか?」
「できちゃいました」
「大したものだな」
「まあ、雨とか入ってきたら、だめかもしれませんけどね」
「そうなったら、そん時だ」
ジーノさんに買って来てもらったホットサンドのようなものに食いつく。
食いつきながら、ねぐらの中を見渡すと、天井にあけた穴に目が行く。
穴の途中に枡を作って、そこから浸透させるか、あふれた分を水路に流し込んであげれば落ちてくることはないんだろうけど。
さすがに、そこまで作り上げる自信がなかったし、たとえやったとしても確認できないんじゃ、作ったとは言えないしね。
やるなら開削して、ってことだな。
それでも、台所の下にあるパイプのようにくねらせて、底になる曲げの辺りは多少の水が流れ込んでも大丈夫なように、大きめの空間を作っておいてある。
そういえば、崖の家の水回りも仕上げないとな。
あそこを出発してずいぶん経つよなぁ。
帰るつもりで出てきたけど、結局一度も帰れてないなぁ。
それぞれの部屋に水を引き込めるようにして、排水も浸透桝と併用して海に流すようにすれば、ましな環境になるかな。
そうそう、水洗化もできるならしたいなぁ。
視線を感じたので、そちらを向く。
「お、ようやく戻ってきたか」
「あ、すみません。ぼーっとしてました?」
「いや、にやけていた。すっごくにやけていた。気持ち悪かった」
「そんなにですか?」
「何回か声をかけていたのに、返事がないから顔を見たらにやけてると。何考えていた?」
「い、いやぁ。ここをもう少し、住みやすくしたいなって、あれこれ考えていたんですよ」
「ほどほどにしておけよ。ずっと、ここに住むわけじゃないんだし」
「はい、すみません」
「…それはそうと、とりあえずやることもないから、少し休む」
「そうですね。また夜に動きますか」
「そうだな。できれば、アメリア嬢が戻ってくるまでに、少し調べることができればいいんだがな」
「調べる、ですか?」
「ウィンストン家が何をやっているかくらいはな。そうでないと、いろいろと交渉できないだろ」
「ああ、なるほどですね」
「もっとも、伝手なんてないからなぁ。冒険者組合もそう何度も頼りにできないしな」
「冒険者組合の、なんていいましたっけ?ラファエロさんだ。もう頼れないんですか?」
「嫌疑がかかっているっていわれたろ?そんな奴が何度も出入りしていたら、さすがに目立つしな。次に頼るとしたら、命がかかっているときだろうな」
「そうなんですか」
「まあ、そんなところだ。まずは寝ておこうか」
ジーノさんはそういうと、寝床に横になった。
「夜中は、動きっぱなしになるかもしれないから、セーキも寝ておくんだぞ」
「わかりました」
そうして、自分の寝床にもぐりこむ。
このねぐらを、あとどれくらいいじり倒してやろうかと、ニマニマしながら寝付いた。
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「でだな、ご機嫌斜めなんじゃよ」
はい?どういうことですか?
「うん。そんなことを言ってもしようのないことなんじゃがな」
ええと、しようのないことを何とかしろと言われても…
「そうじゃの」
もしかして、ツッチーのことですか?
「い、いや、そうではないのだがの」
ええと、一度作り直そうとはしましたけど、呼ばれたのでやめたんですよね。
「それでか」
なにが、それでなんですか?
あ、もしかして、中の人がいるんですか?
「いや、おらんよ。うん、おらん」
その反応は、いるということですね。
「……………」
も、黙秘ですか。
「そうそう、本題のほうだが、システムバージョンアップというやつがあってだな、見えている表示が変わるからの、びっくりするんじゃないぞ」
いきなり話しをそらしましたね。
それに、そうはいわれても、目が覚めると覚えてないんですよね。
何とかならないんですかね?
「直接的な干渉はできないことになっているからのぉ」
それは何縛りなんですか?
「……ええとだなぁ。人の営みは人がつくるもの、という決まりがあるのじゃよ」
神様といえど手を出せないということ?
「それにだ、お主は事故でここにおるからの、死なないための手助けは可能としても、具体的に手助けはできないんじゃよ。その決まりに抵触するからな」
ええと、こちらに来た時にこの空間に引き込んでくれれば良かったんじゃないですか?
「え?…………………………それも、ありだったのか?いや、こっちにこれるのは精神体だけで、実体になる体はそちらに残るから、やはりだめかのぅ」
ふうむ、やっぱり2年はあの世界で過ごさないとダメということですか。
「そうじゃの。まあ、そろそろ戻る時間じゃな」
バージョンアップですね、たぶんびっくりするんだと思うんだけど。
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ふと目が覚めた。
横を見ると、ジーノさんはまだ寝ているようだ。
穴から漏れていたはずの光が見えないので、夜になったんだろう。
あれ?
目の前の表示が変わっている。
いままでは上と下に細いラインでいろいろな表示が並んでいた。
横画面の格闘ゲームのような感じで並んでいたのが、下にタイルのようなものになっていて、それを見つめることで詳細表示が出る。
上のほうにもタイルが並んでいて、タイルのなかに数字で表示されている。
ひたすら、使いにくい。
右上のところが点滅していたので注視すると真ん中にウィンドウが拡がった。
【お知らせ】システムバージョンアップについて
平素より当システムをご利用いただきありがとうございます。
このたび、基幹システムの変更に伴い、インターフェイスの変更を行いました。
多少の違和感はあるものと思いますが、ご利用者の忍耐に感謝いたします。
[主な変更点]
ライン的な表示からタイル表示に統一しました
各種ステータスをアナログ表示をデジタル表示に統一しました
ショートカットを廃止し、タイル表示からフリック入力に統一しました
はあ?
実は最初の7行ほど、入れるか入れないかで迷ってしまい、悩んでました。
いらないのかもしれませんが、指が書きたいという感じです。




